洋服

持っている洋服は、相当 年季が入ったものばかりで、我ながら物持ちの良さに関心したりしている。このところはサイズや体重に、あまり変化がないという事もあるが、着れるものは着てやろうと思っていたりする。

しかし考えてみると、高校生の時に買ってもらったズボンもあれば、短大の卒業式の為に買ってもらった礼服など、他人から見たら異常と言えるかもしれない。ただこれは、亡き親に買ってもらった洋服という意味もあり、自分で買ったもので見るからに流行遅れという服は処分をしている。

昔から、自分で選ぶ色は地味系が多かった。若い時でも黒・紺・グレーのスカートばかりだったので、緑色のスカートで会社へ行くと、「今日はオシャレしてるね?デート?」と、からかわれた事があった。赤いスカートをはこうものなら、「誰かと思った。」とまで言われた。ちなみに赤いスカートは、母親と一緒に買い物に行った時に似合うと言われて、その気になって買ったものだった。今持っている赤い洋服も、兄弟からプレゼントをされたものである。

以前、勤めていた頃の話ではあるが、いつも黒色の服を着た男性がいた。よくよく見ると、毎日同じ服という訳ではないのだが、シャツもズボンも靴・靴下まで、すべて黒だった。その男性の職場は私服だったので何を着てもいいが、全身が黒というのは少し威圧的な印象だった。しばらくしてから仕事以外の話も出来るようになったので、どうしていつも黒なのかを聞いてみた。そうすると「組み合わせを考えるのが面倒だから。」という答えだった。

理由を聞いて、その合理的な考え方に影響を受けてしまい、私もブラウス以外は黒ばかりを着ている時期もあった。しかし、私の場合は「お葬式に行くの?」と、結局からかわれるだけだった。今は、黒以外の服を選ぶこともあるが、決め兼ねることがあれば、無難に黒を買っているのだった。