買い物カゴ

もともと友達や知り合いが少ないのだが、ごく稀にスーパーなどで知った人に会った時に、買い物カゴの中を見られるのは恥ずかしい。自分がそうなので、相手のカゴも見ないようにしている。

しかし、それは知り合いに会った時のことで、知らない人のカゴの中は、けっこう見てしまう。その日の特売品が、みんなお揃いのようにカゴに入ったりすると、買い物メモに書き忘れていたのを思い出したこともある。またチラシには載っていなかった野菜が、あちこちのカゴに入っているのを見て、今日は安いのだろうかと思い、野菜売場まで戻ってみると本当に安かったこともあった。同じ商品がいくつもカゴに入っていると、お店の人だろうか、この人は家族が多いのかなと勝手に想像したりもする。

ただ、少しだけ弁解をさせてもらうと、買い物カゴは見ても、人の顔はほとんど見ていない。そんな状態なので、スーパーで声をかけられると、5年ぶりにでも会ったかのように驚いてしまう。そんな自分の姿は、カゴを見られるよりも恥ずかしいのであった。