禁煙の訳

08/09 の雑感に書いたように禁煙を始めたわけだが、今日でそれが 2カ月に達した。

禁煙を試みている 『お買い物日記』 担当者の目の前でブカブカと煙を吐くのは心苦しかったので 「それならば一緒に止めてしまえ」 という付き合い禁煙として開始されたものであり、それはゆる~い動機とも言えるので一般的にはいつ挫折してもおかしくない状況ではあった。

しかし、『お買い物日記』 担当者は何が何でも禁煙せねばならず、それを成功させるためには心が折れるような状況を生み出すような行為は控えるべきであって、欲求に耐えている本人の前で喫煙することなど、砂漠で倒れている人の前で冷たい水をがぶ飲みするに等しい悪鬼のごとき行為であり、そのような事態を避けるためには自分も禁煙を成功させねばならない。

管理人の独り言』 で何度も触れているように 『お買い物日記』 担当者は大きな病を抱えてしまい、それの発覚がタバコを止めるきっかけとなったのであり、単なる思い付きやタバコ税が鬼のように高くなりそうだからなどという理由とは異なって切実な問題だった。

結果、2カ月経った今でも続いているので禁煙は成功したのかもしれないが、2カ月も経過した今でさえ何かの拍子に喫煙の欲求が頭をもたげることがあることに驚き、ニコチン中毒の根深さや恐ろしさを身をもって思い知らされ、これからも気を緩めることも許すこともせずにしなければならないと心に誓ったりしているところではあるが、これがいつまで続くのかというゲッソリ感も同時に味わっている。

禁煙したことは 『お買い物日記』 担当者に良い結果をもたらした。

手術の際に施される麻酔はなぜ人体に効くのか科学的には証明されておらず、麻酔薬を体内に注入した後にどのような副作用が起こるのかも人によって様々で、手足の麻痺、痺れ、ひどい頭痛を発症することなどが想定される中、喫煙者に最も多いのはタンが絡んで咳が止まらなくなる症状だという。

実際、同じ日に手術を受けた人は入院前日までタバコを吸っていたとかで、ノドがゴロゴロいって咳を連発し、「ゲホン!」 とするたびに手術の傷がメリメリと開きそうになり、その痛みにのた打ち回って 「あ゛ー」 とか 「うががぁあ~」 などと奇声を発していたが、手術の一カ月前からタバコを断っていた 『お買い物日記』 担当者に同様の症状が現れることはなかったのである。

何らかの努力しておけば結果は報われるものであり、将来的にもっと良いことがあるのではないかと密かに期待しつつこれからも禁煙を続けていこうと考えているところである。

化学の味わい・・・の続き

先週は携帯電話からの更新に失敗したのでその続き。

気分を変えてスーパーの惣菜コーナーをうろつき、卯の花とポテトサラダを購入してみたが、これが科学の味に加えてもの凄く甘い。

いや、特に卯の花は甘いなんていう生易しいものではなく、どうやって調理すればこれだけ甘くなるのかと責任者を呼んで問い詰めたくなるほどの代物であり、なぜ、なにゆえにポテトサラダよりも甘い卯の花を食さねばならぬのかという怒りがふつふつと体の奥底から込み上げ、怒髪天を突く 3秒前からのカウントダウンが開始され、それが 0 になった瞬間に卯の花はゴミ箱へと放物線を描いて落下することになった。

食べ物を粗末にしない教育を受けてきたので、捨てることなど病気で食べられないとき以外は考えられないのだが、この、あまりにも甘く気持ちの悪い卯の花を食べることは自分にとって不可能であり、無理に食べるくらいであれば火責め水責めの拷問を受けたほうがマシなのではないかと思えるほどだ。

次の日の朝、ポテトサラダは食パンに挟んで食べたが、まるで菓子パンのように甘く、コーヒーで流し込むように胃に収めるのが精一杯だった。

既製品の科学の味にとことんダメージを受けたので、遅まきながら自炊生活を送ることにした。

過去にも何度か書いているように包丁は使えるのだから最初から自分で調理すればよいのであって、何も我慢したり辛い思いをしてまで既製品を購入することはないのである。

仮住まいでしかない宿泊施設に調味料類を一から揃える訳にはいかないので必要最小限のものしか用意しなかったが、それでも自分好みに味付けをして食べるのが一番美味しい。

炊飯器は用意されていたので自分で米を炊き、単に魚を焼いたり肉を焼いたり、極々簡単な料理を作って食べるだけだったが、何とかそれで生き抜いた。

もし、あのまま既製品を食べ続けたならば、『お買い物日記』 担当者だけではなく、自分まで病気になっていたかもしれない。

化学の味わい

『お買い物日記』 担当者の入院によって一時期はコンビニ弁当中心の食生活になってしまった。

すでに入院期間は 20日間を越えたが、弁当を食べ続けることができたのは最初の一週間くらいだ。

揚げ物中心のおかずと化学調味料の味を体が受け付けなくなり、腹が減っているのに箸が進まなくなってしまった。

若い頃は例外なく毎日、昼も夜もコンビニ弁当か外食という生活を何年も続けることができたのに今はそれが続かない。

口に入れた化学調味料と油まみれの食べ物をなかなか飲み込むことができず、弁当ひとつ食べるのに一時間もかかってしまう。

ここ数年というもの揚げ物どころか動物性脂肪の摂取すら 『お買い物日記』 担当者の手によって控えられていたので、食べたそばから胃にもたれるやら胸やけするやらの大騒ぎであり、どんどん食欲が失せてくる。

それなら揚げ物が極力少なく、あっさりした弁当を選択すればよろしいのではないかと、きのこの炊き込み御飯などという誠に季節感漂う弁当を買ってみたが、その御飯が化学の風味バリバリで、とても食べられたものではない。

それでも米は捨てられず、海苔を千切って入れるなどしてやっとの思いで胃に収めた。

気分を変えてスーパーの惣菜

… 携帯電話の限界
データ送信時に切れたようだ。
面倒なのでこのまま放置

BMの怪

1F、2F は一階、二階であり、B1、B2 は地下一階、地下二階。

そんなことは常識として知っている。

しかし、この病院には BM という階がある。

最初はエレベーターの表示がおかしくなっていると思っていたのだが、決してそのようなことはなく、地下一階と二階の間に確実にそれは存在するらしい。

BM の M はミドルの M なのではないかと想像しているが、まだ確証が得られずにいる。

それというのも、まだこの目で BM を見たことがないからだ。

病院の案内図を見ても BM とは記されておらず、エレベーターの操作ボタンにも BM という二文字が見当たらない。

それなのに、どうしてエレベーターは BM に止まるのか。

『お買い物日記』 担当者と二人、この目で BM を確かめようと、階段で地下へと進んでみた。

ソロリソロリと階段を下りると他のフロアとは異なる薄暗い廊下があり、鉄の扉が行く手を阻む。

どうするべきか迷っていると音も立てずに鉄の扉が開き、中から白髪の男性が姿を表した。

少し戸惑いながら扉のカギをしめ、「どちらに行かれるんですか?ここから先には進めませんよ」 と声をかけてくる。

「いえ、地下二階の散髪屋が、あの、その〜」 とドギマギしながら応えると、「ここは違います、ご案内します」 と、その場を追い立てるように階段を上らされる。

地下一階の廊下に出ると、遠くを指差し 「あちらの階段から地下二階に下りてください」 と言って、ジッとこちらを見る。

仕方なく言われた階段に進み、下に降りると患者用の大浴場や散髪屋さんがあり、さっきとは異なる明るい雰囲気のフロアだ。

その階段の途中に BM という階はなく、B1 の次は B2 だった。

そこで探検は中止となってしまったので、まだ BM 階にはたどり着けていないのである。

BM には解剖室とか霊安室があるのではないかと勝手に 『お買い物日記』 担当者と話していたのだが、それらは地下一階にあった。

最近になって 5台あるエレベーターのうちの、主に患者さんを運ぶ 1台に B2M というボタンがあることに気がついた。

しかし、そのボタンは他のものと明らかに色が異なり、押してくれるなオーラを思いっきり漂わせている。

そのボタンを押せば BM に行ける可能性が極めて高いことは分かっているが、誰かに見つかって叱られるのではないかと思い、指をのばすことができずにいる。

あと少し、あと数センチ指をのばせば…。

ほんの少しだけの勇気があれば……。

(携帯電話より)