この連休中、狂ったように海外ドラマを観ていた。
些細な事も見逃すまいと、真剣に画面を見つめ、一語一句見逃すまいと字幕を真剣に読んでドラマの世界にどっぷりと浸る毎日。
ついには夢にまでドラマの中の人物が登場し、ペラペラと英語で会話しているのだが、テレビと違って字幕がないので何を言っているのかさっぱり分からない。
これだけ長く英語に触れていればスピードラーニングのような効果で日常会話くらいペラペラになっても良さそうなものだが、今でも知っている単語を何とか聞き取れるくらいなもので字幕がなければチンプンカンプンである。
今はあまり話題にならなくなったが、一時期は Winny(ウィニー)を代表とするファイル共有ソフトが流行し、そこで違法なファイル交換が行われて音楽や映画などのコンテンツが不正に拡散してしまっていた。
その中に聞き流す英会話教材でおなじみのスピードラーニングも不正に公開され、多くの人が無償でダウンロードするという事態になったことがある。
それだけ多くの人が興味を持っていたということだろうが、テレビやラジオ、雑誌などで紹介しているように聞くだけで英語が分かるようになり、まして話せるようにまでなるのか疑問で高いお金を払ってまで購入する気にならないが、どんなものか一応は試してみたいという人も多かったのだろう。
実際、『スピードラーニング 評価』とか『スピードラーニング 口コミ』などで検索してみると、恨みでもあるのかと思うぐらい徹底的に叩いているサイトが圧倒的多数なのが分かる。
まともに購入すれば 16巻セットで 6万円弱、おまけに返品不可という一か八か、清水の舞台から飛び降りる思いの決断を迫られる商品であるだけに、効果を実感できなかった人の恨みは計り知れないのだろう。
やはり楽して英語が身につくはずもなく、それなりの努力は必要ということだ。
そんなことはさておき海外ドラマの件であるが、『お買い物日記』 担当者と 2人で入れ込んでいるドラマがあり、それを観続けている毎日なのである。
韓流ブームの火付け役、冬のソナタのヨン様の声を吹替ではなく原語で聞き、その意味を理解したいと韓国語を勉強する人が多く現れた 2004年、今はその時のおば様たちと似たような感覚で、ドラマの中のセリフを英語で理解したいという思いは少なからずあり、それからの連想でスピードラーニングのことを思い出したので書いてみた訳だ。
なぜなら字幕版を見ても吹き替え版を見ても、微妙なニュアンスが伝わってこないことがあり、ドラマを見終わって 「はぁ?」 と思うこともしばしばなので、きっと翻訳の段階で意味が変わってしまって物語の本質からズレてしまっているのだろうと思う。
また、字幕版でドラマを見ていると、英語レベルが極端に低い自分であっても明らかに言っていることと字幕が異なるのが分かることもある。
ひどい時にはセリフが噛み合っていない場面すら目にすることもあった。
そんな時に心から思うのである。
「あ~こんな時、英語ができたらなぁ~」
と。
英語教育改革の成果が現れるであろう数年後、字幕など見なくても映画や海外ドラマを楽しめる世代が登場するに違いない。
そんな世代のことを本気で羨ましいと思う。
この歳になってしまえば今さら英語を学ぶ気にはならないし、そもそも社会人が気軽に通える英会話教室などこの町にはない。
ネットでの学習など自分には続かないと分かっているし、スピードラーニングは信用できないとなると、海外に引っ越して否が応でも英語を聞いて話さなければいけない状況にでもならない限りは原語の習得は難しそうである。
日本の映画字幕翻訳家で最も有名な戸田 奈津子さんが言っていた。
英語をそのまま訳すと、字幕の表示時間では読みきれないほどの文章量になってしまうと。
したがって、限りなくセリフの意味に近い短い日本語を代用するのだと。
『レイダース/失われたアーク』の 1シーンでは、直訳すれば
「俺は俺のやり方でやった。あんたが気に入らなくても仕方がない。これからはお互いに助け合っていこう。」
というセリフを
「昔の事は水に流して力になってくれ」
という一行に収めたという。
映画全体の流れとすればセリフの一部が簡略化されていても問題ないだろうが、我が家が好んで見ている海外ドラマは事件物、犯罪を捜査するドラマであるため、捜査過程だったり主人公の推理だったり、犯罪者の言い訳だったり犯行動機などなどを割愛して訳されてはたまらない。
しかし、残念ながら、たまにそういうことが起こってしまうのである。
そして、やっぱり思う。
「あ~こんな時、英語ができたらなぁ~」
と。
どこかの天才が寝ているだけで英語がマスターできる画期的な教材を発明してくれないだろうかと、なまけものの自分は切に願ったりしているのである。