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2005年11月

破滅の音 第四楽章 破滅の音 第四楽章

  診察室の中は訳の分からない機械や得体の知れない装置が置かれ、白衣の男性がテキパキと準備を整えている。腰の痛みに耐えながら、そして何をされるのかという恐怖に怯えながらソロリソロリと歩を進める。イスにはいかにも整体師といった雰囲気のごっついオッサンが座っている。

  「どうしました?」 という問いにギックリ腰になってしまった経緯を説明すると、若いのに空を見上げただけで腰を悪くするとは何たる体たらくかと説教をされてしまった。 頭ごなしに言われたので内心はムカムカしていたが、ここで逆らって 「帰れ!」 と言われるのも困りものであるし、手加減なしに痛くされるのも嫌だ。 考えてみれば何の運動もしていなのも事実である。

  ひとしきり説教を賜った後、おもむろに診察台に寝かされる。 最初は痛めた腰の周りを静かに、そして優しく揉んでくれたりして気持が良かったのだが、仰向けにさせられて足を組んだあたりから雲行きが怪しくなってきた。 一呼吸置いた後で、いきなり足と肩を逆方向にねじられ、背骨がバリバリッ!と音をたてる。 自分の意志とは関係なく口から 「ふんがぁ!」 とか 「ぐぎゃー!」 という悲鳴がもれる。

  その後に体育座りのような姿勢をさせられ、後ろから両腕を引っ張られて 「どわぁー!」 と叫ぶことになる。 そして先生が横から 「はい、こっち向いて〜」 と優しく声をかけるのでニコニコしながら横を向くと、いきなり頭とアゴをつかまれて真横にねじられ、首の骨がゴキゴキと音をたてる。 「うぐっ!」 と声がもれて反対側も 「はうっ!」 という声と共にゴキゴキされた。

  再び仰向けに寝かされて両足の付け根をゴキッ!とされ、うつ伏せになってヒザやら肩やらをバキバキッ!とされたが、途中からは (もう、どうにでもしてくれ!) と開き直って身を任せていた。 次は腰にプニプニしたものを乗せられ、訳の分からない機械に電極を接続し、そのまま寝ているように言われた。 最初は腰の筋肉が一定間隔でビクビクしているだけだったが、少しするとホカホカと暖かくなってくる。

  10分ほどすると 「ピピピ」 という音がして、その機械が外される。 最後に腰に湿布を貼って、初日の治療が終わった。 診察台から身を起こして立ち上がると、驚くことに痛みが半分以下くらいまで改善している。 そこに向う際には車の振動だけで痛かったのに、帰りはシートに座っていられる。 呼吸も楽になり、その日の夜は痛みで目覚めることもなく朝まで眠ることができた。

  翌日も、その翌日も整骨院に通い、最初に言われた通りに三日後には完治とまではいかないまでも 80%くらいは回復するに至った。 三日ぶりに出勤すると机の上にコルセットが置いてあった。 ギックリ腰初日に 「引っ張れば治る」 と言い出した先輩からの贈り物で、自分がギックリ腰を経験した際に傷みを和らげるために装着していたというボロボロのコルセットである。 痛みは感じなくなりつつあったが、せっかくの気持なのでありがたく受け取らせてもらうことにした。

  そんなこんなで 『破滅の音』 に始まり、ギックリ腰の顛末まで一カ月に渡っての長文になってしまったが、これを書いている最中にアメリカに住む義兄から連絡があり、引越しの作業をしている際に肩から 『破滅の音』 が聞こえ、痛みが治まらないので現在は針治療を受けているとのことだった。 やはり運動不足は恐いものである。

  『管理人の独り言』 に何度も書いているように、面倒がらずに定期的な運動だけは続けるようにしようと、あらためて心に誓い直したりしている今日この頃である。

2005 / 11 / 26 (土) ¦ 固定リンク

破滅の音 第三楽章 破滅の音 第三楽章

  ウトウトしては腰の痛みで目が覚め、寝返りをうっては目が覚めるということを繰り返し、ろくに眠れないまま朝を迎えた。 傷みは治まるどころか激痛に変わり、呼吸すらまともにできなくなっていた。 一刻も早く状況を改善したいと考え、病院に電話してみると 「傷みが消えるまで一週間はかかりますね」 という回答。 そんなに苦しむのは嫌だったので他に何か手はないかと考える。

  頭の上で大きな電球が光ってパッパカパ〜ンとファンファーレが鳴り響き、ひらめいたのが整骨院である。 電話してみると 「一回の治療で傷みを軽減させ、三日も通えば治してやる」 とのことだった。 これは渡りに船と、早々に行きたかったのだが何せ痛くて動くことができない。 そこで、当時まだ大学生だった後輩を呼びつけて車で整骨院に護送してもらうことにした。

  出かけるために着替えをするのも大変で、洗顔やら歯磨きもできる状態ではない。 当然、整髪もできないので髪はボサボサ。 文字通りの半病人状態で車に乗り込んで整骨院に向う。 車が加速や減速するたびに口から 「うっ!」 と声がもれる。 やっとの思いで整骨院に到着し、車から抱えられるようにしてノロノロと降りると白衣を着た人が 「わっはっは」 と笑いながらこちらを見ていた。

  待合室に入ると、そこはジイサンとバアサンの巣窟のようで、灰色とあずき色の世界だ。 そんな中に二十代の若者が迷い込んだものだから全員が興味津々の顔でこちらを見ている。 中にはこちらを見ながらヒソヒソ話をするバアサンまでいて誠に気分がよろしくない。 一刻も早く治療をしてもらいたかったのだが、「そんなもんで死ぬ奴はいないから順番をまっていろ」 と言われてしまった。

  ジイサンやバアサンの視線にさらされながら待っていると、中年の男性が奥さんと友達らしき男性の肩を借りながら足を引きずるようにして待合室に入ってきた。 痛みは相当にひどいらしく、額に脂汗がにじんでいる。 事前に連絡してあったらしく、待つことなくそのまま診察室に姿を消した。

  中から聞こえてくる会話から判断すると、男性はトラックの運転手さんで、車の窓に右ひじをかけて左手でハンドルを握るという同じ姿勢を続けていたところ、背骨が曲がってしまい神経が圧迫されているのだそうだ。 それが原因で下半身にひどい痛みがあり、歩行すら困難なのだという。

  「それじゃぁ横になって〜」 という先生の声が聞こえた。 少しの沈黙があったあと、「バキバキ!」 という音と共に、「ふんっ!」 とか 「うぐっ!」 という男性の声。 バキバキという音が激しさを増し、男性の口からは 「おわぁー!」 とか 「うがぁー!」 という悲鳴に近い叫び声が発せられる。

  診察室はどんな修羅場になっているか想像すると恐くなり、ここに来たことを後悔したり帰りたくなったりし始めたころ、男性の 「うおーっ!」 という声を最後に静寂が訪れた。 あまりの激痛に息絶えてしまったのではないかとドキドキした。 しばらくすると、「ありがとうございました」 という声と共に男性が診察室から出てきたのだが、驚いたことに自力でスタスタと歩いている。

  東洋医学の神秘をまざまざと見せつけられ、自分の腰もすぐに完治するのではないかという期待と、(あの悲鳴は何だったのか?) という不安で胸が一杯になっていると、診察室の中から自分の名を呼ぶ声が聞こえた。 震える足でゆっくりと立ち上がり、ジイサンやバアサンの視線を集めながらソロリソロリと診察室に向う。 バアサンの一人が 「ぷっ」 と笑ったのを見逃さなかった。

  診察室のドアを開け、勇気を振りしぼって一歩を踏み出す ・ ・ ・ ・ ・ またまたつづく。

2005 / 11 / 19 (土) ¦ 固定リンク

破滅の音 第二楽章 破滅の音 第二楽章

  それはある日の午後、昼食を終えて社員が公園に集まり、大きな輪を作ってバレーボールで遊んでいるときに何の前兆もなく突然に襲ってきた。 輪が大きくなりすぎたため、その中心に入って低い弾道のバレーボールを拾う役を務めていたときだった。 高々と上がったボールを目で追い、どこまでも青く広がる大空を見上げた瞬間、腰にピリッと電流のようなものが走った。

  先週の雑感に書いた破滅の音とは明らかに異なる、正真正銘のギックリ腰である。 直後から腰周りがモワ〜ンとし始め、やがて痛みへと変わっていった。 ソロリソロリと歩いて会社まで戻ったが、自席に着いたとたんに動けなくなった。 それからが地獄の始まりである。

  たかが空を見上げた程度でギックリ腰になった男の話は鬼のような速さで社内に知れ渡り、総務やら経理やらの社員までが次々にやって来ては指をさして笑っていく。 いつもであれば蹴りのひとつも入れてやるところだが、痛くて席から立ち上がることもできない。

  過去にギックリ腰を経験したと言う先輩がやってきて、「病院に行ったら体を引っ張って治してくれた」 などと言い放ち、数人の社員を集めて荒療治を敢行した。 嫌がる自分を無視して一人は首を持ち、二人で両手を、あと二人で両足を持ったところで、掛け声と共に力の限りに引っ張る。

  ただでさえ痛いところに大人 5人の力で引っ張られた体は悲鳴を上げ、くちからも 「うごぁー!」 とか 「ぶぎゃー!」 とか声にならない声が出てくる。 こともあろうか周りの奴らどもは、そんな自分の姿を見て涙を流さんばかりに笑い転げている。 あまりにも大騒ぎになったため、部長が飛んできて 「何をしてるんだー!仕事中は静かにしろー!!」 と怒鳴り散らす。

  そこで驚いた社員達は慌てて手を離してしまったのでドスンと床に落ちてしまった。 ギックリ腰で痛いは、引っ張られて痛いは、部長に叱られるは、落とされるはで散々である。 みんなは慌てて解散してしまったので、這うようにして自席に戻ったが、腰の痛みは増すばかりである。

  その夜は何日も前から酒を飲みに行く約束をしていたのだが、現在のように携帯電話が普及していなかったのでキャンセルすらできない。 とりあえずは顔だけ出して事情を話し、家に帰ろうと思っていたのだが、ギックリ腰の男は絶好の酒のツマミとなってしまい、居酒屋の畳に寝かされて皆がそれを見ながら楽しい酒を酌み交わすという最悪の事態に陥ってしまった。

  ただ寝転がっているのもつまらないので、食べ物を口に入れてもらったり、ストローで日本酒を飲んだりしながら最後まで酒宴に付き合うことになった。 タクシーに押し込まれるようにして乗せられ、帰宅したのは深夜である。 その酒が致命傷になったのか、皆に引っ張られたのが致命傷になったのか、症状はどんどん悪化し、痛くて眠ることも寝返りをうつこともできない。

  それから数日は会社を休むことになり、地獄の日々はさらに続いていくのだった ・ ・ ・ つづく。

2005 / 11 / 12 (土) ¦ 固定リンク

破滅の音 第一楽章 破滅の音 第一楽章

  過去の独り言にも書いたことがあるが、何かの拍子に体の筋にピシッ!と電流のようなものが走り、直後から激痛に見舞われることがある。 そのピシッ!という感覚は実際に音が聞こえる訳ではないのだが、『巨人の星』 になぞらえて我家では 『破滅の音』 と呼んでいる。

  それはある日突然にやってくる。 そして、それは腰、背中、肩、首などと場所を選ばずに襲いかかってくる。 いつもと違う動作で照明のスイッチを入れようとした瞬間、ゴロゴロしていて、いつもと違う体勢で体の向きを変えようとした瞬間、なんとなく伸びをした瞬間などにピシッ!となってしまい、「き、きた!は・・・破滅の音が・・・」 ということになる。

  それらを指して、当初はギックリ背中とかギックリ肩などと呼称していたのだが、いつのまにか 『破滅の音』 と現すようになっていた。 後に聞いた話しでは、筋肉が急に収縮して痙攣(けいれん)を起こした状態、つまり足がつる、いわゆる 『こむら返り』 と同じような状態が長く持続しているのだそうだ。

  足がつるのですら痛くて仕方ないのに、それが背中や肩で発生するのはたまったものではない。 ましてや、それが長時間に渡って持続するなど地獄である。 それは拷問に等しく、やっていないことまで自白してしまいそうな勢いだ。 辛い思いをしたくはないので普段は気をつけているのだが、時間が経つと油断してしまい、半年とか一年に一度は破滅の音を聞いていた。

  首や肩であれば手でさすって傷みを紛らわしたりできるし、首を動かすのが辛いので呼ばれて振り向く動作などに支障を来たすものの、なんとか生活することができるし仕事もこなせる。 ところが背中から破滅の音が聞こえると最悪である。 その傷みは半端なものではなく、睡眠中に寝返りもできない。 それどころか呼吸するのも痛みで辛く、静かにゆっくりと息を吸ったり吐いたりすることになる。

  そんな状態なので眠りにつくことすら困難であり、やっと眠れたとしても寝返りのたびに激痛が走って目が覚めてしまう。 体を動かしたり歩行することすら困難になるので仕事はおろか通勤することすらできない。 じっと痛みに耐えて、ひたすら回復を願うだけである。

  数年前に背中から破滅の音が聞こえたときは、翌日に仕事で重要なお客さんを迎えることになっていた。 破滅の音を聞いたのは夕方で、翌日の予定を変更してもらおうと連絡したのだが、相手は大会社の社長さんで仕事も忙しく、すでに決定している予定を変更するのは不可能だった。

  当日、朝からの出勤は無理だったが面談の二時間前に家を出て、『お買物日記』 担当者に手を引かれながら、ゆっくりゆっくりと会社までたどり着いた。 打ち合わせ中もイスに座っている姿勢すら辛いのと、呼吸が困難であるため 「そ、その件に (うぐっ!) つ、つきまして (あがぁ!) つ、つきましては・・・(ハァ〜ハァ〜)」 と息も絶え絶えになってしまった。

  前述したように、過去には半年から一年に一度の割合で破滅の音を聞いていたのだが、最近はまったく聞こえてこない。 ここで油断すると、足音を忍ばせて魔の時が徐々に近づいてきたりするのかもしれないが、何年も続けている柔軟体操が功を奏しているのかもしれないし、在宅勤務になって始めた朝の散歩も良い結果を生み出しているのかもしれない。

  しかし、油断は大敵である。 あの地獄の苦しみを味わうことがないように朝の散歩と定期的な体操を怠ることなく続けていこうと固く心に誓ってみたりしているのである。

2005 / 11 / 05 (土) ¦ 固定リンク

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