コストパフォーマンス コストパフォーマンス
ダイエーの経営再建は遅々として進まない印象を覚えるが、「商品の値段は生産者が決めるのではなく消費者が決める」 と言い、価格破壊を進めて圧倒的な支持を受けた創業者である中内氏の功績は大きい。
事実、この十数年の間にメーカーが勝手に決める 『定価』 という概念がなくなり、オープンプライスが広まった。 残っているのは 『希望小売価格』 という、「できれば、この価格で買ってほしいな〜」 という消極的な価格表示だけだ。
我々消費者にとって嬉しい限りだが、一部の小売店からは 「一応は定価を決めてほしい」 という声が根強く残っているという。 なぜならば、定価がなければ 「2割引」 とか 「半額」 と宣伝できないからからだ。 店によっては 「通常価格から 2割引」 などとチラシに掲載して工夫しているが、その通常価格が嘘だったりして問題になる場合もある。 普段から 200円で売っているくせに、チラシには 「通常価格 250円の 2割引」 と書いて、結局 200円で売るという、低レベルの詐欺みたいな手口だ。
それはさておき、リンゴの消費量が低下の一途をたどっているらしい。 リンゴ農園の人は 「売れない」 「安くしか出荷できない」 と嘆いているが、それは消費者がリンゴに価値を見いださないからだろう。 栄養価など高いのだろうが、残念ながら魅力を感じることができないのは自分だけだろうか。
同じような形状をしたものであっても、梨であれば秋を感じることができて食べてみる気にもなるが、リンゴは年中売っているので季節感などあったものではない。 栗も秋を感じることができるし、ミカンと言えば冬にコタツでミカンである。 スイカは夏だし、イチゴは春と冬。 やっぱり季節ごとの味わいというものがある。
同じく一年を通じて売っているものにバナナがあるが、これはコストパフォーマンスに優れる。 栄養価ももちろんだが、簡単に皮がむけ、片手で持ってモグモグと食べられるし、一本が腹に入れるちょうど良い量である。 そして 200〜300円も出せば鬼のような量が買える。 それと比較してリンゴは 1個で 150円もするではないか。 生産者は 「安くしか売れない」 と言うが、グラム当たりでは高すぎるように思う。
高い果物であっても何らかの付加価値があれば良い。 たとえばメロンなどは安いものもあるが、数千円も一万円もする品種だってある。 それでも売れるのは、その価値を消費者が認めているからだろう。 葡萄 (ぶどう) だって高くたって売れるし、やはり季節になると食べておきたい果物だ。
残念ながらリンゴに対しては、そこまでの価値を見いだすことができない。 どれだけ育てるのが大変なのかという苦労も分からないではないが、やはりリンゴの価格がもっと安くならなければ消費が増えることはないように思う。
2006 / 11 / 18 (土) ¦ 固定リンク