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破滅の音 第三楽章 破滅の音 第三楽章

  ウトウトしては腰の痛みで目が覚め、寝返りをうっては目が覚めるということを繰り返し、ろくに眠れないまま朝を迎えた。 傷みは治まるどころか激痛に変わり、呼吸すらまともにできなくなっていた。 一刻も早く状況を改善したいと考え、病院に電話してみると 「傷みが消えるまで一週間はかかりますね」 という回答。 そんなに苦しむのは嫌だったので他に何か手はないかと考える。

  頭の上で大きな電球が光ってパッパカパ〜ンとファンファーレが鳴り響き、ひらめいたのが整骨院である。 電話してみると 「一回の治療で傷みを軽減させ、三日も通えば治してやる」 とのことだった。 これは渡りに船と、早々に行きたかったのだが何せ痛くて動くことができない。 そこで、当時まだ大学生だった後輩を呼びつけて車で整骨院に護送してもらうことにした。

  出かけるために着替えをするのも大変で、洗顔やら歯磨きもできる状態ではない。 当然、整髪もできないので髪はボサボサ。 文字通りの半病人状態で車に乗り込んで整骨院に向う。 車が加速や減速するたびに口から 「うっ!」 と声がもれる。 やっとの思いで整骨院に到着し、車から抱えられるようにしてノロノロと降りると白衣を着た人が 「わっはっは」 と笑いながらこちらを見ていた。

  待合室に入ると、そこはジイサンとバアサンの巣窟のようで、灰色とあずき色の世界だ。 そんな中に二十代の若者が迷い込んだものだから全員が興味津々の顔でこちらを見ている。 中にはこちらを見ながらヒソヒソ話をするバアサンまでいて誠に気分がよろしくない。 一刻も早く治療をしてもらいたかったのだが、「そんなもんで死ぬ奴はいないから順番をまっていろ」 と言われてしまった。

  ジイサンやバアサンの視線にさらされながら待っていると、中年の男性が奥さんと友達らしき男性の肩を借りながら足を引きずるようにして待合室に入ってきた。 痛みは相当にひどいらしく、額に脂汗がにじんでいる。 事前に連絡してあったらしく、待つことなくそのまま診察室に姿を消した。

  中から聞こえてくる会話から判断すると、男性はトラックの運転手さんで、車の窓に右ひじをかけて左手でハンドルを握るという同じ姿勢を続けていたところ、背骨が曲がってしまい神経が圧迫されているのだそうだ。 それが原因で下半身にひどい痛みがあり、歩行すら困難なのだという。

  「それじゃぁ横になって〜」 という先生の声が聞こえた。 少しの沈黙があったあと、「バキバキ!」 という音と共に、「ふんっ!」 とか 「うぐっ!」 という男性の声。 バキバキという音が激しさを増し、男性の口からは 「おわぁー!」 とか 「うがぁー!」 という悲鳴に近い叫び声が発せられる。

  診察室はどんな修羅場になっているか想像すると恐くなり、ここに来たことを後悔したり帰りたくなったりし始めたころ、男性の 「うおーっ!」 という声を最後に静寂が訪れた。 あまりの激痛に息絶えてしまったのではないかとドキドキした。 しばらくすると、「ありがとうございました」 という声と共に男性が診察室から出てきたのだが、驚いたことに自力でスタスタと歩いている。

  東洋医学の神秘をまざまざと見せつけられ、自分の腰もすぐに完治するのではないかという期待と、(あの悲鳴は何だったのか?) という不安で胸が一杯になっていると、診察室の中から自分の名を呼ぶ声が聞こえた。 震える足でゆっくりと立ち上がり、ジイサンやバアサンの視線を集めながらソロリソロリと診察室に向う。 バアサンの一人が 「ぷっ」 と笑ったのを見逃さなかった。

  診察室のドアを開け、勇気を振りしぼって一歩を踏み出す ・ ・ ・ ・ ・ またまたつづく。

2005 / 11 / 19 (土) ¦ 固定リンク


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