昨日という一日

12月02日の昨日は本当に色々なことがあり、ついに仕事をすることができなかった。

できなかったというより、前の日から明日は仕事にならないと諦めたりしていたが・・・。

まずは朝イチで定期通院のため病院に行ってきた。

診てもらっている担当医は、やさしいと言うか、威厳に欠けると言うべきか、これはこうすべきであるとか、ここはこの方針で進めるといった感じで断言してくれることがない。

今年の 6月、腎臓の数値が急激に悪化した。

ずっと処方されていて問題のなかった薬の副作用かも知れないと、その時に処方薬を変えたのだが、今度はその薬の効きが今ひとつで別の数値を抑えきれていないことが発覚。

以前の薬で腎臓の数値が悪化したのは一度だけであるし、その 6月といえば叔母のレイコを震源とする『ハハキトク事件』が発生した月であり、体力的にズタボロ状態だったため、どこの数値が異常であってもおかしくない状況だったので、あの時の腎臓の数値のことは忘れて薬を元に戻そうかという話になった。

しかし、担当医は自分で薬を決めてくれず、
「どうしましょうかねぇ」
などと言う。

たぶん腎臓の数値に関してはあの時だけのような気がするし、薬を変えて別の数値をもっと抑えた方が良いのであればそうした方が良いのではないかと進言すると、
「そうですよね、そうしましょうか」
と、患者に決めさせるのである。

ちょっと頼りないような気がしないでもないが、自分の性格だと頭ごなしに言われると反発したくなるので、こういう医師に診てもらうのが良いのかも知れない。

病院を出て薬局に行き、処方薬が出されるのを待っていると隣の人の会話が耳に入ってきた。

それは 70代と 80代の女性なのだが、70代の女性が病院まで自転車で来ていると言うと、80代の女性が
「あんな遠くから?」
と言い、〇〇町からだとずいぶん時間がかかるだろうと驚いている。

70代の女性が
「違う、私の家はびっくりドンキーの近くだから」
と、病院からそれほど遠くない店の名前を教えた。

80代の女性が
「びっくりドンキー、びっくりドンキー」
と連呼し、
「歳だから何の店かパッと浮かばない」
と言うと、70代の女性が
「ならナイジェリアに行ったらいい」
と言い出す。
「どうして?」
と、80代の女性。
「パッとナイジェリアっていうから」

・・・。

・・・それは『さいでりあ』だ。

すでに倒産した新興産業の外壁材のCMソングで、小林亜星氏が手掛けた『パッ!とさいでりあ』を勘違いして覚えているのだろう。

その時点で可笑しくて可笑しくてたまらず、自分は笑いをこらえていた。

70代女性が処方薬を受け取り、帰ろうとすると自転車の鍵がないことに気づき、バッグの中をゴソゴソ探し始めたが見つからず、受け取った処方薬の袋の中もガサゴソと探し始める。

80代女性がそれを見かね、自分のポケットに手を入れてジェスチャーしながら
「ポケットにあるんじゃないの?」
と言ったと思ったら、
「あっ!あった!」
と、自分で探していたメモを見つけたその直後、70代女性も
「あった!」
と、座っていたイスの上に置いてあった鍵を見つけた。

その訳の分からないやりとりを見せられ、ついに耐え切れなくなった自分はトイレに駆け込み
「どわっはっは」
と一人で大笑いしてしまったのは言うまでもない。

午後からはショウコが暮らす施設に行き、小一時間ほど過ごした後に買い物などして帰宅。

その足でとなりの店に行って髪を切ってもらったのだが、店に通い始めて約 9年、初めて美容室に男のお客さんが来ているのを見た。

その男性はそこそこ髪が長く伸びており、邪魔になるのか後ろで束ねた状態で来店。

その長さは芥川賞作家でもあるお笑い芸人、ピースの又吉氏ほどあり、かなりの毛量なので毛先がぼわっと広がっている。

束ねた髪をほどき、どっかとイスに座った男性は
「かりあげにして」
と言い放つ。

そんなに思い切るのかと驚いたのだが、美容室担当の妹ちゃんはそれほどのリアクションを示さず、
「バッサリやるね」
などと言っている。
「いっそのこと坊主の五厘刈りでもいいんだけど」
「最後に切ったのいつだっけ?」
「えーとね、一昨年の4月くらい」

・・・。

どうやら1年8カ月ぶりの来店らしい。

思い切り短くして、また髪が邪魔になたら束ね、我慢できなくなったら切りに来るのだろう。

2016年12月02日、本当に色々なことがあった。

そして、なんだかとっても疲れてしまった昨日という一日だったのである。