禁煙の道

世の中には禁煙を補助するための薬やらグッズやらが溢れているが、なぜそれが必要であり、それを求める人が多くいるのかが分かった。

恐ろしいことに禁煙から約 70日が経過した今も喫煙の要求に襲われることがある。

08/09 の雑感にも書いたが、禁断症状は暴れだしたりもがき苦しんだりするほど過激なものではないのだが、軽い禁断症状がとにかく断続的に何回も、そしていつまでも襲ってくるもので、なかなか終わりが見えないのが困りものであり、小さな気の緩みからついついタバコに手を伸ばしたくなってしまう。

ひどい禁断症状ではないことと、割と苦しまずに何週間も吸わないでいられるので、その気になればいつでも止めることができるのではないかという変な安心感と妙な自信から、いま一本くらい吸ってもまた禁煙を続ければ問題ないのではないかという悪魔の声が左耳の奥から聞こえたりすることがある。

過去に禁煙を試みて失敗した人の話を聞くと一本吸ったが最後で元のもくあみになってしまい、タバコを吸う本数は以前と変わらなくなってしまうものらしく、ここが我慢のしどころであって、ここで我慢できるかどうかが禁煙の成否を分けるものらしい。

確かにそんなことを考えたり迷ったり、左耳から悪魔の囁きが聞こえたりすること自体、まだ中毒から脱しきれていない証拠であろうし、ここでフラフラとタバコに火をつけてしまおうものなら全てが台無しになってしまうので、右耳の三半規管付近から聞こえる 「いま吸っちゃダメだよ」 という天使の声に全面的に従うことにしている。

数十分に一度、数時間に一度、一日に一度と喫煙要求の間隔は広がり、今は数日に一度くらいの割合になっているが、この雑感を書いているときは確実にタバコが吸いたくなるのには閉口している。

以前まで、まるで売れない小説家のように雑感を書きながらバカスカとタバコを吸っており、それのクセが残っているものと思われるのだが、今でも数分に一度の割合でタバコが吸いたくなってしまう。

禁煙を完全なる成功に導くためには雑感を書くのを中止したほうが確実性が高まるのであるが、ここまで続けてきて半ば習慣と化していることを中断するのは余り気持ちが良くないし、この作業中にタバコが吸いたくなるのもセットで習慣化しているのが根本の原因であるものと思われ、禁煙状態が続けば潜在意識の中からも消える時が訪れて雑感を書くことと喫煙の要求が結びつかなくなる日が来るのではないかと期待している。

お買い物日記』 担当者の担当医に禁煙していることを告げ、それが一カ月程度であることを伝えると鼻で笑われてしまったので、そんなものは禁煙のうちには入らないのだろう。

喫煙によって汚れた肺は二度と元通りにはならず、ある程度まで綺麗になるのに 5年くらいはかかると言われているので一カ月や二カ月など、やっと緒に就いたばかりのところであってはじめの一歩に過ぎないのか。

これからも一歩、また一歩と進み、『お買い物日記』 担当者と一緒に肺を綺麗しようと思う。