2014年末に爺ちゃん先生の歯科医院が翌年 3月末で終わることを知り、それからというもの様々な情報を集めまくったが、なかなか次に通うべき歯医者さんを決めかねているうちに鬼のような早さで時は過ぎ、あっという間に半年が経過してしまった。
我が家は半年に一度のペースで歯の検査をしてもらっているので、そろそろどこかに決めて診てもらわなければと焦りつつも、母親の体調が思わしくないため6月は帰省したり少し仕事が立て込んでいたりしたので時間に余裕がなく、7月になってからやっと重い腰を上げて近所の歯医者さんに行くことにしたのである。
その歯医者さんの選定理由は単に家から近いということのみ。
爺ちゃん先生の歯医者さんは家から徒歩2分くらいで、今回の歯医者さんは3分程度の距離だ。
この半年間、色々とリサーチしまくったが結果的に評価は分かれており、どこの歯医者さんの評判が一番ということがなかったので、それならば治療に通うことを考慮した場合は最も近いところが便利であろうという結論に至ったのである。
7月9日に初めて訪れた歯医者さんの第一印象は悪くない。
先生は人当たりもよく、口の中の状態、これからする作業は何のためにどういうことをするのかなどを丁寧に説明してくれるし、爺ちゃん先生からも言われていた小さな虫歯もすぐには治療しないと申し出たところ気分を害することもなく快諾してくれた。
もう20年以上前に思い出しただけも腹が立つ歯医者で治療してもらった奥歯、そのかぶせ物が経年劣化でグラついてきているらしいが、それも今すぐではなく限界が来たら作り直してもらうという自分からの意見を尊重してくれる。
これは悪くはないと思ったので、初日だけでは歯石除去が終わらなかったのもレントゲン撮影、歯周病検査が終わってからの作業で時間がなかったからだろうと単純に解釈した。
『お買い物日記』 担当者も治療を終えて診察室から出てきたので支払いをして帰ろうと思ったが、なかなか受付で名前を呼んでくれない。
その受付というのがかなり年季の入ったご婦人で、予約した時は家族の中で最長老のお婆さんが電話に出たのに違いないと 『お買い物日記』 担当者と話していた人だろうと思われるのだが、このデジタルな世の中にあって今でもソロバンを使っているという希少な人物だ。
受付カウンターの奥からは、何度も何度もソロバンをジャーっとリセットする音と、パチパチと計算する音が聞こえるが、一向に名前を呼ばれる気配がない。
それでも今の時代、デジタルな生活を送っている者にとってはスマホという強力な武器があるので、ネットサーフィンしたりゲームをしたりしながらいくらでも時間は潰せる。
果たして何分待たされたか定かではないが、いよいよスマホの画面を見る目が疲れ始めたころになってやっと名前を呼ばれたので二人分の治療費を支払い、次回の予約をして帰宅した。
家に戻ってから 『お買い物日記』 担当者と話し、それほど悪くはない歯医者さんが近所で見つかって良かったと安堵したのだが・・・。
数日後に行った二度目の治療でも歯石除去が終わらず、三度目でも四度目でも終わらない。
あと何回くらい通わねばならないのか医者に聞いたところ、
「そうだなぁ~、あと2-3回かな」
などと言うではないか。
週に一度の治療が5回も6回も続けば1カ月が経過することになる。
それではたまらないので
「そんなに時間はないんですよ」
と伝えると、
「じゃあ何とか次で終わらせるか」
ということになり、今回の歯医者通いは五回で終了となった。
それまで治療費を支払っても明細どころか領収書もくれかなったが、一通りの治療が終わった段階で発行するシステムだったようで、例の老婆に近い受付の人がこれまでより数倍の時間をかけてパチパチとソロバンで計算して作成した内訳を含む領収書をくれたものの、それは何度も検算をして間違い部分に打ち消し線を引いただけのもので訂正印すら押されていない一般には領収書として通用しないものだった。
初回の初診料、レントゲン、歯周病検査を含む金額がそれなりになるのは理解できるが、次の歯石除去が500円だったのにその次、またその次、最終日とどんどん費用が高額化したのはどういう訳か。
そう言えば三度目以降は口内から出血している訳でもないのにチョコチョコっと歯茎に薬を塗っていたが、あの行為、あの薬だけで 1000円も加算されたのか。
一口に1000円と言っても患者は三割負担なので、ざっくり3000円ということになる。
ここに来てやはり大きな疑問が頭をもたげるようになった。
果たしてこの歯医者さんを選択し、今後も通い続けるべきか。
前の爺ちゃん先生が立派すぎるだけで普通の歯医者さんであれば歯石除去に何度も通うことになるということは義姉にも言われたが、どうにもこうにもスッキリしない。
初回を除く歯石除去だけで支払った金額は4000円近い。
爺ちゃん先生であれば一回で終わるので500円程度だ。
単に我が家の財布事情だけを問題視している訳ではない。
患者は三割負担なので今回の治療費は実質13000円ほどで、その金額が社会保険診療報酬支払基金に請求されることになる。
それが二人分なので26000円。
爺ちゃん先生であれば二人で3000円程度だろう。
つまり、23000円も多く支払基金に請求されるということであり、社会保障費の増大が大きな負担となっている国庫を圧迫するということに他ならない。
さらには治療前に待たされ、治療する時間があり、終わってからたっぷり時間をかけてパチパチとソロバンで治療費を算出するので一時間弱の時間を要する。
それが一度では終わらず5回も6回も通うのであれば失う時間も大きいではないか。
たかが歯石除去にそんなに時間も金もかけていられない。
尊敬してやまない爺ちゃん先生が言っていた。
「今は歯医者でもセカンド・オピニオンが必要な時代でな・・・」
実は次に近い歯医者さんが徒歩4分くらいのところにある。
次の検査である年末にはそちらに行ってみて、どちらが信頼できるか比較してみようかと思っているところだ。