再認識

今回の引越しに関わる一連のことで、携帯電話の利便性と実力を改めて見直すことになった。 コンピュータ業界に携わり、パソコンの利便性に関しては熟知しているつもりだが、あまりにもそれに浸かり過ぎていたため、携帯電話を過小評価していたのである。

今までも携帯電話は所有していたが、それは携帯などと呼べるものではなかった。 第一、在宅勤務になってからは外出の回数がめっきり減ったので携帯する必要がない。 家に置いてあっても用件は固定電話にかかってくるので電源を入れておく必要すらない。 たまに外出する際も 『お買い物日記』 担当者が携帯電話を持っていれば、自分まで持つ必要がない。

むしろ休日や時間外に仕事の電話を受けるのは面倒だったので、あえて携帯しなかったというべきかもしれないが、とにかく携帯されない電話でしかなく、単に基本料金を払っているだけ馬鹿馬鹿しい無用の長物と化した文明の利器だった訳であり、たまに使うとしても音声通話が主で、E-mail の送受信など年に数通しかない状況だった。

それは主にパソコンを使っていたため、「何も親指だけで文章を作成することなどあるまい」 と思っていたのでり、実際に携帯で文字入力をしようとするとイライラして床に投げつけたくなったりしていた。 おまけにパソコンと比較して処理能力が劣り、「Web ページなんぞ見られたものではない」 と思っていたので使用頻度はますます低下する。

「使い物にならない機器」 という偏見から、機種変更もしなくなる。 いつまでも古い機種を持っているから輪をかけて使用頻度が低くなるという悪循環に陥り、結果的に通話もメールもしなければ、携帯もせず電源も入れない単なる電子部品の塊となってしまっていたのである。

今回は義兄の件があったので、いつどんな時でも連絡の送受信が可能なようにする必要があった。 それまで使っていた携帯端末は機種が古いこともあり、電池の寿命が極端に短くなっていたことと、一世代前の規格だったので通信速度が遅いことなどを理由に新しい機種に変更することにした。

そこで目の当たりにしたのは技術革新が恐ろしいほどの速度で進んでいる事実である。 搭載しているカメラは 500万画素を超え、通信速度はカタログスペックで下り 3.1M 上り 1.8M にも達している。 実際に手にしてみると、それまで使っていたものとは明らかな差があり、E-mail の送受信、ブログへの書き込み速度もストレスを感じないほどになっていた。

ただし、文字入力だけは相変わらずのストレスで、自分の指が思い通りに動かないことがもどかしい。 頭の中で文章を組み立てている速度で文字入力ができない。 しかし、これは機器のせいではなく自分側の問題なので克服するしかない。

機種変更してから新居に電話回線が引かれるまでの数週間、携帯電話は本当に活躍した。 長兄夫妻との密な連絡、各種事務手続きの連絡先としての登録、仕事関連の E-mail 送受信、交通機関の予約や運行時間の調査、そして 『管理人の独り言』 をはじめとするブログの更新。 これだけ使いまくると文字入力にも慣れて、ギャルばりの速さではないにせよ、ある程度の速度で入力できるようにもなった。

ずっと小ばかにしていたが、携帯電話の持つ利便性、その性能、その将来性に今更ながら感服し、今までの偏見を改め、その重要性を再認識しなければならないと心に誓ったりしたところではあったのだが、自宅に光回線が通り、最新のパソコンを導入した今、やっぱりパソコンの利便性や能力、文字入力のし易さはすばらしいと再認識したりしているところだったりするのである。