政治家は第一に選挙に勝つことしか考えず、自身に一票を投じてくれる有権者のことしか見ておらず、その有権者に耳心地の良いことを並べ立てたものが当人の政策、公約へと昇華すると言っても過言ではないだろう。
つまり、自分に有利な人を相手に政治をしているのであって、役に立たない人の意見など聞く耳を持たないのは言うまでもない。
選挙で当選するため投票率の高い高齢者向けの演説をし、それがやがて政策となり、公約であるかのごとく周知されていく。
したがって国そのものが高齢者を優遇する政策になりがちで、年金、医療改革が進まず、いつまでも若者が老人を支える構図から抜け出すことができない。
これで若者の投票率が高ければ政治家の目が向けられ、意見を無視することができなくなって安心できる年金制度、負担の軽い医療費、医療保険制度が考慮される政策へと変わるだろう。
次に投票率の高い中年層は老人の次に大切であるし、口コミが広がりやすく感情的行動に走りやすい主婦層も無視できないことから、子育て支援、妊娠出産時における女性の持続可能な就業対策、中高年の雇用維持、再雇用支援を念頭に置いた景気対策に焦点が当たる。
新卒の就職率が低下し、職に就けない若者が増え、労働、賃金格差が広がる一方であっても投票率の低い層の声は政治家の耳に届かない。
それは、ある意味において当然であり、まともに投票に行かず政治参加もしない若年層には不平・不満を言う資格はない。
今回の参院選の正確な調査結果はまだ発表されていないが、昨年末の衆院選では 60歳以上が約 63-75%の投票率、40-50代は約 50-60%、30代は約 50%となっている。
そして 20代はというと約 38%であって、年代別で比較すると劇的に低い数値だ。
単なるパーセンテージではなく各年代を構成する人口比率を当てはめた投票数に換算すると、20代と 60歳以上では 3倍以上の差が出るのではないだろうか。
繰り返しになるが、それだけの票差があれば若者に対する政策など二の次、三の次になってしまうことも否めない。
就職格差、賃金格差、年金・医療保険制度、就職・再就職支援などの負担軽減、支援を得られたかったら政治に参加し、選挙に興味を持ち、投票に行くべきであり、それができないのなら世の中に文句を言うべきではないし、不平や不満を政治の責任と転嫁するのも止めるべきだ。
投票に行かない理由でよく聞くのが
「一票を投じたところで何も変わらない」
「選挙の争点に興味がない」
などという意見だが、実のところは何も考えていないものと思われ、聞かれたから慌てて理由付けしただけのことであろう。
実情は
「かったりーし、めんどーだし、そもそも興味ないし」
といったところで、先週の日曜日(21日)が投票日であったことすら知らず、自宅に届いているであろう選挙通知書にすら目を通していないどころか、瞬時にしてゴミ箱に直行したものも少なくないのではないだろうか。
先々週の雑感でなんとか投票率を上げる方法はないものかと考えてみたが、よく考えると自分もこれから高齢者となっていくことであるし、このまま若者が選挙に興味を持たず、政治家が我々世代の意見だけに耳を傾けてくれる方が得なのではないかという気がしてきた。
若者よ、投票になど行くことはない。
これら窮地に追い込まれようが、高負担で低福祉しか受けられなかろうが、どんな苦労をしてでも負担金を捻出し、我々のような高齢者を支えておくれ。