16日の雑感の続きになるが、オッサンの目から見ると近頃の若い者はいったい何を考えているのか理解し難い。
少し前に雑誌で読んだのは、最近の若者は面倒が苦手であるという内容だ。
菓子メーカーのロッテの根幹を支えてきたガムは 1950年に発売して以来、右肩上がりで市場が拡大してきたのに 2004年をピークに縮小に転じたそうだ。
その主な原因は若い人がガムを噛まなくなったことにあるという。
そして、ガムを遠ざけている驚くべき要因とは・・・。
「個別にされている包装を剥くのが面倒」
「ガムを噛むのが面倒で疲れる」
・・・・・。
「そんなことが面倒だったら一生ガムなんか噛むなあぁぁぁー!」
と、若者の耳をちぎれんばかりに引っ張った上で腹の底から大声を出して怒鳴り散らしてやりたい気分だが、菓子メーカーにとっては由々しき事態である。
そこでロッテが開発したのがフィッツというガムのシリーズで、包装を剥くのが面倒という声に対応してパッケージと包装の一部を接着し、ガムの端をつまんで引き抜くとワンタッチで包装が剥がれるようになっている。
また、噛むのが面倒で疲れるという声に対応し、今までと比較すると考えられないほどガムを柔らかく仕上げてあるとのことだ。
そして、ガムを噛むといつかは吐き出さなくてはならず、捨て場所を探すのも紙に包んで捨てるのも面倒という声に対応し、味を長持ちさせて噛み始めてから 40分間は持続するようにしたという。
消費してもらう立場になれば、ユーザーのニーズを探り、的確な商品開発をするということに徹しなければならないのだろうが、そこまでしなければいけないのかと頭が下がる思いだ。
世の中はどんどん便利に、どんどん楽になっていく。
良く言われることだが、昔と比べて炊事、洗濯、掃除がどれほど楽になり、どれほど時間短縮ができたことか。
炊飯ジャーの登場によって放っておいてもご飯は炊ける。
米を研がずとも無洗米がある。
炊き上がったご飯をおひつに移す必要もない。
電子レンジやオーブンがあれば短時間に、そしてセットさえすれば放っておいてもできあがる。
全自動洗濯機があれば放っておいても衣類は綺麗になるし、自動掃除機ルンバがあれば勝手に部屋の掃除もしてくれるので何もする必要はない。
それらの機器の登場によって手間や時間が軽減され、重労働から解放されたのは事実であり、世の中が便利になったのは喜ばしいことだ。
しかし、噛むのが面倒とか疲れるなどというのは次元が違う。
骨を取るのが面倒だからという理由で魚の消費量が落ち込む。
漁業関係者は魚離れを食い止めるため、骨を取り除いた魚を売る。
食べるのが面倒という訳の分からない要求に対応し、中国人やベトナム人がピンセットを握り締め、安価な労働賃金で必死になって骨を取り除く。
果たしてそれは正しい世の中なのだろうか。
そんなに何もかもが面倒なのなら歩くことも食べることも呼吸することも止めてしまえ。
・・・などと、オッサンは思ったりするのである。