老化の弊害

08/01の雑感にボケ度合いが進んでいることを書き、それでも二人同時にボケたなら、それはそれで良いのではないか的な意味合いで文章を結んでいるが、果たして本当にそうなのだろうか。

あれからまだ二週間しか経過していないのに、すでに色んなことを何度も忘れ、二人の頭の上には大きなクエスチョンマークがボヨンボヨンと浮かんでは消えたりしている。

今日の昼食は冷麺を食べたのだが、去年は冷麺を食べたのか食べていないのか。

お買い物日記』 担当者の入院などもあり、ただでさえ衰えた記憶力に忙しさが加わって食事のことなど余計に記憶が薄れている。

第一、2-3日前の食事を思い出すのでさえ時間がかかり、脳をフル回転させなければ記憶を引き出すことができないのに、一年前に何を食べていたかなど 1psec(ピコ秒) の記憶もあるはずもなく、逆立ちしたってヘッドバンギングしたって思い出せるはずがないのである。

どんなに記憶力が悪くなろうと、仕事や生活に支障がなければかまわないだろう。

仕事でプログラム命令のスペルを忘れても調べたら分かることだし、約束ごとも手帳にメモするとか携帯電話にでも登録しておけば忘れることはない。

普通に生活していて一週間前の記憶が定かではなくても、それが原因で大きな問題が発生することはないだろう。

しかし、普通ではない状態、たとえば何らかの事件に巻き込まれて犯人と疑われた場合、アリバイを聞かれたところで何も思い出せない可能性が高い。

3日前、一週間前なら油汗を 6ガロンほど流して考えれば何とか思い出せるかもしれないが、一カ月前ともなるとお手上げ状態だ。

おまけに自分の場合は自宅にこもりっきりで散歩とちょっとした買い物の荷物持ちくらいしか外出しない。

薄暗い警察の取調室、ネズミ色したスチール製の机に裸電球のスタンド、金属製の灰皿にはタバコの吸殻が山のようになっており、ネクタイを緩め、くわえタバコの刑事が脚を組んで
「一カ月前の 7月 15日、どこで何をした!?」
などという昭和の刑事ドラマ丸出しのシチュエーションで迫られても何も思い出すことはできないだろう。

「ずっと家の中にいました」
「外出はしていません」
「何を食べたのかも思い出せません」

そもそも家から出ることがないので、ずっと外出していないことを証明してくれるのは 『お買い物日記』 担当者のみであり、第三者がアリバイを証明してくれることなど有り得ない。

仕事に関する e-mail の送受信記録は残っているだろうが、何せデジタルな情報ゆえに本人ではなくても取り扱い可能なのが弱い点だ。

つまり、間違いなく自分が文章を作成し、その時間にみずからの手によって送信したことなど証明できない。

これで記憶が鮮明であれば、昼食は何時から始めて何を食べ、見ていたテレビでは何を伝えており、その時どんな会話をしたのかを事細かに説明し、なおかつそれが 『お買い物日記』 担当者の記憶と寸分の違いもなければ少しは信憑性も増すというものだ。

しかし、まことに残念ながらボケボケ二人組みでは、そんなことは望むべくもなく・・・。

自分の周りで妙な事件などが起こらないことを願うばかりである。