老化の進行度合い

少し前の雑感に書いたように著しく老化は進行している。

最近はそれに益々加速度がついてきたようで、昨夜食べたものすらなかなか思い出せない。

どちらか一方だけの症状であれば今後に関して大きな不安を抱いたり、相手に対して腹が立ったりするかもしれないが、自分も 『お買い物日記』 担当者も同じなので二人でボケボケ状態になって暮らしている。

昨日の晩御飯であればまだ何とか思い出せるが、二日前、三日前となるともうダメだ。

二人そろって頭の上に大きなクエスチョンマークを浮かべてボ~っと一点を見つめたりしている。

最近は何を食べても美味しいので、きっとその時も
「うんまーーい!」
感嘆し、二人そろって
「おいしいね」
と言いながら食べているはずだ。

ところが、その美味しかったものが何なのかがハッキリしない。

頭の中に霧がかかったようにモヤモヤしており、それがイライラするのと同時に底知れぬ恐怖が襲いかかってくる。

「本格的にボケてきたのではないだろうか?」
「このまま記憶が薄れて何も思い出せなくなるのではないだろうか?」
「そもそも物事を記憶することができなくなるのではないだろうか?」

そんな焦りを感じつつも、必死になって思い出そうとする。

人によって記憶を掘り起こすプロセスは異なるだろうが、自分の場合はボンヤリとした色が手がかりになることが多い。

黄色っぽいイメージであれば、卵焼き、オムレツ、オムライス。

赤っぽいイメージであればケチャップを使った料理。

ところが、この歳になると食べ物全般が茶色っぽい。

赤とか緑とかの華々しい色彩はサラダで食べる生野菜くらいなもので、そんな記憶をたどっても主菜にはたどりつかない。

茶色のイメージを増幅させてもなかなか食べたものにたどり着かず、煮物、煮魚、キンピラ、炒り煮とか漠然とした感じで脳が空回りする。

それでも食い意地が張っているのか、食べ物に関しては思い出すのを断念したことはなく、回転の鈍い脳を酷使して何とか思い出すに至るところまでは事態が進む。

問題なのは芸能人、それもカタカナ交じりだったりすると限りなくお手上げ状態だ。

『お買い物日記』 担当者との会話で誰かの名前を言おうとして思い出せず、話を中断して考えるのだが、二人とも 「う~む」 と腕組みしたまま固まっている時間が長い。

しばしの間、あーでもない、こーでもないと二人で手がかりを探し、やっとの思いで脳の奥底からひねり出したときには万歳三唱したくなるほどの喜びだ。

ところが、どこをどうやってひねっても、逆立ちして頭を振っても思い出せないこともある。

途中で思い出すのを諦め、思考も停止しているはずなのに、トイレの中、歯磨きの最中、入浴中など、2-3日後にひょんなタイミングで思い出したりすることもあるのが不思議だ。

しかし残念ながら、それを思い出したときには、もともと何の会話をしていたのか忘れている・・・。

なんだか惨憺たる状況であり、このまま脳がスカスカになってしまいそうではあるが、その進行が同じペースであって二人同時にボケたら介護に追われることもないと思われるので、ある意味では幸せなことなのかもしれないなどと思ったりしている今日この頃である。