将来像

新年早々にグズグズと文句を言うのもどうかと思うが、やはり日本は衰退に向かっていると考えて間違いなさそうである。

2003年、JAS法の改訂によってその名前での販売が禁止されるまで 『銀ムツ』 という名で流通していた魚の 『メロ』 だが、今は国内流通量が減少し始めている。

もともとは輸入価格が安く、『ギンダラの』 の代用品、高級魚である 『クエ』 の偽装用として大量輸入されおり、日本とアメリカで漁獲高の 90%を消費していた魚の流通量が減ったのは、健康志向が高まったヨーロッパでの消費量が増えたことと、中国やインド、ブラジルが経済発展して豊かになり、人口の増加もあって各国の輸入量が爆発的に増えているからだ。

現在は、限られた食物、石油や天然ガスなどのエネルギーを各国が奪い合う資源争奪戦が展開されている状況だが、デフレ慣れして価格高騰を消費者が許さない日本は、高値で資源を落札することができず、他の国に買い負けている。

昨年からエビの 『ブラックタイガー』 の国内流通量も減ったが、理由は上述の 『メロ』 とまったく同じだ。

北海道で水揚げされた 『クロマグロ』 が史上最高価格で中国企業に落札されたのは今週のことで、輸入品どころか国内産のものまで海外に出ていってしまう。

日本では商売にならないからと、北海道の一部の漁協などは中国やロシアへの輸出量を大幅に増やしている。

アメリカやオーストラリアから脂身の多い安い牛肉を大量仕入れして牛丼チェーンで低価格販売している一方、日本国内のブランド牛は、その品質の高さや味の良さから海外での人気が高まり、どんどん外に出ていってしまっている。

国民は粗食に耐えながら高級なカカオ豆を輸出していたコートジボワールとか、同様に高価なコーヒー豆を輸出していたブラジルが国力を増し、大量輸入する割に食べ残して大量廃棄していた日本がだんだん国力を失い、粗食しか口に入れられない国民が高級食材を輸出するという立場の逆転がまさに起ころうとしている。

かつて、この世の春を謳歌した家電メーカーも世界では存在感を失い、韓国、中国メーカーに大きくシェアを奪われており、技術の流出にも歯止めがかからないのが現状だ。

VHSや DVD、ブルーレイディスクなど世界標準規格になる製品を開発し続けてこられたのも今は昔、これからは中国や韓国に主導権が移っていくだろう。

ブルーレイに続く次世代規格、テレビ信号の規格、電球のソケットの規格に始まり、今後は全世界で広く普及することが確実視されている電力制御に関する規格のスマートグリッドまで、すでに各国は世界標準規格づくりに向けて政治と官僚、産業界が一体となって邁進しているが、日本は政治がアホで主導権がなく、メーカーが多すぎて利害の調整がつかず国内ですら足並みが揃っていない。

まだ話し合いを始める日程を調整しているような有様では、すでに街そのものを作って実証実験を始めた中国などにかなうはずがないだろう。

今は世界トップレベルの自動車産業もインドや中国に追いつかれる日は遠くないかもしれず、上述した電力制御関連の技術や規格が他国の主導となった場合、今後は間違いなく普及する電気自動車の開発に大きな支障が出てしまうのも確実だ。

日本にはエネルギー資源がないと嘆いてばかりいるが、実は近海に天然ガス資源があるのに中国が先に手をつけて日本側の水域内であるにも関わらず採掘を始めようとしている。

メタンハイドレートも深海ではあるものの日本のすぐ近くに眠っており、それをガス化すれば 200年分にも相当する埋蔵量があるにも関わらず政府は何もしていない。

沖縄沖の水深約 1100mの海底に眠る黒鉱は世界に類を見ないほどの埋蔵量があり、レアアースと呼ばれる希少金属の含有量も高レベルだというのに政府は何もしていない。

ここは一発、増税してでも投資し、今は苦しくとも 10年後、20年後には再び国力を増し、世界から認められて尊敬されるような将来の国家ビジョンを描いていただけないだろうか。

リーダーシップを発揮し、日本を良い方向に引っ張て行ってくれるのであれば、それが共産党でも社民党でも構わない。

もし何の道しるべも示されないのであれば、日本が太平洋に沈んでしまう前に脱出したいと真剣に考えてたりしている今日この頃である。