歯医者五軒目

過去に通った歯医者

大阪を出てこの町に移り住み、やっぱり問題になるのは歯医者選びだった。

古くから住む人達にリサーチしてみる。

実はこの家から徒歩 3分のところに一軒の歯医者さんがあり、それは 『お買い物日記』 担当者が子供の頃から存在するので言わば老舗的なところだ。

歯科医の過当競争が激しさを増して弱肉強食のごとき生き残りかけた争いが繰り広げられる時代にあって、淘汰の波にさらわれずに続けていられるのは、医師は相当に腕が良く、固定客が数多くいるのではないかと予想される。

当然のことながら評判も上々なのではないかと聞いてみたところ、これが予想に反して微妙な反応なのである。

みんなが共通して言うのは
「先生が怖い」
ということだ。

なんでも
「すぐ怒る」
とか
「しょっちゅう叱られる」
のだそうで、なかには
「もの凄く怖いから絶対に行きたくない」
という人まで現れる始末だ。

ただし、話を総合すると腕は決して悪くないらしい。

いくら腕が良くてもそんなに恐ろしい歯医者をわざわざ選択することもなかろうと、結局はどこに行くのか決めあぐねていた。

例年であれば 6月と 12月に何もなくても検査を受けに行っていたのだが、昨年は急な引越しをしたこともあったり、『お買い物日記』 担当者が大病を患ったり、歯医者をどこにするかグズグズと迷ったりしているうちに日が経って行きそびれてしまった。

そんなこんなで過ごしていた 2008年の 10月、以前から何度もとれている差し歯が食事中にポロリと抜け落ちてしまった。

そうなったらグズグズしていられない。

「行くとしたらここかな?」
という程度には目星をつけていた歯医者での治療となった。

その歯医者は妙に空いていた。

受付を終わらせ、待合室に行っても誰も居ない。

奥からは治療中である歯医者特有の音も聞こえてこない。

当日のことは 『管理人の独り言』 にも書いたように、先生が少々荒っぽい感じはしたものの、大きな問題があるとは思わなかった。

しかし冷静に考えてみると、ちょっと腑に落ちないことがある。

大阪では何度だって入れなおしてくれた差し歯なのに、形状が合っていないから作り直したほうが良い的なことを言ってくる。

大阪では抜こうとせず、食べ物が挟まらないようにしてくれていた親知らずも抜いたほうが良い的なことを言ってくる。

そして歯の検査をしてもらったところ、多くの歯で歯周病が進んでいるから治療したほうが良い的なことを言ってくる。

10カ月前に大阪で検査してもらったときは歯周病の“し”の字も言われなかったのに、そんなに急速に進行するのだろうか。

最後に歯石を除去してもらったのだが、その際に感じた歯茎全体の痛みは半月ほど癒えることがなかった。

そして何よりも、あんなにスカスカに空いているのは人気がない証ではないのか。

「また 3-4カ月したら歯周病の検査に来てください」
と言われたが、もう二度とその歯医者に行くことはなかった。

そして、他に良い歯医者はないものかとリサーチを続ける日々が再び続いたのである。

猛省

結論から先に書くと、昨日の夕方に発生したネット回線の不通の原因は我が家にあったことは間違いなく、IT業界の端っこに身をおく者として、あるまじき失態をさらしたばかりか NTTのオペレーターに対して嫌味たっぷりな態度をとってしまったことを深く反省し、どこのどなたかに不快感を与えてしまったことも猛省するとともに陳謝する次第である。

数週間前、同じくネット接続できなくなる状態になったことがあった。

同時に使用している IPフォンも不通になったことから、これは間違いなく NTTかプロバイダでトラブルが発生したものと思われ、もし長引くようであれば原因を究明しなければいけないと考えているうちに、小一時間ほどして復旧した。

その後、NTTのサイトを見ても、プロバイダのサイトを見ても障害の報告はなく、いったい原因はどこにあるのか不明なまま時が過ぎてしまったことが今回の件に関しても業者に不信感を持ってしまったことが根底にある。

昨日の夕方、『お買い物日記』 担当者が
「ネットが繋がらないみたい」
と言い、
「ブラウザを再起動してもダメ」
と救いを求めてきた。

自分のパソコンから試してみても繋がらない状態だったので、
「回線かプロバイダかもね」
と答え、
「一時間くらいしたら復旧するんじゃないかな?」
と伝えておいた。

前述したように、数週間前にも不通になることがあったので
「またか」
という程度にしか考えていなかったのである。

ところがその一時間後、パソコンを操作しても繋がらない。

それでも、長く不通になることはないだろうと考え放置を決め込んでいた。

晩御飯を食べ、テレビを見たり何だかんだと時間が過ぎた 21時、やっぱりネットは繋がらない。

前回の経験と同様に IPフォンも不通のままだ。

ためしにパソコンからルータの設定を確認すると、外部とのコネクションが 『切断』 状態のままになっている。

手動で接続を試みるも、何度トライしようが繋がらない。

そこでついに NTTへの接触を試みる。

その時の状況は 『管理人の独り言』 にある通り。

原因は NTTに違いないと信じ込んでしまっている自分は 113が 24時間対応ではないことに不満を持ち、116でも状況を打破できないことに腹を立て、ついついオペレーターのお姉さんに嫌味たっぷりな口をきいてしまった。

それでも就寝までに繋がるかもしれないとのん気にかまえていたが 22時になっても復旧しないので、この雑感の更新を諦め、パソコンの電源を切り、他で運用しているブログや管理人の独り言を携帯電話から更新した。

文字入力する親指に限界を感じ、そこそこで切り上げたのが 23:30。

そろそろ就寝しようかと立ち上がり、ルーターに目をやると光っている LEDの数も少なく、まだ繋がっていないことを物語っている。

次に何とはなしに光回線終端装置に目をやると、一切のライトに光が灯っていない。

・・・・・。

「NTTに問題があるんじゃなくて機器の故障か?」

・・・・・。

装置を手に取り、調べようとしたその時!!

電源コードがコンセントから抜けていて、ズルリと動く。

・・・・・・・・・・。

手にとってみると、間抜けにプランプラン揺れている。

・・・・・・・・・・。

愕然と、そして呆然と、さらには唖然としてしまい、宙を見つめたまま少しの間かたまっていた。

そして脳裏によぎる取説の文字。

============================================
故障かな?と思ったら
コンセントに正しく接続されていますか?
============================================

「そんな奴いないだろ!?」
と馬鹿にしていたものだが、その馬鹿がここにいた。

116のオペレーターを思い、天に向かって泣きながら謝ってみたが、その声が届くはずなどない。

あの時の
「申し訳ありませんが・・・」
という悲しそうな声。

その声を思い出しながら、当分は猛省の日々を送ろうと思う。

歯医者四軒目-後編-

過去に通った歯医者

先週の雑感に書いたように差し歯の一本がグラグラになっており、レントゲンを撮った結果、土台となっている自分の歯が割れてしまっていることが判明した。

土台がダメなのであれば何度歯を入れ直しても無駄というものであろうし、安定せずにグラグラした状態のままでは気になって前歯を使うこともできない。

もう 「かまわねぇ、ずっぽりと抜いてくんな」 的な江戸っ子ばりの覚悟をしたが、問題となっている歯を左右の歯に固定して支えるという技を駆使して治療する方針が示された。

こちらとしても痛い思いをして抜かれるより少しでも楽な方法があるのであれば大歓迎であるので、その方針に素直に従い、結果的に歯が抜かれることはなく治療が終わった。

前の歯医者では親知らずを三本も抜いていたが、とうとう左下に最後の一本が姿を現した。

そいつがとてもひねくれた奴で、もの凄く斜めに生えてきたものだから途中で奥歯と接触して進路を阻まれ、中途半端に顔を出したまま成長を阻害されている。

またその角度が微妙な具合で、とても高い確率で食べ物が挟まってしまい、食事のたびに爪楊枝のお世話にならなければならず、相当なストレスを感じていたのだが、親知らずなんていうものは生えてきたら抜かれることが多く、ましてや変な生え方をしているのだから当然の事ながら抜かれるものと思われた。

今度こそは 「かまわねぇ、ずっぽりと抜いてくんな」 と覚悟して相談したが、食べ物が挟まる場所を埋めることで対処し、やっぱり抜かれることはなかった。

その治療方針は自分としても精神的苦痛、外的苦痛を受けることがないので好感が持てたが、実は先生が血を見るのが嫌いだったのではないかとちょっと疑ったりしている。

真相がたとえどうであれ、歯を抜かれることもなく、そして以降に何の問題もないのであればわざわざ痛い思いをしてまで抜歯してもらう必要などないだろう。

お買い物日記』 担当者に歯医者さんがとても優しく、あえて大規模工事のような治療をせず、必要最低限の治療をしてくれることを伝え、それからは二人で通うようになった。

『お買い物日記』 担当者も先生のことが気に入り、その的確な治療方法、すぐに抜くことはしない治療方針を二人で褒め称え、紹介してくれたご近所さんに感謝したものだ。

それからは二人で半年に一度、何も問題が起きていなくても検査を受けに行くことにしていた。

自分では気づかない小さな虫歯ができていないか、歯石がついていないかなどを診てもらい、最後に歯をクリーニングしてもらう。

たまに極々小さな虫歯が発見されることもあったが、本当の初期であるため簡単な治療で終わるので何度も通う必要がなく、また、痛い思いをするほどの治療にもならない。

医者と患者の良好な関係を保ちつつ長年お世話になった歯医者さんだったが、遥か北の大地に引越しすることになっては二度と通うことができない。

大阪を旅立つ日、JRの駅に向かう途中で歯医者さんを訪ねて長年お世話になったお礼を言い、引越しする旨を告げてから千里丘を後にしたのであった。

歯医者四軒目-前編-

過去に通った歯医者

久々に歯の治療を始め、以前はボロボロになって歯が抜けようと折れようと歯医者さんに行かずに放置しておいたところ、口内が荒れ放題に荒れた廃屋のごとき状態になってしまったことを思い出している。

以前勤めていた会社の社長に脅され、なだめすかされて、やっと治療に行った歯医者さんが最悪で・・・というのが前回までの流れだった。

もう二度と歯医者さんで怖い思いをするのは嫌だったので、それからの自分は生まれ変わったように定期的に検査を受け、ちょっとでも悪くなっていれば早目に治療してもらうように心がけるようになったのである。

先週の雑感にも書いたが医者と患者には縁とか相性というものがあり、いくら腕が良くても人柄が好きになれなかったりしたら長くは続かない。

何回か通っておこなう治療にしても、何年間にもわたって定期的に訪れて検査をしてもらうにしても、相性がよくて信頼関係が構築されていなければ難しいだろう。

だれでも同じだと思うが、大阪に行って最初に歯医者さんに行く必要に迫られたとき、近所の人とかに評判を聞いて回ったものである。

当時は今ほどネットが普及していなかったことと、掲示板やブログなどで情報収集する手段を持ち合わせていなかったこともあり、頼れるのは土地に古くから住んでおられる人達によるフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションで得られる情報のみだ。

中でも向かいに住んでおられたお年寄り夫婦とそのご子息、さらにはその子供という親子三代にわたって通っているという歯医者さんに魅力を感じ、近くの商店街にあるその歯医者さんに通うことに決定した。

最後に治療を受けた歯医者さんがとんでもないところで、さらには引越し前の突貫工事が災いしたのか、あるいは極端に腕が悪かったのか、入れてもらった差し歯がポロリと抜け、次に別の前歯も抜け、それからは年に一度くらいの割合で右や左の歯がポロリポロリと抜けていた。

そのたびに歯医者さんに行って治してもらっていたのだが、その先生は一度たりとも以前通っていた歯医者さんを悪く言わなかった。

よく抜ける一本は型が合っておらず、中に空間ができているので噛む圧力によって微妙に動き、せっかくセメントで固定しても少しずつ弱くなって抜けてしまう。

同じく抜けやすいもう一本は、土台となる本物の歯を削りすぎて薄くなっていたために噛む力に耐え切れず、割れてしまっていて何度入れなおそうと固定させるのは難しい。

いわば前回の歯医者さんの技術が劣っていたと言えるだろうが、決してそのことは口にしない。

営業職でも同じことが言えるが、他社(他者)を悪く言って自社(自分)を良く見せようというのは最低の手法であるにも関わらず、その手を使ってしまう人が実に多い。

しかし、その先生はそういうことを口にせず、作り直したほうが良いとも言わず、抜けた差し歯を何度も持って行ったが、その度に淡々と治療してくれた。

その人柄に加え、とてもおだやかな口調で話してくれたり説明してくれるところが好きで、大阪に住んでいる間は最後までお世話になることになったのである。

~ つづく ~