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雑感何となく感じたこと雑感何となく感じたこと

オバチャン・パワー オバチャン・パワー

  最近になって英語教育が盛んになってきたので将来的には解消されることだろうが、日本人は役に立たない英語を教えられてきたこともあり、どうしても英語圏の人とのコミュニケーションが苦手だ。 外国人に話し掛けられると極度の緊張状態に陥るし、海外旅行前など必要最低限の会話だけでも身に付けようと必死になって本などを読み漁る。

  それでも、そんな努力をする日本人は偉いと思うし、可愛いものである。 よそ様の国にお邪魔するのだから、相手の国に少しでも合わせようとする奥ゆかしさが感じられるではないか。 その点、アメリカ人は日本に来ても堂々と英語で話し掛けてくる。 英語が苦手なこちらが、しどろもどろになっていると、さも英語が話せないことが信じられないという素振りである。

  日本人が外国に行った場合は、客分としての立場をわきまえているというのに、他国におじゃましているという立場を理解してない。 確かにヨーロッパ圏はもちろん、同じアジアであるホンコンやシンガポールなど英会話に支障のない国はあるが、日本の場合は母国語すら満足に話せない人が多いのだから英語までペラペラと話すことはできないのである。

  それでも客分という立場に関わらず、堂々と日本語で通そうとする人たちも日本人の中には存在する。 それが恐れるかな関西のオバチャンたちだ。

  以前ラスベガスに行ったとき、夜のカジノで一人優雅にスロットマシーンで遊んでいると、ドヤドヤと日本人の団体が現れたと思ったら、ワーワーギャーギャー言いながらポーカーやら何やらを始めた。 大声で機関銃のように喋りまくるオバチャンたちの言語は、あきらかに関西弁だ。 不思議なもので、そんな喧騒の中に身を置くと華麗で優雅なカジノではなく、『賭博場』 という表現がピッタリに思えてくる。

  周りのアメリカ人たちも何事かと少し驚いていたが、声の主がオバチャンたちだと分かると 「プッ」 と吹き出し、オバチャンたちを指差してニヤニヤしている。 何だかとっても恥ずかしくなり、「私は彼女たちと同じ民族ではありません」 という態度でスロットマシーンを回し続けていた。

  すると、遠くにあるスロットマシーンから 「ギャー!」 という絶叫が場内に響き渡る。 何事かとそちらを見ると、25セント用のマシーンで ”良い目” が揃い、チャラチャラとコインが出ている程度のことだった。 周りから失笑されているとも知らず、怖いもの知らずのオバチャンたちのボルテージは高まるばかりだ。

  コインがなくなったので両替に向うと、そこにはオバチャン軍団がひしめいていた。 両替をしてくれるカウンターに 「バン!」 と 100ドル札を置き、鼻息も荒く 「これ 1ドル硬貨に換えてください!」 というバリバリの日本語。 カウンターに座るお兄ちゃんが青い目を ”白黒” させながら困った顔をしている。

  英語で何かを伝えていたが、オバチャンたちは聞く耳を持たず、「そこにあるやんか」 「その 1ドルに換えてくれたらいいんや!」 と攻撃の手を緩めない。 スッタモンダの挙句、1ドル硬貨を手にしたオバチャンたちは 「これから本番の大勝負や!」 と言いながらドスドスと立ち去って行ったが、残されたお兄ちゃんは疲れ果てて魂の抜け殻みたいになっていた。

  そのカウンターに向うと、お兄ちゃんは 「また日本人が来た!」 と体をビクッとさせて緊張する。 気の弱い日本人である自分は、「Please exchange it for one dollar.」 と小声でお願いする。 お兄ちゃんは少しほっとした顔になり、へたくそな発音なのにも関わらず、こちらの意図を汲み取って 1ドル硬貨を渡してくれた。 そしてニッコリ笑いながら 「Good luck」 と言ってくれる。

  とりあえずは 「thank you」 と言い残して ”戦場” に戻ったが、あちらこちらから聞こえるオバチャンたちの大声にパワーを吸い取られ、散々な結果だけを残してスゴスゴと部屋に退散することになってしまったラスベガスの夜なのであった。

2006 / 11 / 04 (土) ¦ 固定リンク


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