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雑感何となく感じたこと雑感何となく感じたこと

超プチ家出 超プチ家出

  『プチ家出』 という言葉が数年前から使われている。 多くは中・高生に見られ、友達の家などに外泊を続けて何日も自分の家に帰らないという現象だ。 一応は携帯電話で居場所を親に連絡しているため、通常の家出とは異なるのだが、何日も外泊を続けて家に帰りたがらないという意味では、ちょっとした家出の心理だ。

  これは携帯電話の中・高生への普及と共に増えてきている現象らしく、携帯電話で親と子が連絡を取りやすい。そして、居場所も一応親が把握しているという理由から、成り立つものと言えるが、そんなものが成り立つこと自体が少し変なのではないだろうか。 現代は友達の家に泊まるということが珍しくなく、どの家庭でも日常的に行われていることなのだろうか。

  自分が中・高生の頃は不良だったために親から信用されていなかったこともあるが、外泊をするなど至難の技だった。 『おっさん声』 や 『おばはん声』 の友達に頼んで偽の親を演じて電話にでてもらったりして親を欺いていたが、それでも一泊が限度で連泊など許されるはずもない。 何日もの宿泊を許すということは、それだけ自分の子供を信じているからか、諦めているかのどちらかだろう。

  自分の場合、本格的な家出も今に言われるプチ家出もしたことがないが、数時間単位の 『超プチ家出』 なら何回もしたことがある。 母親がヒステリックな性格で、怒り出すと手のつけようがなくなる。 現代であれば 『幼児虐待』 などというオドロオドロしいタイトルが付けられるのではないかと思われるくらい、殴られたり振り回されたりしたものだ。

  まだ小学生だった自分は、その攻撃から身を守るためと、恐怖から逃れるために家を飛び出す。 裏に停めてある自転車に飛び乗り、一目散にできるだけ家から遠く離れようと必死に自転車をこぎ続けるのである。 昼間であれば、そのまま友達と遊んだりするが、夜だと誰も外で遊んでいないし、一家団欒をしている家を訪ねる訳にもいかない。

  そうなると頼れるのは同じ街に住む叔母である。 小さな街とは言え、中心部を挟んで反対側に住んでいる叔母の家までは、全速力で自転車を走らせても 30分以上はかかってしまう。 母親が追いかけてきたらどうしようかという恐怖と戦いながら、それはそれは必死に自転車をこいだものだ。

  叔母は市立病院に勤務しており、当直などもあったため家にいるとは限らなかった。 家に居ればそのまま中に上がりこみ、さも遊びにきた風を装うのだが、一人で遊びに行くことなどないので 「どうした」 「何があった」 と詰め寄られる。 「別に〜」 などと言いながらテレビを見ているのだが、叔母は実家に電話をして 「こっちに来てるからね」 と母親に告げてしまう。

  叔母が家に居なくても勤務している病院がすぐ近くにあり、どこで働いているかも分かっているので問題はない。 レントゲン技師をしていたのでレントゲン室に行けば良いのである。 その部屋は何だかよく分からない機械やスイッチが並んでおり、子供の興味をそそる場所だった。 たまにスイッチを触って叱られたりもしたが、何時間いても飽きない空間だったのである。

  そこに行っても例によって 「どうした」 「何があった」 と詰め寄られる。そして、家での答えと同じく 「別に〜」 などと言いながらスイッチを触っては叱られたりしていた。 子供心に母親のヒステリーがひどいとか、殴られたなどと言ってはいけないような気がして、いつも 「別に〜」 と答えていたのだが、叔母は何かを感じ取ったらしく、いつも母親に電話し、迎えにきた母親に何事かを言っていた。

  しかし、人間の性格などというものは簡単に直るはずもなく、それからも度々ヒステリー状態になった母親から逃亡し、叔母の家や病院に駆け込んで数時間を過ごすという超プチ家出は小学校を卒業するまで続いたのであった。

2006 / 10 / 21 (土) ¦ 固定リンク


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