ショウコトレイコノコト 4

まあ、今週はこの話題に触れない訳にはいかないだろう。

雑感というより、どちらかと言えば『管理人の独り言』に書き散らかしたことのまとめになるが。

レイコから『ハハキトクスグカエレ』の一報が届いたのは 06/01

実はその前にショウコが救急搬送されたという知らせを受けており、正直なところ、
「面倒なことになったな」
とは思ったが、俗に言われる嫌な予感とか胸騒ぎもなく、それほど大事にはならないと思っていた。

というのもショウコは超高齢者なので病院にかつぎ込まれるのは初めてのことではなく、骨折やら大腸炎やら何やらで年に一度くらいのペースで入院していたので、今までがそうであったように、今回も一週間程度の入院だろうと高をくくっていたのである。

ところが、それから約一時間後に受けた知らせが『ハハキトク・・・』。

さすがに頭の中が真っ白になり、ちょっと放心状態で受け答えしたのち電話を切り、『お買い物日記』 担当者に
「危篤だって」
と一言だけ告げた。

それからの行動は実に早かった。

いつも帰省する際にする荷造りに加え、仕事を長く休むことになる可能性があるので関係各所に事情の説明と休業をしらせるメールを一斉配信。

実は当日の午前中に買い物に行ってきたばかりだったので、食パンやヨーグルト、レタスなど賞味/消費期限の短いものをとなりの店や義兄夫妻に貰ってもらうように手配。

そして、普段は持たない喪服や数珠などの葬儀セット、遺産関連で必要になる可能性もあるので預金通帳や実印も準備。

実は翌週の 8日は自分が通院する日で、毎日服用している処方薬の在庫が底をつきかけていたのに加え、予定の日に病院に行けない可能性も高いので、故郷の病院で診察、薬の処方をしてもらえるよう『お薬手帳』や血液の検査結果など一通りの書類も用意。

どの乗り物を利用すれば最速で故郷に帰れるのかルート検索しまくり、いよいよ出発という段になって再び叔母からの電話。

もしかすると、意識が戻らぬまま母は逝ってしまったのかという思いが頭をよぎり、覚悟を決めて電話にでると妙にのんびりした口調のレイコ。

「あのねぇ、お母さん危篤じゃなかったわ」

・・・。

腰が抜けそうな安堵感と一気に頭に血が上るような怒りとが入り混じったが、一気にメーターを振りきって沸点をも軽く超えてしまったので、口からは今まで出したことのない量のため息と呆れ笑いが溢れ出てきた。

状況を整理すると、ショウコは前日から体調不良となって食べたものを嘔吐し、水も飲めないほど気分が悪くなっていたらしい。

翌日になってもそれが治まらないため午後に病院を予約し、そこに向かうためタクシーの予約も済ませた。

そこで気が抜けたのか、ソファーに横になったまま動けなくなったという。

午後になってタクシーが到着し、指名して毎回お世話になっている運転手さんが家のチャイムを鳴らして迎えに来たが、中からショウコの反応がないためドアを開けてみるとカギはかかっておらず、呼びかけてみてもまともな返事がないため心配になって家に入ってみると、意識もうろうとなって動けずにいるショウコがいたらしい。

その運転手さんの問いかけに対して応えるショウコはろれつが回っておらず、これは重症の脳出血かクモ膜下出血、または脳塞栓に違いないと判断した運転手さんが救急車を呼んでくれた。

そして、レイコにも連絡してくれ、今から救急搬送されるので病院で待っていてほしいということと、ショウコのろれつが回っていないという症状を伝えたとのことだったので、レイコも同様に脳関連の重病と判断したものと思われる。

救急搬送されたショウコがそのまま病室に向かわず、集中治療室に入ったのでレイコは『ハハキトク・・・』という情報を我が家にもたらしてくれたという訳だ。

結果的にショウコは急性の腎盂腎炎だったとのことで、腎臓のウィルスが全身に回ったため言語(ろれつ)も怪しくなり、高熱を発したことと、運動機能も麻痺したため動けずにいたらしい。

危篤が誤報だと分かったので、その日の移動はとりやめて翌日の早朝の高速バスに乗ることにした。

そして、到着後すぐに病院に行ってみると、ショウコはまだろれつが怪しいものの、コロッと太って顔の血色も良い。

少しするとレイコがやってきたが、口をきくと大喧嘩になってしまいそうだったので無視して病室を出てデイルームで本を読んだりスマホを使って時間をつぶした。

その日はバツが悪そうにシュンとしていたレイコだが、数日後にはしゃべりの達者な憎たらしい婆さんに戻り、転院の際には私が手続きなどしておくとか、もう一人で置いておけないのだから即入居が可能な施設を探せだのと色々と指図してくる。

『ハハキトク・・・』の大誤報を思い出し、はらわたが煮えくり返りそうになったものの、確かにレイコがいればこそ、ショウコのことを頼んで帰ってこれる訳なので怒りをぐっとこらえて丁重にお願いすることにした。

それからのこと、ショウコの回復ぶりなどは 06/03以降の独り言に記した通りだ。

必要以上に神経をすり減らし、もの凄く体力を消耗した今回の帰省。

前日に心配した通り、翌日の自分の通院、血液検査の結果は惨憺たるもので担当医がおろおろするような数値を叩き出した。

放っておけないほどの異常値も認められたので、処方薬を変更したうえで長い期間を置かず、24日に再び病院に行かなければならない。

しかし、その前の 16日から 21日まで、再び『お買い物日記』 担当者の通院と帰省という強行日程を組んでいるので次回の血液検査もどうなるものやらといったところだ。

ショウコは元気になる気満々だが、もう一人暮らしは困難だと思われる。

早急に施設をさがし、年内には転居を完了させたい。

やはり 2016年の後半は、とても忙しいことになりそうである。