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2002年 6月02日

犬や猫のいる風景 2002初夏 犬や猫のいる風景 2002初夏

  味の好みや体質は変われど犬や猫を代表とする動物好きなのは変わっていない。ペット産業が拡大していることからも世の中には同じく動物好きな人が多いのかもしれない。それを見越してなのか、最近はテレビCMに犬や猫を出演させているものがたくさんある。よく見なければいったい何のCMなのかわからないくらいだ。犬や猫の仕草に見とれて映像に引きつけられているのだから、広告主や製作会社の思惑にまんまと乗せられてしまっているのであろう。

  血統書付きなんかじゃなくてもいい。原種が何なのかさっぱり分からないくらいの雑種でも構わない。とにかく犬や猫を見ると幸せな気分になれる。その点、家の近所や会社の周りには犬や猫を飼っている人が多いので動物好きの自分としては嬉しい限りだ。

  金曜日のことだが会社帰りに千里丘の駅から自宅に向かって歩いていると、細い路地に ”一人歩き” の犬がいた。「どこかから逃げ出してきたのだな」 と見ていると目が会ったので手のひらをパタパタしてやった。不思議そうにこちらを見ていたが、とくに近づいて来る様子もなかったのでそのまま歩き出した。しばらく歩いてふと後ろを振り返るとさっきの犬が遠く後ろを歩いている。

  自宅方向への曲がり角でもう一度後ろを見るとまだ遠く後ろで同じ方向に向かって歩いてくる。「家に帰れなくなったのだろうか」 とか 「いや帰省本能くらい持ち合わせているだろう」 とか 「こんな夜遅くに一人歩きして、不良の犬にからまれないだろうか」 などと訳の分からない心配をしつつも再び自宅に向かって歩き出した。

  以前の雑感にも書いた ”お気に入り” の黒い犬がいる家の前を通ると、いつもは吠えないその犬がこちらではない方向を見ながら 「ワン」 と一声だけ発したので 「どうしたの?」 と見てみると、さっきの犬がまだついてきていて、距離も少し近づいている。「家が同じ方向なのだろうか?」 と思いつつ少し歩いて振り返ると、さらに距離を近づけながらまだ後ろを歩いている。こちらが立ち止まると犬も立ち止まり、きちんとお座りをして良い子にしているのである。

  また少し歩いて振り返ると同じように立ち止まって ”良い子” のお座りをしてこちらを見ている。「家に帰りなさいよ」 と言ってやると小首を傾げながらじーっと見つめるのである。心の中では 「なんて可愛いやつなんだ!」 と叫んでいたが、ここで甘い顔を見せると自宅までついてきかねないので心を鬼にしながら 「うちはペット禁止だから飼ってやれないよ」 と言ってやった。

  それでも首を傾けじーっと見つめている。後ろ髪を引かれる想いだったが少し早足で家路を急ぎ、しばらくして振り向くと遠くの三叉路でお座りしながらこちらを見ていた。「ちゃんと家に帰るんだよ」 と言うと反対方向に歩いていった。少し安心した反面、とても切ない別れをした気分になってしまったのだった。

  会社のすぐ近くにある洋服屋さんにはシーズー犬が 2匹飼われていた。過去形になってしまうのは、そのうちの 1匹が亡くなってしまい、今は 1匹しか飼われていないからである。2匹いたころは見ていて本当に楽しかった。店の前で 2匹揃って日向ぼっこしている姿も可愛かったのだが、何よりも楽しませてくれたのは店にお客さんがいるときなのだ。

  洋服を選んでいる間、その 2匹はお客さんの足元についていて店の中を案内しているようだった。洋服を胸に当てて鏡を見ていると、その足元で尻尾をちぎれんばかりに振ってお客さんの顔を見上げている。まるで 「よくお似合いですよ」 と言っているようだった。小さな犬がじゃれつくわけでもなく、ぴったりと寄り添い、あれほど完璧な ”接客” されたならばついつい財布のヒモもゆるんでしまうに違いない。

  最初は顔見知りのお客さんだから馴れているのだろうと思っていたのだが、どのお客さんに対しても同じようにしていたところを見ると、飼い主である店主が接客しているのを見てマネをしていたのかもしれない。たまたま犬好きの人が 「似合う?」 などと話しかけ、売上に貢献した結果、飼い主に誉められたから 「こうするとご主人様が喜んでくれるのだ」 と理解して ”接客” に励んでいたのかもしれない。

  実際にその 2匹は本当に賢い犬で、飼い主の言う事は人間の言葉を理解しているかのようになんでも守っていた。店は交差点の角地にあるので人や車が行き交う。2匹は放し飼い状態だったが 「危ないからこれ以上遠くに行ってはいけない」 と教えられた範囲から外にでることはなかった。店の外でも通行の邪魔にならない所で 2匹並んで昼寝などしていた。

  冬の時期、店内ではストーブが赤々と燃えていたが、その前で店主が 2匹を座らせストーブを指さしながらなにやら話している。ガラスのドアは閉まっていたので声は聞えなかったが、その身振り手振りから 「これに触ると大変な事になるから絶対に近づかないように」 と教えているようだった。きちんと並んでお座りしている後姿や飼い主が説明しているのを見上げている姿は本当に可愛かったものである。

  いつも 2匹で行動していたのだが 1年ほど前から 1匹の姿が見えなくなってしまった。最初は 「病気でもしたのかな?」 と心配しつつもすぐ治るだろうと思っていたのだが、現在に至るまでその姿を見ることができていないので、きっと亡くなってしまったのだと思われる。残された 1匹も相方を亡くしたのがショックだったのか急に年老いてしまったようだ。

  最近では店にお客さんがいても伏せたままボ〜っと外を見ていることが多く、毛艶も失われてバサバサになってしまった。そんな姿をみると寂しかったり悲しくなったりしてしまうが、若かりしころはあれほど ”接客” に勤め、きっと店の売上にも貢献したのだろうから、これから先の老後はゆっくりしてもらいたいものだと思っている。

  動物は本当に大好きなのだが、自分の性格からいって溺愛するだけのバカ親になるのは目に見えるようだし、死なれたときの悲しみを想うと実際に飼うのはためらってしまう。平均で 80年は生きると言われているオウムを飼うという手もあるが、それではこちらが先に死んでしまう結果になるのは明らかである。

  そんこんなで自分で動物を飼うことは諦め、近所の犬や猫をみては喜んでいる毎日なのである。

2002 / 06 / 02 (日) ¦ 固定リンク

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