2004年 11月 12日をもって、長く続けてきた通勤生活にピリオドを打った。 これから在宅勤務生活の始まりである。 在宅勤務の利点は通勤に費やされていた時間を有効に使えること、朝も遅くまで寝ていられること、疲れたらゴロンと横になれること、その他にも沢山あるが、欠点も少なくない。
通勤してれば少なからず歩いたり階段を上ったりするが、在宅では決定的に運動不足になる。 時間を自由に使えるあまり、公私の区別をつける精神的 ”けじめ” も必要になる。 自宅に仕事環境が整っているのを良いことに、ダラダラと何時までも、そして休日までも仕事をしてしまう危険性もある。 やはり強い信念と意思をもって、これからの生活を送らねばなるまい。
通勤生活を終えてもうひとつ残念なのは、人間観察もできなくなることだ。 『
管理人の独り言』 で綴ってきたのは、その多くが通勤の際に見かけた内容ばかりだった。そのネタ集めが困難になるのはかなり痛い。 これからの独り言はテレビで観たものに対してブツブツと文句を書き連ねる ”ぼやきネタ” に終始してしまいそうである。
独り言に書ききれないほど通勤生活では様々な人を見たり体験をしたりすることができたが、中には嫌な経験も多い。 ある日の電車内では、足を高々と組んでいるオッサンが座席に浅く腰掛けて通路の中くらいまで場所をとっていた。(邪魔だな〜) と思いつつも、それを避けて電車に乗り込んだ。 千里丘駅に着き、電車を降りるときにオッサンの足に当たってしまったので、一応は 「すみません」 と謝ったのだが、そのオッサンはこちらを睨みつけて 「チッ」 と舌打ちをしやがった。 その瞬間、怒りが爆発してしまい、オッサンの組んだ足を思いっきり蹴り上げてやった。 オッサンの 「うががぐあ゛〜」 という叫び声はドアが閉まったので途中でフェードアウトしていった。
ある日の帰り道、駐輪場の前を歩いていると中から飛び出してきた若い兄ちゃんが運転する自転車と当たりそうになった。 駐輪場内では自転車を押して歩くように注意書きがされてる。 出口には一旦停止とも書かれているし、白線も引かれている。 さらに歩行者を確認するためのミラーまで設置されている。 すべての注意を怠った兄ちゃんが悪いのだから向こうから謝ると思っていたら、こちらを睨みつけている。 腹が立ったので兄ちゃんを見据えるように体の向きを変えたところ、「あううああう」 などと訳の分からない言葉を発しつつ足を使ってバックし始めた。 しかし、自転車でのバックは思いのほか難しく、兄ちゃんは転んでしまった。 こちらも少し驚いたが、それは自業自得である。
通勤の行き帰りで何度か目撃したのだが、書けないでいたことがある。 その、つまり、なんと表現したら良いのか。 髪の無い部分より小さな ”ヅラ” を付けたオッチャンがいるのである。 側頭部から後頭部にはあるのだが、てっぺんには毛がない。 そこに小さなカツラを載せているものだから地肌が天使の輪のように一周している。 職場や家庭で誰も注意しないのだろうか。 それともオッチャンは笑いを振りまきたいのだろうか。 とっても気になる存在だった。
気になると言えば、電車でいつも見かける女性のことが気になっていた。 気になるとは言え、好みのタイプであるとか、そういう気になり方ではない。 グレーや紺色のスーツ姿が多い中、髪は金、目の上は真っ青、唇は真っ赤、赤とか緑とか原色の服を身にまとい、ヒールをカンカン響かせながら歩く若い女性がいたので、その気がなくても注目してしまう。 ところが、ある日を境にして彼女の姿を見かけなくなった。 仕事を辞めたか、勤務先が変わったのだろうと思っていたのだが、ある日、隣に目をやると、地味に ”変身” した彼女が立っていた。 髪は黒く、化粧も薄く、着ている服の色も地味、ヒールではない普通の靴をはいている。 会社の上司に叱られたのか、彼氏に言われたのかは定かではないが、化粧や服装によって女性は変わるものであると思い知らされてしまった。
最後に、
以前の雑感や
独り言で何度か書いた職場近くの洋服屋さんの犬は、まだ大切に飼われている。 毛もバサバサで痩せており、前足も不自由になって自力で立ち上がることすらできないが、お父さんやお姉さんの愛情を一身に受けて生きている。 もう会うこともないだろうが、一日でも長く生き続けてほしいと願っている。
そんな訳で、通勤生活を終えるに当たり、記憶に残っていたことを書き綴ったが、これからはネタ探しと運動不足解消を兼ねて散歩を日課にしようと目論んだりしているところである。