とにかく日本人は殺し文句に弱い。 『
お買物日記』 担当者の手伝いで
チラシの入力を手伝うことがあるのだが、そこに出てくるのは 『数量限定』 や 『期間限定』 の文字だ。 どうやらこの文句には得体の知れない効力があるようなのである。
時計などにも 『限定モデル』 というのがあるし、CD や DVD にも 『数量限定発売』 などと銘打っているものが多い。 あまり興味のない自分は (殺し文句で誘っておいて本当は売れるだけ生産するに違いない) などと邪推したりするのだが、そういう宣伝文句が氾濫するところをみると ”限定” と銘打った商品に飛びつく人が多いのだろう。
店先などで見かける 『今一番売れています』 とか 『当店人気 No.1』 などというのにもフラフラと吸い寄せられてしまうことが多いが、あれは店が一番売りたいものであって、本当に売れているのかどうか分からない。 その店にとって粗利率が高かったり、メーカーから大量仕入れしてしまったので売りさばかなければならないものも多く含まれると聞く。
映画のテレビ CM で多いのは 『全米観客動員数 No.1』 というやつである。 日本人はいつまで経ってもアメリカに弱いのか、その宣伝文句につられてしまう人も多いのだろう。 しかし、よくよく画面を見てみると (〇月第〇週) などと書いてある。 つまり、ある月のある週だけお客さんが一番多かったというだけのことである。 少しずるい気もするが、それが事実だったのなら仕方がない。
家電の CM で多いのは 『省エネ No.1』 とか 『省エネ大賞受賞』 や 『節水 No.1』 などという謳い文句だ。 いろんなメーカーが No.1 と言い張るので何を信用して良いのか分からない。 1970年代のオイルショック (石油危機) を経験してから、日本人は世界でもトップクラスの省エネ民族になったので 『省エネ』 という呪文に吸い寄せられるのもうなずける。
しかし、No.1 というのは一つしか有り得ない訳なので、どれもこれもが No.1 だと言い張るのは納得できない。 おまけに広告の片隅には小さな文字で 『当社調べ』 などと書いてある。 自分で調べて自分で一番だと言っているのだから、あまりフェアではないような気がする。
そして日本人最大の悪い癖は流行を追いやすいということだろう。 アミノ酸が流行れば何でもかんでもアミノ酸、CoQ10 が良いと聞けば何でもかんでも CoQ10 入りの商品になってしまう。 流行に便乗して粗悪品まで出回る始末だ。 右だと言えば一斉に右を向いてしまう日本だからこそ便乗商売も成り立つのかも知れない。
今になって CoQ10 の商品を開発しても、熱しやすく冷めやすい日本人を相手にしているのだから無駄に終わる危険性が高い。 今、各業界が密かに研究開発している 『白金(プラチナ)ナノコロイド』 が流行の主役に踊り出る可能性が高いからだ。 CoQ10 と比較して活性酸素を除去する効果が高く、体内にある限り効果は半永久的に持続するらしい。
すでにスポーツ飲料からガム、サプリメントやその他の食品、アンチエイジング(老化防止)を目的とした化粧品など様々な分野で製品化に向けた研究が進んでいる。 そんな物質が出回れば、CoQ10 など記憶の片隅に追いやられてしまうに違いない。
そして新しいもの好きな日本人は、率先して新商品を買い求めるのであろう。