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雑感何となく感じたこと雑感何となく感じたこと

過剰 過剰

  どうも過剰なことが苦手だ。 過剰サービスを受けるのも苦手で、この雑感に何度も書いているように髪を切りに行って必要以上に話しかけられたりすると困ってしまう。 受け答えするのが面倒なので話は弾まず、適当に 「はい」 とか 「いいえ」 とか、せいぜい 「そうですね」 くらいしか返事をしないので最終的に会話はなくなる。 こちらも黙っていてくれた方が楽なので目を閉じて考え事をしている。

  日本式の旅館も苦手だ。 部屋の案内からお茶のサービス、上げ膳据え膳で布団まで敷いてくれる。 しかし、実のところは食事の時間もキッカリ決まっていて 「ほれ喰え」 と言われているに等しいし、布団を敷くのだって 「さっさと寝え」 と言われているようなものだ。 旅をしている間くらいは好きな時間に寝て好きな時間に起床し、腹が減ったら食事をするという野生のような生活がしたい。

  食事をする場所で生演奏しているようなところも苦手だ。 音楽を聴いている分には何の問題もないのだが、奏者が席に近づいてきてニッコリしながらこちらを見つめて演奏されるのは、たまったものではない。 顔を引きつらせて愛想笑いはするものの、心の中では (早くあっちへ行け!) と念じてしまう。

  テレビコマーシャルなどの過剰演出も苦手だ。 空気清浄機の CM では部屋の空気がどれほど汚れているか、特殊カメラの映像と謳いつつも明らかに CG(コンピュータ映像) を加えたと思われる過度に汚い映像を流す。 絨毯や布団のダニの映像やら、キッチンや風呂のカビの映像やらが、危機感をあおるために 「これでもか!」 という勢いで流される。 そんなものは観たくもないので商品名を覚える前に画面から目を離してしまうことになるから、CM の効果などないに違いない。

  過剰演技を見るのも苦手だ。 最近、テレビコマーシャルにドンドコ山口(山口智充(DonDokoDon))氏が多く起用されているが、特にアルコール飲料系の CM で、妙にハツラツとはしゃいでいる姿を見るとこちらが気恥ずかしくなってしまう。 そういう演技を希望した演出家が悪いのであって、山口氏が悪いのではないと分かってはいるが、彼自体を嫌いになってしまいそうな気分である。

  現在は通勤の必要がないので朝食後も朝の情報系番組を観ていることが多いのだが、ある番組のレポーターに大嫌いな奴がいる。 同時刻には他局でも同じような番組を放映しているので、彼が画面に姿を現すと、さっさとチャンネルを変えることにしている。 彼はとにかく大袈裟で、猫を見たのを虎でも見たかのような勢いで話す、過剰演技、過剰レポートなのである。

  大きな被害を出した台風 14号が九州を直撃している朝、彼は現地から生中継でその模様を伝えていた。 大きな水溜りに足を入れて 「うわ!深い!」 などと、わざとらしいレポートをしたり、風と雨が吹き荒れる中を 「呼吸すらまともにすることができません!」 と叫んだり 「まともに立っていることすらできません!!」 と、道路にしゃがみこんで絶叫していた。

  ところが、「以上、現場からお伝えしました!!」 と締めくくった後に、何かのミスでカメラが切り換わらず、画面には彼の姿が写し出されたままだった。 画面がスタジオに移ったと思いこんでいる彼は、その場所ですくっと立ち上がり、スタッフのいる場所までスタスタ歩いて行ってしまった。 それを観た瞬間、「おいっ!」 と画面に向って突っ込みを入れたのは言うまでもない。

  一緒に観ていた 『お買物日記』 担当者と 「やっぱりあいつのレポートは嘘臭いだけじゃなく、本当に演技してたんだ」 と大笑いし、そして呆れてしまった。 しかし、それからというもの、彼が大嫌いなことに変わりはないが、次はどのような過剰演技を見せてくれるのか、まるでコントでも観るように楽しませてもらっている。 これからもマッチで火をつけてポンプで消すような性格をフルに活用し、現場の様子を過激に伝え続けていただきたいものである。

2005 / 09 / 10 (土) ¦ 固定リンク


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