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雑感何となく感じたこと雑感何となく感じたこと

誤認 誤認

  以前の雑感にも書いたが、どうも自分は人から誤解を受けやすいタイプであるらしい。遥か以前のことになるが、当時もコンピュータ業界で働いており、生活が不規則なために帰宅が夜中になったりしていた。深夜、コンビニで弁当を購入し、家路を急いでいると今出てきたばかりのコンビニでガラスが割れたり何かが倒れたりする激しい音が聞こえてきた。

  気にはなったものの、腹が減っているのと早く眠りたいという気持ちが勝り、そのまま家に向って歩き出した。 しばらく歩くと前からパトカーがやって来て目の前で停車する。 中から警察官が二人降りてきて、両脇を固めるようにして話し掛けられた。 これが職務質問とかいう奴なのだろう。

  最初は 「今ご帰宅ですか」 とか 「ずいぶん遅いですね」 と普通に質問されていたのだが、面倒なので適当に 「はいはい」 と返事をしていたら、「住まいは?」 とか 「こんな時間まで何をしてた」 だのと、だんだん口調が荒くなってきた。 なにせ連日の深夜帰宅で疲れ果てていたのと、とっても腹が減っていたこともあって、とことん機嫌が悪かったのでムスっとしたまま 「関係ないだろうが」 などと反抗していた。

  加えて、当時の会社はスーツではなく普段着姿であり、自分が好む格好も決して品の良いものではなかったのが災いしたようで、まるで犯人扱いである。 よくよく聞いてみると、先ほど聞こえた音はコンビニに強盗が入った際のものだったらしく、犯人は買い物客を装っていたのだという。 そのコンビニの袋をブラブラさせてガラの悪い男が歩いていれば話しを聞きたくなるのも当然と言えば当然かもしれない。

  態度が悪いにしても、逃げも隠れもせずに堂々としていたので犯人ではないと判断したらしく、警察官は再びパトカーに乗り込んで行ってしまった。 その場に残された自分はと言えば、自分の態度にも問題があったなどとは一切考えず、ただムカムカと腹を立てていた。

  大阪に出張に来た際に、酒の席でその時の話しをしていると、大先輩に当たる人が 「そんなのまだマシや」 と言う。 話しを聞くと、当時世間を大騒ぎさせていた 『グリコ森永事件』 でコンビニの防犯カメラに映った 『キツネ目の男』 だと疑われ、一年以上もの間ずっと尾行されていたと言うのである。

  時悪く先輩はアルバイト生活に見切りをつけ、当時の会社に正式採用されたばかりで、「金回りが急に良くなった」 という ”評判” が近所でも伝聞されており、加えて髪型や体型が防犯カメラに映った犯人と酷似していたのである。 ある朝に警察が自宅にやって来て事情を聞かれたが、当然のことながら犯人ではないので、知らぬ存ぜぬと言ったが、その日から警察が後を付いて来るようになったらしい。

  それも刑事ドラマにあるようなコソコソとした尾行ではなく、朝晩の通勤の際には二人組みの私服が堂々と後ろを歩いてくるのだという。 最初は 「好きにせえや」 と無視していたらしいのだが、あまりにも連日のことなのですっかり嫌になってしまい、後ろを歩いてくる私服に 「頼むからやめてほしい」 と直談判したが聞き入れてもらえず、その尾行は一年以上にも及んだのだと言う。

  他人事なので、その話しを聞いて大笑いしていたが、本人は 「ノイローゼなるか思〜たわ」 と当時を思い出して嫌そうな顔をしていた。 確かにこれが自分であれば、イライラして怒鳴りつけるか、飛び蹴りでもくらわせて逮捕されていたかもしれない。 そして疑いが晴れたのか、いつの日からか尾行が行われなくなったが、「疑ってごめんね」 という挨拶はなかったらしい。

  単に髪型や体型が似ているだけで疑われたのは、お気の毒としか言いようがない。 自分のようにガラの悪い姿で夜遅くにウロウロしていれば警察に呼び止められても仕方ないのかもしれないと、ちょっとだけ反省しながらチビチビと続きの酒を飲んだりした夜なのであった。

2005 / 05 / 28 (土) ¦ 固定リンク


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