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おっさんの知恵袋 おっさんの知恵袋

  現在は便利なものが色々と売られているが、そんなものに頼らなくても十分に楽をする方法はある。 このサイトの訪問者の多くは主婦の方なので、「そんなこと言われんでも知ってるわ!」 と突っ込まれそうだが、過去に厨房に入っていた時に先輩達に教えてもらったことを少しだけ。

  切れの悪くなった包丁は砥石(といし)で研ぐのは当り前だが、砥石がない場合はアルミ箔を切ると良い。 ハサミの切れが良くなるのは広く知られているが、包丁でも同様である。端と端を片手で持って輪を作り、包丁で切って二枚に、その二枚を重ねて切って四枚に、そうやっているうちに包丁の切れ味が復活する。 切れない包丁は無理に力を入れて切ることになり、怪我の原因となるのでメンテナンスには気を使いたいところだ。

  スーパーなどに行くと ”たれ” だの ”つゆ” だのが様々な料理用に売られているが、本来はそんなに必要ない。 厨房でもベースとなる濃い目の ”たれ” があるだけだ。 各料理で使う場合は濃度を変えて塩とか砂糖とかを足すだけである。 たぶん最も濃度が高い 『すき焼き』 に合わせてあるのだと思うが、それを薄めて 蕎麦、うどん、そうめん、ひやむぎなど冷たい麺用のつゆにする。

  さらに薄めて天つゆ。 もう少し薄めて親子丼やかつ丼に、さら薄めて暖かい蕎麦やうどんのつゆ。 もっと薄めてなべ物のだしにして、さらに薄めたもので炊飯すれば、炊き込み御飯ができる。 それ意外にもベースのたれの濃度を変えて煮物をつくったり、揚げだし豆腐を作ったりする。 高級料亭などと違って一般的な食堂では何を食べても似たような味がするのは、たれが共通だからだ。

  つまり、基本的なものさえあれば大半の和食をカバーできるわけだ。 最初に煮詰めているので長期保存も可能だから、一度作ってしまえば後は楽ができる。 わざわざ 『すき焼きのタレ』 だの 『うどんつゆ』 だのを買う必要がないのである。

  食器も厨房では短時間で大量に洗わなければならない。 そこで教えられたのは洗った食器の水を切るトレーの受け皿というか、かごの外側の部分のトレーを使う方法である。 トレーに触るのもやっとというくらい熱い湯を入れてスポンジに使うのと同量程度の洗剤を入れておく。 茶碗くらいの大きさの食器や、箸や取り皿など細かなものはトレーに入れた方が全体的に洗剤が付くので衛生的だ。

  湯が熱いのを我慢してガチャガチャと洗い、水切りトレーに並べていく。 受け皿を使っているので流し台が濡れてしまうが、当然のことながら流し台は水がシンクに向って流れるように設計されているので問題はない。熱い湯を使うのは殺菌のためもあるが、お湯であることと、食器も熱くなっているのが作用して、あっと言う間に水分が蒸発してく。 つまり、食器を拭く手間を減らせる訳である。

  食器が洗い終わったら、水切りトレーの下が濡れているので少しだけ洗剤が付いたままのスポンジで流し台を洗い、布巾で拭いて最後にその布巾を洗えば終了である。 これからの季節は湯を使うことが多くなるが、設定温度を上げてもガス料金に大きな影響はないので高温の湯で洗った方が衛生的かつ合理的だと思われる。 しかし、最近は食洗機 (自動食器洗い機) が普及しているので無駄知恵か。

  食器洗いと同様に入浴後、熱い湯を浴室に散布しておくと、カビ菌が死ぬし、湯が蒸発して乾きも早いのでカビ菌の繁殖を防ぐことができる。 ・・・これも浴室乾燥機などが普及してきているので、やっぱり無駄な知恵か。 だしの作り置きにしても、それが面倒だから様々な種類の製品が売っているのであろうから、結果的には無駄な知恵なのかもしれない。

  こうやって、おっさんと若い世代の隔世の差は広がる一方なのであろう。

2004 / 11 / 27 (土) ¦ 固定リンク


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