安全性 安全性
食の安全性が叫ばれて久しいが、今でも次々に問題が発覚している。 中でも一番驚いたのは韓国製の 『生ゴミ餃子(ギョウザ)』 だ。 腐敗した大根を原料とし、汚水を加えるという前代未聞のレシピで製造されていたものである。 その報道を聞き、大根の写真を見た時には本当に気分が悪くなってしまった。工場の床もドロドロで 『衛生』 という言葉からは程遠い。
この件に関しては不思議に思うことが 3つある。 第一に、製造者がどういう神経をしているのか理解できない。 製造現場で働いている人も、気持ち悪くなかったのだろうか。 第二に、どうして腐敗した大根を使ったのか分からない。 保存しておいたものが悪くなり、腐った部分だけを切落として使用していたとか、腐っていたのに気付かなかったというのとは訳が違う。 廃棄すべき大根をわざわざ使用していたのである。 その理由がどう考えても解らない。
次に、そのギョウザが 1999年から継続して製造されていたことが理解できない。 それを食べて体調が悪くなった消費者はいないのだろうか。 また、変な味がしなかったのだろうか。 製造し続けていたということは、健康上の問題もなく、味にも問題なかったのかもしれない。 体調が悪くなったり味が変だったりしたらクレームに繋がったり、その商品は売れなくなるはずである。
変な話だが、マンションの 9階から転落(?)した俳優の窪塚洋介氏が全身打撲や 5箇所以上の骨折でありながらも 『全治 3カ月』 程度だったり、生ゴミのギョウザを食べても健康に問題がないなど、(人間って頑丈なんだな〜) と妙に感心してしまった。
食品加工も製造も、安い人件費を目当てにして中国を代表とするアジアにシフトする企業が多いが、まずは現地の品質に関する意識を徹底的に教育していただきたいものである。 ファーストフード店の 『お粥(かゆ)』 に虫が混入していたとか、そんな話ばかりであるが、あれはベトナム産のほうれん草に原因があったと記憶している。いくら製造原価を低く押さえても、その後の商品回収などで多額の費用が発生したら同じではないか。
以前勤めていた会社でアジア系企業と取り引きしたとき、品質に関する意識の違いに驚いたことがある。 今は変わっているだろうが、当時はひどいもので、品質に関しては埋めようのない溝があった。 日本では、電子機器などに 3年間の保証期間があったとすると、「その 3年間は何事もあってはならない」 という意識だが、アジア系企業は 「3年間動けば良い」 という意識だった。
BSE (狂牛病) でのアメリカ産牛肉に対しても意識の違いがあり、前頭検査を要求する日本は、電子部品などと同様に ”過剰品質” を要求していると非難されているが、それは国民性の違いである。 日本の消費者は品質に対して厳しい。 年間では何億本、何億食と流通している飲食品に、髪の毛の一本すら混入することを許さないのが日本人である。
それを非難されても 「ごめんね〜そういう人種なんですわ」 と言うしかない。”外圧” によって意識が変わるはずがなかろう。 日本向けに製品を輸出したければ、それなりの品質を保証してもらわなければ販売できないだろう。 試しに牛肉を輸入し、「前頭検査していませんが、一か八か買ってみませんか?」 とポスターでも貼って売ってみると良い。
などなどと偉そうに書いているが、昨今の三菱自動車関連の事件をみていると、日本の製造業も自慢できる状態ではないのではあるが・・・。 三菱の場合は会社自体のモラルに起因しているが、会社によってはリストラによる人員削減で品質に目が届かなくなってしまった側面もあるだろう。 人員削減を行うのは人事部だが、収益とか経費ばかりに気を取られないで、品質の維持にも目を向けていただきたいものである。 問題が起こったら必要以上の経費が発生してしまうことを考慮した方がよろしい。
しかし、様々な角度に目を向けるのは無理なのかもしれない。 なにせ人事 (じんじ) は 『ひとごと』 とも読むのだから。
2004 / 06 / 12 (土) ¦ 固定リンク