あだ名のある人が羨ましい。 実は生まれてこのかた ”まともな” あだ名を得たことがないのである。 ごく短期間、 2日間程度は変なあだ名で呼ばれたことはあるが、呼ばれても無視していたら苗字に戻ってしまった。 あだ名を持つ人は周りから親しまれているような気がするし、芸名のように 2つの名前を持つのは少し羨ましかったりする。
以前読んだ本に、8月 15日生まれの人が 『お盆』 と 『誕生日』 が一緒ということで、学生時代は 『ぼんじょび』 と呼ばれていたと書いてあった。 誰が考えたのか分からないが、素晴らしいセンスだと思う。 また、梅村八重(うめむらやえ)という人が漢字の読みを変えて 『バイソン80(はちじゅう)』 と呼ばれていたという話もある。 共に素晴らしいネーミングだと感心してしまった。
学生の頃は同級生にも、あだ名で呼ばれている奴が何人もいた。 九州から転向してきた男子は、何のひねりもなく 『九州』、縮毛の女子は 『すずめ』、ガリガリに痩せた女子は 『やぎ』 などである。 小学生の頃には 『きっちょ』 と呼ばれている男子もいたが、その名の由来は不明であるばかりか、今となっては本名も忘れてしまった。
知り合いには本名よりもあだ名の方が有名で、会費制のパーティーに出席した際に 「名簿に名前がない」 とまで言われた男がいる。 受付の担当者が本名を知らずに、あだ名で名簿内を検索したのが原因だった。 彼は小学生のときから 30歳を過ぎるまで、ずっと同じあだ名で呼ばれている。 仮に小学校の同窓会があって、当時のあだ名の話になったときに 「今でもそう呼ばれている」 と言ったら、さぞかし驚かれることだろう。
芸能人に似ているのが理由で、その名前で呼ばれる人もいる。 身近なところでは、仕事関係の知り合いに 『ダチョウ倶楽部』 の 『上島龍平(うえしまりゅうへい)』 に似ている人がおり、彼のこと 『龍ちゃん』 と呼んでいた。 若い頃の知り合いに 『林家こぶ平(はやしやこぶへい)』 に似ているので 『こぶへい』 と呼ばれている奴もいたが、二人ともそう呼ばれるのは嬉しくないようだった。
自分も芸能人に似ていると言われないことはないが、あだ名にする程のインパクトはない。
以前の雑感に書いたように、若い頃は髪を長くしていたのだが、その頃は 『早見優(はやみゆう)』 に似ていると言われたし、髪を切ってからは子役から今でも俳優をしている 『坂上忍(さかがみしのぶ)』 に似ていると言われたり、HOUND DOG(ハウンド・ドッグ)の 『大友康平(おおともこうへい)』 の斜めから見た顔に似ているなどと言われた。
近年では、二人の人から 「GLAY(グレイ)に似てますね」 と言われた。
先月の雑感に書いたように、GLAY は好きじゃないので、そう言われても嬉しくないし、GLAY という団体名を出されても、その中の誰に似ているのか分からないのだが、二人が二人とも 「GLAY に似ている」 と言うところをみると、自分はメンバー全員を合わせたような顔をしているのかもしれない。
長年の友人関係にあるマサルは 『ホンジャマカ』 の太った方の 『石塚(いしづか)』 に似ていると自覚しており、ここ数年の年賀状には石塚氏の写真を使ったものが送られてくる。 お笑い芸人だったり、自分が好きではない芸能人に似ていると言われると気分の良いものではないと思うのだが、マサルはそれを喜ぶ器の大きな奴なのである。
で、自分はと言えば、嫌なあだ名で呼ばれると無視したり、好きじゃない芸能人に似ていると言われると嫌がったりと器の小さな人間である。 それが故に冒頭に書いた通り、あだ名がない。 今となっては嫌なあだ名でも付けてもらっておけば良かったと、少し後悔したりしているのである。