説得力 説得力
NASA の探査車スピリットが火星で立往生している。 なんとか復帰して調査を続けてもらいたいものだ。 現段階までの調査の結果、残念ながらタコのような火星人は住んでいないようである。 しかし、地表には水が流れたような跡も確認され、水があるのであれば、微生物などが存在する可能性はある。 やはり、早くスピリットが復活して調査を再開してほしい。
それぞれの専門家がいるので、それぞれの調査を同時に進めるのは当然のことではあるが、地球のことすら完全に解っておらず、人体の仕組みすら完全には解明していないのに、他の惑星や宇宙のことまで調査しようというのだから、人類の好奇心や欲求は果てしないものである。 まあ、外(宇宙)から地球を眺めて、初めて事の重大さに気づくという面も確かにあるが。
地球の温暖化、砂漠化が進んでいると言われているが、衛星写真を見るとそれが実感できる。 数年前と比較して、明らかに氷河や北極、南極の氷の規模が小さくなっていたり、ゴビ、サハラなどの砂漠が大きくなっている。 温暖化に関しては、次々に新しい燃料やエネルギーが開発されているので、数年後には歯止めがかかるかもしれないが、森林伐採を止めなければ砂漠化は進行する。
森林伐採を進め、国土を荒れ放題にし、慌てて植樹した杉などの花粉に苦しめられている日本人が環境保護を訴えても説得力に乏しいが、森林伐採と、それを燃やして二酸化炭素を排出することは、温暖化と砂漠化の両方にとって良くないということを発展途上国に伝え、止めさせる必要があるだろう。 ただし、日本は伐採した木材を大量に輸入してるので、やはり説得力に欠けるのであるが。
衛星写真を見て、認識の違いに驚くのは大気圏についても同じである。イメージ的に大気(空気)が安定している層は、地球がバスケット・ボールくらいの大きさだとすると、1cm くらいはあるような気がするが、実際には地球の大きさに対して 100km くらいの厚みしかない。 100km など、すぐそこである。 バスケット・ボールに対しては 1mm にも満たないであろう。
「そんな少ない量の空気を汚してはいけない」 という説得力を衛星写真は持っているが、高度成長期に空気を汚しまくった日本人には世界を説得する力がないのかもしれない。 いや、過去の反省も踏まえて、日本人だからこそ、説得力があるのか。 現在ではヨーロッパに次いで環境意識が高く、省エネに対する取り組みは世界一の日本だからこそ、「地球を大切に」 と言えるのかもしれない。
エアコンにしても、冷蔵庫にしても、各社が 「省エネ No.1」 と謳い文句にしているが、複数の No.1 があるはずもなく、「いったいどれが No.1 なんだ!」 と文句の一つも言いたくなってしまうが、各社が競い合って省エネルギー化を進めるのは良いことである。 車の排出ガスも 「世界基準」 だの 「欧州基準」 だのと宣伝しているが、主導しているのは日本だということを誇れないものだろうか。
排ガス規制などを盛り込んだ 『京都議定書』 は、間違いなく日本で作成されたのに、世界的には存在感が薄い。 世界最先端の環境技術を搭載した車は日本車であるのに 「世界基準」 だの 「欧州基準」 と謳ってしまうのは、自信のなさの表れだろうか。 世界に対してより、日本国内に対して 「世界基準」 の方が説得力があるからなのかもしれない。
なにせ、未だに 「全米 No.1」 とかいうコピーに弱い日本人である。 環境問題に関しては日本の技術こそグローバル・スタンダード(世界標準)なのだと、もっと自信を持たなければ、いつまで経っても世界に対しては、説得力を持てないままではないだろうか。
2004 / 02 / 01 (日) ¦ 固定リンク