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雑感何となく感じたこと雑感何となく感じたこと

散髪屋さん 散髪屋さん

  昨年末の 『雑感』 にも書いたように、若い頃は髪を伸ばし放題に長くしていたが、今は少しでも長くなってくると鬱陶しくてたまらない。 前回は髪を切るタイミングが難しく、イライラする日々を過ごしてしまった。 今も髪が伸びてきたので、そろそろ散髪しなければならない頃だ。

  現在行っている散髪屋さんは、大阪に越してきてから二軒目である。 最初は美容室のような散髪屋さんに行っていたのだが、そこが嫌になり、新しくできた店に替えたのである。 今の店は必要以上に話しかけられることもなく、仕事も速いので満足しているが、前の店は理容師さんがペチャクチャと話しをするので嫌になった面もある。 「ゴチャゴチャ言うヒマがあったら、さっさと終らせろ!」 と言いたくなってしまう。

  ただし、店を替えることにした理由はそれだけではない。 極端に髪型を気にする性格ではないので、理容師さんの ”腕” を問題にしている訳でもない。 その店には女性従業員もいたのだが、彼女が店に子供を連れてきていたのである。 働く女性の一番の心配事は子供のことであろうから、職場に子連れで来ること自体は、むしろ歓迎すべきことではあるが、仕事内容を考えるべきでもある。

  散髪屋さんは刃物を扱っている訳だから、子供がチョロチョロしているのは好ましくない。 子供自身が危険でもあるし、客である自分も恐い。 カミソリを当てられ、首の毛を処理してもらっているときに子供が 「ママ〜」 と言って抱きついて来たのも一度や二度ではない。 店内を走り回って母親に突進してきたこともある。 そんな恐怖の時間を過ごす勇気は持ち合わせていないので、店を替えることにしたのである。

  自分はあまり店を替えるのが好きではない。 新しい店に行くと 「どのような髪型にしますか?」 から始まって、「お住まいは?」 「お仕事は?」 と質問責めに合うのが常であり、仕事以外で人に愛想をふりまくのが苦手な自分としては、嫌でしようがないのである。 したがって、そんなことさえなければ店を替えることなどなく、今でもあの店に行っていたと思う。

  大阪に来る前に暮らしていた街でも 20年近くも同じ店に行っていた。 そこの理容師さんは、いい加減なオヤジなのだが、なんとなく気が合っていたのである。 ある日のこと、髪を切ってもらっている最中、気持ち良くなって寝てしまったことがあった。 「終ったよ」 と声をかけられ、目を開けると目の前の鏡には見知らぬ人が映っている。 しかし、よく見てみると、それはアイパー(アイロンパーマ)をあてられた自分だった。

  あまりのことにイスから転げ落ちそうになるくらい驚き、「なんだこれは?!」 とオヤジに詰め寄ったところ、「あれ?ちがったっけ?」 などとぬかす。 「俺が一度でもアイパーにしたことがあるか!」 と問いだたすと 「似合うんだけどな〜」 などと呑気なことを言っている。 「今すぐやり直せ!」 「せっかくできたのに!」 と大喧嘩になったが、それでも店を替えなかった。

  またある日は、自分が最後の客だったこともあり、「今日、返却しなくちゃいけないビデオがあるから観てもいいか?」 と聞くので 「いいよ」 と答え、イスの角度をずらしてもらって一緒にビデオを観ていた。 タイトルは忘れてしまったが、内容はコメディー映画で、オヤジは 「わははは」 と笑いながらバッサバッサと髪を切る。 なんとなく嫌な予感はしていたのだが、目の前に鏡はない。

  心配になって 「観ながらで大丈夫?」 と聞いても 「おう!ませとけっ」 と言いつつ、ビデオを観て 「かははは」 と笑っている。 しばらくすると、いつもより小さな声で 「終ったよ」 と言った。 その自信なさげな声に不安を覚えたため、鏡を見ようとしてもイスの角度を変えてくれない。 「ちょっと鏡・・・」 と言っても、イスを押さえたまま、「怒るだろ〜な〜」 とブツブツ言っている。

  「いいから鏡を見せろ!」 と言って立ち上がり、鏡の前に立ったとき、今度はヒザが抜けそうになるくらい驚いた。 鏡には、できそこないの菅原文太みたいのが映っている。 なんと 『仁義なき闘い』 に登場するヤクザ役の菅原文太のような角刈りにされているではないか。 「今すぐ髪を元に戻せ!」 「そんなこと言われても」 と、またまた大喧嘩になった。

  そんな大きな失敗が二度ほどあったが、結局は店を替えず、電車で二駅ほど離れた場所に引っ越した後も、わざわざ電車に揺られて髪を切りに行っていた。 ある日、引っ越して今は遠くから来ていることを告げると、「今度から店が終る直前に来い」 と言う。 理由も聞かず、言われた通りに閉店間際に行くと、髪を切り終わった後、自宅まで車で送ってくれたのだった。

  それからは毎回、散髪後には車で送り届けてくれるという、そのオッサンとの奇妙な関係は、大阪に旅立つ直前まで続いたのであった。

2004 / 01 / 24 (土) ¦ 固定リンク


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