『
管理人の独り言独り言』 でも頻繁に触れているが、今年の阪神は異常なくらいに強い。過去にも何度か書いたが、自分は特定の人物やチームに深い思い入れはなく、子供の頃から特定の芸能人や野球チームのファンになることがないのである。したがって、現在の心境は 「せっかく大阪で暮らしているのだから一度くらいは優勝の雰囲気を味わってみたい」 という感じだ。ただし、TV 画面に映し出される阪神ファンを観ているのはとても楽しい。
阪神が勝つと試合が終っても帰らずに球場の中で大騒ぎをしている。楽しそうに騒ぎ、六甲おろしを合唱し、バンザイしているのを観ていると、本人達もストレスの解消になっているのだろうが、観ているこちらも気分がスッキリする。優勝することに慣れていないものだから応援団の人は 「優勝間違いなしですね」 とインタビューされても表情をこわばらせて 「まだまだ」 と謙虚に応えている。
毎年のように 「今年こそ優勝や〜!」 と張り切っていても、ゴールデンウイークを過ぎたあたりから 「来年こそは」 という話になってしまっていたものだから、本当に優勝の二文字が見えてくるとマリッジブルー(marriage blue)と似たような精神状態になってしまう人もいるらしい。優勝、優勝と騒いでいたものの 「本当に優勝してしまうのだろうか?」「優勝しても良いのだろうか?」 という心境になってしまうとのことだ。
中には弱い阪神を見て文句を言い、それによってストレスを発散し、もっと頑張れと励ますことに生きがいを感じていた人もいるだろう。そんな人達も阪神がここまで頑張ると 「・・・えっ?」 と戸惑ってしまうに違いない。同じ頑張るにしても勝率 7割の圧倒的な強さで勝ち進み続けるとは誰が予想したであろうか。それは夢のようであり、夢の絶頂が目前まで迫ってきているがため、不安を覚えたりするのかもしれない。
しかし、球場にはどこから湧いて出てきたのかと思うくらいに阪神ファンが詰め掛けている。今までどこで息を潜めていたのかと不思議に感じるくらいである。TV を観ていても知り合いの中にも最近になって阪神が好きになった人も多い。”にわかファン” は良く思われないだろうし、中にはお祭り騒ぎに便乗したいだけの人がいるのも事実だろうが、阪神の場合は事情が少し違うように思う。
一度でも阪神に興味を持つとそのままファンになってしまい、なかなかやめることができなくなってしまうらしいのである。巨人嫌いの人がある日突然巨人ファンになったという話はあまり聞かないが、今回の優勝騒ぎを別にしても昨日まで阪神に興味がなかった人が今日から阪神ファンになったという話は割と良く聞く。それはまるで犬と猫の話とそっくりである。
犬嫌いの人は絶対に犬好きにはならない。犬嫌いを克服して触れるようにはなったとしても、犬好きにまではならないらしい。ところが猫嫌い、あるいは猫に興味がない人でも一度猫を飼うなりすると、とたんに猫が好きになってしまうことが多いのだそうだ。自分は犬も猫も好きだが猫は飼ったことがないので、どのような魅力や魔力が猫に備わっているのか分からないが、実に不思議なものである。
そして、それはまさに巨人と阪神に置き換えることができる。阪神(虎)も同じ猫科であるという単純な理由であるはずはないが、阪神には猫にも劣らぬ不思議な魅力や魔力があるのかもしれない。そう考えると現在の ”にわかファン” は阪神の魅力に参ってしまい、来年からもファンであり続ける可能性が高い。こうやって阪神のことを気にしていると自分もファンになってしまうのではないかという不安すら覚えてしまう。
生粋の阪神ファンの人達は ”にわかファン” を快く思っていないかもしれないが、まあ良いではないか。なにせそれは約 20年に一度しかないお祭りなのだから。