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雑感何となく感じたこと雑感何となく感じたこと

外見 Episode II 外見 Episode II

  かなり以前の雑感でも触れたが、とあるメーカのシャンプーが体質に合わず頭皮がただれてしまったことがある。第一の目的は頭皮が剥げ落ちてくるのを防止するため。第二には邪魔な前髪を固定されるのを目的に Depで髪をオールバックに固めていた。

  それに加えて考えごとをすると眉間にシワを寄せる癖があるので、その外見から他人に必要以上の警戒心を与えてしまっていたらしい。それに輪をかけて ”元不良” だったものだから歩き方がだらしない。さらにさらに、若い頃は神経も尖っており、目つきも以前の雑感に書いた通り決して良くはない。それらすべてが相乗効果を発揮し合い、どう見ても ”あやしい人物” と判断されていたようだ。

  実際には小心者で心優しいのだが、他人からはそのように見られない。まだ大阪に住んでいない頃の話だが、勤めていた会社の本社が大阪だったため、何度か出張で訪れたことがある。仕事が終わって食事がてらに ”ミナミ” に繰り出すときは、ホテルに寄ってチェックインを済ませることが常だったが、ワイシャツにネクタイ姿のままでは堅苦しいので黒い Tシャツの上にスーツを着て外出する。

  オールバック、悪い目つき、眉間にシワ、ガラの悪い歩き方、黒い Tシャツにスーツ姿、これで悪条件がすべて揃ってしまうことになる。人からどのように見られているかなど気にしない性質なので、平気な顔をして ”ミナミ” を闊歩していると前から歩いてくる人が道を譲ってくれる。「大阪の人たちは親切だなぁ〜」 と思い込んでいたのだが、「どうやらそうではないらしい」 と気付いたのは、だいぶ後になってからである。

  当時の勤務先では皆が慣れていたので、外見が恐いとか言われなかったが、大阪に転勤して来た当初は怯えた目で見られることが多かった。若い社員の間では恐れられていたらしく、社内を歩いていても皆が怯えている。転勤後に勤務していたのは大きなビルで、その 1フロアすべてを会社が借りていたため、端から端まで移動するには相当な距離ある。

  当時所属していた部署はフロアの端にあり、よく話をしなければならない他部署の長は反対側の端に席があった。一日に何度もフロアの中央を端から端まで移動することになるのだが、自分が歩いていると通路で談笑していた若い社員がササ〜っと避けていく。まるで映画の十戒でモーゼが海を割って進んでいく姿のようだ。

  談笑していた顔が明らかに引きつった顔に変わり、まだ気が付いていない人の袖を引いてまで逃げるように通路をあけるのである。最初は 「何もそんなに怯えなくても・・・」 と思っていたが、そうされるのにも慣れてしまったのと、別に怒っている訳ではないことを説明するのも面倒なので放って置くことにした。

  イライラしているときなどは通路にいる若い社員に軽くではあるが蹴りを入れたりチョップしたりして遊んでいた。そんなことをするものだから余計に恐がられもしたが、しまいには皆も慣れたらしく、キックしたりチョップしたりすると 「わぁ〜!」 と言いながら死んだふりなどして遊んでくれていたのである。

  毎日の事であれば回りも慣れてくれるので助かるが、初対面の人には外見で判断されるので困ったことも多かった。転勤してくる前の話だが、大阪本社から大至急の荷物が送られてきたことがある。あまりにも時間がないため、航空便で送られて来た荷物を空港で受け取ることになった。

  その時の季節は冬で、黒い光沢のあるコートを着ていた。それも普通のデザインのものではなく、まるでナチス軍のゲシュタボのようで、オールバック、悪い目つき、眉間にシワ、ガラの悪い歩き方にガラの悪いコートが加わったものだから、外見は ”あやしい度 MAX” なわけである。

  空港のカウンタで荷物を受け取り、封をビリビリと破って中身を確認した。中から出てきたのは基盤や電子部品、配線などが剥き出しになった一般人にとっては ”怪しい機械” である。移動中に配線が外れていないかを確認し、大丈夫だったので 「ふむふむ」 とうなずきながら機械をポケットに突っ込み、それが入れてあった封筒ををゴミ箱に 「ガン!」 と捨てて歩き出した。

  その時、警備の制服を着た空港の関係者と目が合ったのだが、怪訝そうな顔をしてこちらを見ている。「ふんっ」 と無視して電車のホームに向かったのだが、気になって後ろを振り向くと警備の人が四人に増え、なにやら無線で交信しながら後を付けて来ていた。怪しげな人物が怪しげな機械を持って空港内をウロウロしていたので非常警戒態勢に入ったのだろう。

  その話をすると皆に笑われるのだが、自分にとっては外見だけで警戒された悲しい思い出なのである。

2002 / 11 / 17 (日) ¦ 固定リンク


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