今回こそ、今度こそ秋になったと宣言しても良いのだろうか。今年は酷暑で連日のように真夏日、熱帯夜が続いていた。8月の終わり頃にはその暑さもやっと和らいだと思っていたのに、その後の残暑もとっても厳しいものだった。寒さであれば重ね着をするなど対抗手段があるが、暑さには抵抗のしようがないのでとにかく耐えるしかない。
それでも今年の夏は暑さへの対策法をいくつかあみ出すことができた。昨年までとっていた対策は、西日の入る窓に遮光カーテンをして太陽からの熱を防御すること。TVを観ながら横になっている場所には竹なのか何なのか分からないが、とにかく木でできた敷物、同じく何だか分からない木で編んだまくらを使った。これだと自分のいる場所と頭が乗っている部分は熱くなるが、少し体を移動するとそこは冷たい。
夜寝ていても布団が熱くなるので通気性を良くするために ”すのこ” を並べた上に布団を敷くようにし、さらに畳のように井草で編んだものを敷いて寝ていたのだが、それでも夜中に暴れて布団から落ちてしまっていることが多かった。今は和室で寝ているので畳の上が冷たくて気持ちが良かったのだろう。畳は布団のように柔らかくはないので朝起きると体がバキバキになっていた。
そして更に寝る時には冷凍庫でキンキンに冷した 『アイスノン』 を使うなど、必死になって涼を求めていたのである。それでも暑くて夜中に何度も目を覚ましてしまう。もちろんエアコンもつけたままなのだが、室外機の音が眠りを妨げるので冷房ではなく、ドライ運転にしかできない。これで万策尽きたと思っていたのだが、もうひとつの手段として ”おでこ” に貼る冷たいヤツ、冷えピタとかデコデコクールを試してみた。
結果は残念ながら ”効果薄” だった。貼った直後は頭が痛くなるくらい冷たく、逆に冷たくて寝れないのではないか思うほどだったが、なにせ冷えるのがほんの一部分でしかない。結果的に汗は止まらず、その汗でシールが剥がれておでこからポトリと落ちてしまうのであった。
それでも室内であれば極限の薄着でいられるし、いろいろと暑さ対策を練ったり施したりすることができる。しかし外出する時は困ったものだ。極限の薄着は人様にお見せできるような格好ではないし、おでこに冷たいのを貼ったまま歩くのもマヌケである。
おでこに貼るヤツを首筋に貼ると、そこにはツボもあってとても涼しく感じ、襟のある服の場合は丁度良く隠れるので人に見つかる事もないと聞いたので試してみたのだが、結局は寝ている時と同様に汗で剥がれ落ちてしまうので効果は長続きしなかった。
そんなこんなで暑さには苦労させられたが、いろいろと試したなかで最も効果的だったのは、やはり水分補給だった。水筒に水を蓄えておくのは
以前の雑感に書いた通りだが、水筒を首から下げて外をウロウロしていると怪しい遠足みたいになってしまうし、出勤の際にカバンに入れて運ぶには少し重い。そこでこの夏に大活躍したのがペットボトルだった。
前の日に作り置きしてあるアイスコーヒーをボトルの 1/3位まで入れて冷凍庫で凍らせる。翌朝は残りの 2/3をコーヒーで満たし、何という名前かわからないが、ペットボトルを入れてある程度冷たさを保つことのできる ”袋” に入れて家を出るのだ。そうすると午後 2時くらいまで冷たく飲むことができる。氷もコーヒーでできているため、溶けてコーヒーが薄まることもない。この夏は毎日それを持って仕事にでかけた。
いろいろと苦しみぬいた夏も終わり、やっと涼しくなったので嬉しくてたまらないのだが、夏という季節が過ぎ去ったことに対しては少しだけ寂しさを感じてしまう。TVでは鍋ものの CMが多くなってきた。窓から差し込む日の光が柔らかくなってきた。部屋を通り抜ける風が乾燥してきた。店先に松茸や柿、新ナスが並び始めた。
通勤時の風景では、街行く人が秋もののファッションに身を包みはじめた。空が一段と高くなった。入道雲から秋の雲に変わった。柿の木の実が色づき始めた。草花が茶色に変わり始めた。虫取り用の網が立てかけられたまま秋風に揺れていた。子供用のビニール製プールが洗われて来年までの眠りにつこうとしていた。あ〜秋になったんだなぁ〜としみじみ感じる。