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雑感何となく感じたこと雑感何となく感じたこと

兵どもが夢の跡 兵どもが夢の跡

 いよいよ今日でワールドカップも終わりである。日本はベスト 16位入りを果たし、日本サッカーの歴史を変えた。共催国である韓国は昨日の試合で残念ながら負けてしまい、4位に終わってしまった。今日の試合の後はトルコの選手も韓国の選手もお互いの国旗を掲げてサポーターに挨拶をしていた。サポーターも観客席で大きなトルコの国旗を広げて祝福していた。

 お互いの健闘を称え、素晴らしい試合をしたことを喜びあっている姿は感動的だった。以前の雑感にも書いた通り、自国の応援しかせずに相手国の健闘を称えないようなスポーツであれば嫌いになっていたことだろうが、韓国のサポーターを見る限り、サッカー(W杯)っていいな〜。スポーツって(見るだけなら)いいな〜と純粋に感動することができた。

 韓国も日本もよく頑張ったと思うが、日本と韓国の差は何だったのだろう。同じトルコに負けたのだからといって韓国と日本の実力も同じというわけではないだろう。なにせ韓国は ”あの” スペインやイタリアに勝利しているのだ。サッカーには詳しくないので何かは分からないが、明らかに ”何か” が違うように思ってしまった。

 技術的な差があるのかは分からない。身体能力に関しては食文化の違いなどにより多少の違いがあるのかもしれない。韓国にはニンニクやら高麗人参やら身体に良さそうなものが沢山あるのでパワーの源(みなもと)になっているのかもしれない。それにひかえ日本では納豆が身体に良いだのヒジキが良いだのと TVでやっていたりする。

 健康には良いのかもしれないが ”パワーの源” とはちょっと違うような気がする。日本の食材でパワーが出そうなものといえば山芋(長芋)、うなぎ程度かもしれない。どうもニンニクや高麗人参と比べるとパワーが劣っているような気がしてしまう。生まれてから 20年程も違う食文化の中で育てば基本的な体力や体質にも差ができてしまうだろう。

 こんなマヌケなことを言っているのは自分くらいだと思われるので身体能力にも大きな差がないとすると、他にはどんな差があるのか。両国とも身長が高く空中戦に向いているわけでもない。走る速さだって大きな違いがあるとは思えない。少しサッカーに詳しい人に聞くと、監督の差だと言うが、トルシエ監督とヒディング監督にそれほどの差があるのだろうか。

 ハングリー精神などという使い古された言葉は使いたくないが、確かに韓国は ”ガムシャラ” に ”ヒタムキ” に頑張っているように見えた。失うものなど何もない、明日のことは考えずに今日さえ勝てれば良いという一途さを見たように思う。対照的に日本は何かを守っているように見えてしまった。韓国と同様に失うものなど何もなかったはずなのに・・・。

 韓国の試合は勝っても負けても清々しいものがあったが、日本が負けたときは 「もう少し頑張れたんじゃないの?」 などと思ってしまい、どこか消化不良の感があった。専門家はそうは言わないだろうが、個人的には日本と韓国が試合をしたなら、きっと日本は韓国には勝てないだろうと感じている。それは技術的なことなどではなく日本にはない ”何か” が韓国にはあると感じているからだと思う。

 この差は戦略や戦術の違いによるものだとしたら確かに監督の差ということになるだろうが、日本代表の選手と韓国代表の選手、各個人の気持ちはどうだったのだろう。韓国の選手は全員がゴン中山のように剥き出しの闘争心とガムシャラさを備えているように見えた。日本の選手は全員がゴン中山のようだっただろうか。消化不良に感じてしまったのはそういう部分の差だったのかもしれない。

 何はともあれ今日のブラジル vs. ドイツで 1カ月間に及んだワールドカップも閉幕である。日本も韓国も負けてしまった以上、自分としてはどちらが勝っても良いと思っている。まったく興味がなくなったのではなく、ブラジルはブラジルで勝たせてやりたいし、ドイツにも頑張ってほしい。つまり、どちらを応援したら良いのか分からないでいるのである。昨夜の韓国 vs. トルコのように素晴らしい試合、見ていて気持ちの良くなるプレーを披露していただきたいものである。

 そして明日になればすべてが終わり、残るものは巨大な建造物と膨大な赤字だけとなってしまう。

 前々回である 1994年にアメリカで開催された W杯ではアメリカンフットボールの競技場を利用した。前回 1998年のフランス大会でも開催スタジアムのうち、新設されたのは決勝戦が行われたフランス競技場だけで国の総投資額は 17億4000万円にすぎない。ところが今回での日本の実体を見てみると、ケタ違いの金額が動いている。

 カメルーンの到着が遅れて一躍有名になった中津江村は数千万の投資額であれだけの知名度を得たわけなので成功した例かもしれない。ベッカム様率いるイングランドのキャンプ地であった津名町も報道陣などが大挙として訪れたため、それなりの経済効果もあったことだろう。投資額に対して収入(見返り)が大きければビジネスとして成立するが、巨額の投資をして回収できないのであれば、それは失敗なのである。

 キャンプ地として名乗りをあげた市町村は少ない(数千万円)の投資で、それなりの経済効果もあったのだろうから住民も納得できるだろうが、最悪なのは大会の開催地として名乗りをあげた所である。上述したように国の総投資額が 17億4000万円のフランス大会に対して日本が今大会のためにつぎ込んだ額は札幌市 422億円、宮城県 250億円、新潟県 312億円、茨城県 267億円、埼玉県 356億円、横浜市 603億円、静岡県 300億円、大阪市 401億円、神戸市 230億円、大分県 251億円。計 3,392億円に達する。

 これは総投資額ではなくスタジアムの建設費だけの金額である。そして腹立たしいのが各スタジアムで黒字を予定しているのは札幌市の札幌ドームだけ、維持可能としているのが茨城県だけなのだ。その他は宮城県 維持費 3億5,000万円に対して収入は未算定、新潟県 4億円に対して 5,000万円、埼玉県 7億円に対して 3億円、横浜市 8億7,000万円に対して 1億9,000万円、静岡県 4億5,000万円に対して 未算定、神戸市 6億円に対して 未算定、大分県 3億円に対して 6,000万円、我が大阪市は 3億3,400万円に対して 6,600万円に過ぎない。

 つまり、札幌と茨城以外は収入よりも維持費の方が大きい、大赤字のスタジアムを建設したのである。それは結果ではなく、最初から分かっていたにもかかわらず俗に言う ”ハコモノ” を公共事業として建設してしまった。中には 「儲かると分かっていれば民間が作る。儲からない物は国が作る」 と馬鹿まる出しの発言をする市や自治体まであり、確信犯の様相を呈している。

 言うまでもないが大阪の長居スタジアムの建設費 401億円も、年間維持費の赤字額 2億6,800万円も我々の税金である。年間維持費の -(マイナス)2億6,800万円は長居スタジアムが存続する限り永遠に税金が投入されるわけである。ワールドカップという建前を利用して平気な顔をして巨額の税金を採算性をまったく考えずに投入して、涼しい顔で 「財政赤字だから増税を」 などと言っているのである。

 いつもいつも、この雑感では大きな組織や国に対して文句ばかり言っているので自分は反体制主義なのかもしれないが、無計画なのにも程がある政策に対しては文句の一つも言ってやりたくなる。これから先、巨額の投資をして維持が困難なスタジアムはどうなって行くのだろう。国民(または大阪府民)は、それでも黙って税金を払いつづけるのだろうか。

 いつも思うことだが馬鹿な政治家や官僚は総辞職して、本当に世の中のためになる政策を打ち出してもらえないものだろうか。大きな祭りのあとだけに ”兵(つわもの)どもが夢の跡” という言葉をしみじみとかみ締めてしまうのであった。

2002 / 06 / 30 (日) ¦ 固定リンク


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