モラル モラル
小学館の国語大辞典によればモラルとは 「1 道徳。倫理。行為の正邪とその区別に関する態度、または教え。2 物語、出来事、体験などの内的な意味。」とあるが、最近ではもっと単純に常識がないことに対して 「モラルがない」「モラルの低下(または欠如)」 という使い方がされている。
モラルと言うよりもマナーの問題なのだが、電車の中はマナーの良し悪しが顕著に表れる場所である。「事故の原因となりますので駆け込み乗車はおやめください」 と繰り返しアナウンスされているのに必ずといっていいほど毎日のようにどこかの駅で駆け込み乗車がある。つい先日も自分の目の前のドアに駆け込んで来た。全速力で走って来たのか駆け込んで来た兄ちゃんは手をヒザにつきながらゼ〜ゼ〜言っている。
JR側も見せしめのためか 「ただいま駆け込み乗車がありました、危険ですのでくれぐれも・・・」 と絶妙なタイミングで車内アナウンスを始める。その兄ちゃんは恥ずかしそうにあたりを気にしていたが、そんなことよりも呼吸を整える方が重要だったようで 「すぅ〜・・・はぁ〜」 と深呼吸したりしていた。おまけに冬だというのに汗だくなのである。
何度もこの雑感に書いているが走ることが嫌いな自分にしてみると、なぜそこまでしてこの電車に乗りたかったのか不思議でしかたない。仕事に遅れそうだったのか、待ち合わせに遅れそうだったのかは知らないが、苦しい思いをするくらいなら駅までの時間を逆算して家を出れば良いし、何か正当な理由があって遅れるのならば相手に事情を説明すれば良いのである。
間にあうように努力することも必要だが、努力する場所が間違っているように思う。間にあうように朝起きて家を出る努力をすれば良いのである。駆け込み乗車をして事故にでもなったら JRはもとより、乗客の足を止めることになってしまい多くの人に迷惑をかけることになる。JR職員になりかわり、くれぐれも駆け込み乗車はおやめくださいと言っておく。
携帯電話に関してもいくら車内アナウンスがあろうと一向にマナーが改善されないようだ。この前も隣りのつり革につかまっていたおやじの携帯が鳴り、電話に出たそのおやじは大声で話をしている。人と人の会話はそれ程気にならないが、電話での会話は不思議と気になってしまう。どうやら会社の部下からの電話だったようで、なにやら指示を出している。そのおやじの指示が悪いのか部下の能力が低いのか分からないが、なかなか話が伝わらないようでおやじの声がだんだん大きくなってくる。
あまりにも腹が立ったので体を移動し、おやじの顔を思いっきり正面から睨んでやった。するとくるっと背中を向け、そそくさと話を終わらせて乗車口に移動してしまったのである。自分が上司で部下に指示しているのがカッコイイと陶酔していたのか知らないが、さっさと終われる話なら最初からそうすれば良いのである。第一、電車内では携帯の電源を切るように言われているではないか。
「携帯電話によるメール交換も・・・」とアナウンスされていても、あちらこちらで親指が動いている。会話とは違ってうるさくないので個人的には気にならないのだが、中にはピポピポと操作音を出したままの奴がいる。あの電子音はかなり気になるので操作音は OFFにしてもらいたいものだ。OFFにする方法が解らないのであれば使用せずに電源を切れ!と言いたい。
買ったばかりの携帯電話を分厚い説明書を読みながら操作しているおやじも見かけたことがある。何を設定したいのか、あちらこちらのページをめくりながら首をひねったりしている。その時もピポピポと操作音が出ていたので 「うるさいな〜」 と思っていた。しばらくすると、どう操作を間違えたのか大音量で着信用の音楽が奏でられた。本人も驚いたようで 「わぁ」 と言いながらあわてて止めようとしているのだが、止め方が解らないらしく結果的にはその曲を最後まで聞かされることになってしまった。
個人のモラルが低下しても被害を及ぼす範囲は狭いが、企業や政治家のモラルが低下するとその影響は広範囲に至るため問題が大きい。この雑感を開始した頃に食中毒事件を起こした雪印が今度は国に対する詐欺行為で問題になっている。輸入牛肉を和牛と偽って買い取らせた例の事件である。
一度でもあってはいけないのだが、食中毒事件の時に 「二度とこのような不祥事は・・・」 と言っておきながらの不祥事である。前回の雪印乳業とは別組織とはいえ同じ雪印(SNOW BRAND)という冠をつけているのだから消費者の不信感、ブランド力の低下は避けられないだろう。すでに全国の小売店の一部では雪印関連の商品を撤去している。
前回は業績悪化に苦しんだが、今回は経営危機にまで発展するかもしれない。自業自得と言ってしまえばそれまでだが、牛乳を納めていた酪農家や宅配の牛乳屋さんなどを含めると相当大きな問題に発展してしまう。第一報を聞いた時にも感じたが 「なぜ?どうして?」 としか思えない。まさに企業または社員のモラルの欠如としか言いようがない事件である。
本国会は重要な議題が多いというのにまた田中眞紀子 vs 鈴木宗男である。あまりにもバカバカしいので内容には触れないが、言った言わないの子供の喧嘩と同じだ。マスコミも面白がって報道しているようだが、鈴木宗男氏が関与していたかという問題よりも世界中に恥をさらし、日本でも有力な NGOが政府に批判的な意見を言っただけで重要な会議に出席できなかったことが問題なのである。
企業にしても政治家にしても彼らのモラルはどうなっているのだろう。長くなってしまったが、あまりにもくだらないので最後に、ある ”架空の学校” でのできごとを・・・
マキコさん 「センセー鈴木君が全校集会のとき〜一部の人に入っちゃだめって言ってました〜」
ムネオくん 「センセー僕そんな事言ってませーん」
マキコさん 「いいました〜」
ムネオくん 「じゃぁ何日の何時何分何秒に言いましたか〜」
学級委員長のフクダくんと担任のコイズミ先生は困って笑っています。
2002 / 01 / 27 (日) ¦ 固定リンク