夏の想い出 夏の想い出
暑さ寒さも彼岸までというが、本当に、それも急激に涼しくなった。以前から思っていたのだが、大阪には”過ごしやすい”季節というものがない。昨日まで「暑いな〜」と思っていたのに今日はもう涼しかったり、「寒いな〜」と思っていたら次の日はすでに暑くなっているような気がするのだ。
記録的な猛暑も過ぎ去り、これからは一雨ごとに秋が深まっていくのであろう。タイトルは「夏の想い出」としたが、とことん出不精な我が身に一夏の想い出などできるはずがない。ましてや今年の夏などは”暑かった”という記憶しか残っていない。
今は「このザマ」であるが、若い頃はそれなりに夏を楽しんでいた。色々な時代のそれなりの「夏の想い出」が一緒くたになって記憶として残っている。どの記憶がどの時代のことなのか忘れてしまったが・・・。
海に遊びに行くときは渋滞に巻き込まれるのがイヤだったので、前日の夜 10時くらいに出発する。夜中に到着し、適当に腹ごしらえをして酒を飲みまくるのだが、その酒の量が半端ではない。出発してすぐにコンビニで氷を 5袋くらい購入し、クーラーボックス(魚釣りなどで使う保冷用の入れ物)に袋から出したすべての氷を入れておく。
暑い季節は”現場”に到着すると、その氷が半分以上溶けているので、その中に直接ウイスキーをボトル 3本程度ドボドボと入れ、巨大な水割りを造るのである。あとはコンビニで用意した紙コップをその中に突っ込み、すくって飲むと何度も水割りを造らなくてすむという、誠に効率的であり合理的かつ、ワイルドな方法だった。
酒が進むと訳の分からないことになってくる。遠く離れた給水所まで「佐川急便やります!」と宣言し、下着(ブリーフ)を後ろでつまみ”ふんどし”のようにして走って水を汲んでくる奴あり、ペースを考えずに飲みまくり、砂浜に穴を掘ってその中に頭を突っ込んで吐いている奴あり。
ある時など酔って暴れている間に車の鍵を落とした奴もいる。「この広い砂浜で車の鍵を探すなんて、砂浜で鍵を探すようなものだよな〜」などと支離滅裂なことを言いながら 1時間ほど探したが、結局は見つからなかった。
前日の夜にそれだけ酒を飲み、大騒ぎするものだから翌日は午後まで浜辺で寝ている。目が覚めた時、周りは海水浴客だらけで、ボロボロになっている我々を怪訝そうな顔で見ているのであるが、そんなことは気にせず、のそのそと起きて遊び始める。
最初は普通に泳いでいるのだが、そのうちに飽きてしまい、面白いことはないかと考えた。その時に思いついた遊びが「人間ロケット」で、3人が胸くらいの深さの場所に行く。2人が向かい合い、両手で輪を作る。輪を作るといっても頭上ではなく下に向って各々が手を組んで輪を作り、その手にもう 1人が足を乗せる。1人の手に片足、もう 1人の手にもう片足をのせるのである。
水中なのであまり重さを感じない。準備が整ったら”発射台”となった 2人が腰をかがめ”ロケット”となった 1人も腰を落とす。3、2、1、0 のカウントダウンとともに、”発射台”の 2人は思いっきり”ロケット”を持ち上げ、”ロケット”は思いっきりジャンプする。すると、地面では想像もできないほど高く飛び上がることができるのである。
やっている方は楽しいのだが、海岸から見ていた人たちは相当に驚いたらしい。なにせ何もないはずの水面から、いきなり人間が飛び出してくるのである。みんなが指をさしてこちらを見ているので、調子に乗って空中で回転したり、バック転したりして拍手喝采を浴びたこともある。
ある時は浜辺で鉄板焼きをしようということになり、ジャンケンでそれぞれ調達する係を決めた。ある者は”肉”の調達、ある者は”野菜”、ある者は”炭(すみ)”と分担を決め、それぞれが”材料”を調達して海に出かけた。現場に到着し、いざ食事となったのだが”鉄板”の調達係が肝心の”鉄板”を忘れてきたのである。
「鉄板がなくて鉄板焼きができるはずがなかろう」と本人を罵り、「責任をとれ」と言って”鉄板係”の車を解体し、ボンネットを外して火の上にのせた。”鉄板係”は「あ〜っ!」と叫んでいたが、なにせ大量の酒が入っているので「どうでもいいや」と言いながら鉄板焼きならぬボンネット焼きを美味しそうに食べていた。
食べ終わると”ボンネット”を海水でジャブジャブと洗い、車に装着しておいた。後日、新車を買うことになり、下取りのためその車を査定してもらったところ、査定の最中に「ここ、どうしました?」と担当者がさわったとたんにボコッと穴があき、肘まで入ったとのことであった。
今でもたまに無茶をしていた頃を思い出し、後先を考えずに暴れたり、騒いだりしてみたいと思うのだが、翌日のことや仕事のことを考えると、恐ろしくて実行できないオッサンがここにいたりするのである。
2001 / 09 / 23 (日) ¦ 固定リンク