二極化 二極化
前回に引き続いて経済的な内容になってしまうが、昨年来いわれてきたことが現実味を帯びてきて、日本では二極化が進んでいるらしい。バブル経済が崩壊し、失われた10年(90年代)を経て日本人も 1億総中流意識が吹っ飛んでしまったようだ。
”失われた10年”とはいえ、アメリカ経済の失速、日本における政治の混迷から、いまだに日本経済は立ち直れずにいる。構造改革を公約に掲げながらも政治は何も変わっていない。この10年間で大きく変わったのは民間企業の経営手法や手段だと思われる。
日本的商習慣が否定され、SONYを代表とするグローバル・スタンダードな経営が注目を浴びている。個人的にはグローバル・スタンダード=アメリカン・スタンダードという論調には賛成できず、グローバルの良いところと日本の良いところを融合した、限りなくグローバルに近いジャパニーズ・スタンダードがあっても良いと考えているのだが・・・。
堅い話はさておき”二極化”に関して話を進めると、最近は「裕福層」と「低所得者層」の二極化が進んでいるらしい。終身雇用、年功序列ではなく、実力主義の給与体系を採用する企業が増えているからかも知れない。これもグローバル・スタンダードの流れなのだろう。
これから実力を伸ばす若者にとっては歓迎すべきことなのかもしれないが、会社に忠誠を誓い、一生を捧げようと考えてきたサラリーマンにとってはとても辛い時代なのであろうと予想できる。
そんなこんなで 10年前に「自分は中流」と皆が思っていた頃とちがい、リストラの影響で、自分が退職を迫られるか解らない状況のままでは「消費不況」が続くのも無理はないのではないだろうか。
二極化が進んでいるため、売れるものと売れないものもハッキリしている。以前は大衆向けといわれた普及価格帯の車が売れず、高級車か低価格車が売れるらしい。時計も同様で、中途半端な価格帯のモノより 1000円台か 10万円台のモノが売れており、3〜5万円台のモノはさっぱり売れない。
これは食材やマンション、外食産業にまで共通な消費行動だと伝えられている。確かに”億ション”と呼ばれるマンションは発売前に予約完売しているし、敷金も礼金もないアパートやマンションの人気も高いようだ。
お役人主導だった「社会主義」的な時代から、皆が同じ価値観を求めた「共産主義」的な時代を経過し、日本にも「資本主義」が浸透してきたと実感できる。
経済学者ではないので、理論的な説明や解説は不可能だが、一般消費者としてそれを切に感じるのは近所のモスバーガーの閉店である。マクドナルドがバイイング・パワーを武器にコストダウンを図り、平日半額などの顧客獲得作戦を展開するなか、モスバーガーもセット価格で低価格路線に走ってしまった。
モスバーガーは、高価でも素材にこだわり、作り置きせずに出来たてを提供してくれることに価値があった。個人的には決して安売りを希望していたのではなく”味”や”品質”に魅力を感じていた。付加価値を追求して高価格帯を維持できず、マクドナルドほどの低価格に追従できないまま、中途半端な政策をとってしまったことが「モスフードサービス」の失敗だったと強く感じる。
長い間、モスバーガーのファンだったので近所の店が閉まってしまうのはとても残念だが、これも時代の流れ。資本主義の姿であると受け止めなければならないのであろうと涙をこらえながら感じている今日このごろ・・・なのである。
2001 / 03 / 10 (土) ¦ 固定リンク