人間の間違いには聞き違い、言い違い、人違い、勘違いなど色々あり、シャレにならない間違いから笑って済むような間違いまで、そのランクも様々なわけである。
若い頃に住んでいたボロアパートではシャレにならない間違いが発生した。そのアパートは隣家と密接しており、当時の悪友達がアパートと隣の壁に両手両足をつき、忍者のように二階にある我家までよじ登って来ることがよくあった。深夜、明けがたに関わらず悪友の襲撃をうけるので、玄関をノックされてもチャイムを鳴らされても無視していたら寝室の窓から侵入してくるようになったわけだ。
そんなある日に”事件”は発生した。いつもの通り、悪友が忍者方式で壁を登り窓をガラっと開けると、そこは隣に住む女子大生の部屋だった。惰眠を貪っていた時に突然聞こえる女子大生の悲鳴。そのすぐ後に聞こえるドスンという落下音。何ごとかと窓を開けると悪友が壁の間にあお向けに倒れている。隣室からは驚きのあまりにすすり泣く女子大生の声。すぐに事情を察したので隣の部屋に謝りに行ったため警察沙汰にはならなかったが、悪友は「う〜ん」と苦しそうにうなっているわ、女子大生はヒックヒックとしゃくりあげて泣いているわの大騒ぎだった。
あとで事情を聞いてみると、よじ登るスタート地点は確かに当時の部屋の真下だったのだが、忍者方式で壁を登るのは難しく、体のバランスをとっているうちに少しずつ軌道がそれて隣の部屋に到達したらしい。そこでろくに確認もせずに思いっきり窓を開けたため大騒ぎになってしまったらしいのだ。
同じ間違いでもあとで笑って済まされることもよくある。
以前の雑感にも書いたとおり、昔はマージャン三昧の生活を送っていた。マージャンが始まると夜を徹して続けることが多く、気がつくと外が明るくなっていることなど日常茶飯事だった。
その時も朝方にマージャンが終了し、ずっと座りっぱなしだったため各人がそれぞれ疲れを癒そうと、大きな伸びをしたり立ち上がって体をほぐす運動をしたりしていた。「あ〜あ」と言いながら横になろうとした、マージャンのメンバーを見たもう一人が「寝たら寝てしまってそのまま寝てしまうぞ」とのたまった。・・・一同「??」となってしまったが、どうやら「横になったら」「眠ってしまって」「そのまま起きることができない」と言いたかったらしい。
その他、最近では会社帰りに JR大阪駅で、いきなり女の子が腕を組んできた。一瞬驚いたが、会社の女の子が悪ふざけをしているに違いないと思い、平静を装ってそのまま歩いていた。その女の子が何ごとかを楽しそうに話しているので「一体誰なんだろう?」と顔も見ずに必死に声を聞き分けようとしていた。そのまま1-20m くらい進んだところで「何しとんねん!」という男の子の声が聞こえた。
その瞬間、腕を組んできた女の子は「えっ!?」と言ったので、あわてて顔を確認すると、まったく見覚えのない子だった。どうやら彼氏と間違って腕を組んできたらしいのだ。その子は「す、す、すみません!」と顔を真っ赤にして言ったので、こちらも「ど、どういたしまして」と言った。なにが「どういたしまして」なのかよくわからないが、そんな言葉しか思いつかなかったのだ。
再び昔の話になるが、当時の悪友が同じく当時彼女だった子に「明日(夜の)7時から(酒を)飲みにくぞ!」と言ったところ、彼女はニッコリして「うん!」と答えた。その彼女は翌朝の 7時に浮き袋を持って玄関に立っていたという話がある。その子は「明日(朝の)7時から(泳ぎに)海に行くぞ!」と聞き違えたらしい・・・。本人は「嘘だ!」と強く否定していたが、あの性格からも実話に違いないと今でも信じている。
当然のことながら、これ以外にも色々な間違いを目撃もしたし、自分自身も間違いは多々あった。人間である以上は間違いがあって当然だと思うし、これからも間違いをくり返しながら生きていくのであろうが、これから年をとって間違いでは済まされず、「ボケた」と言われないように気をつけなければと考える今日このごろである。