年末恒例 年末恒例
いよいよクリスマス関連のイベントが盛り上がりを見せている。例によって”今世紀最後の”クリスマスというフレーズをよく見聞きするが、なにもキリストの誕生日だけが今世紀最後な訳ではなく、自分自身の誕生日だって今世紀最後だったわけである。こんなことなら”今世紀最後”を口実に豪勢なプレゼントを各方面に要求すべきだったと思うが、後悔先に立たず・・・である。
そんなこんなで今世紀も残りわずかで、忘年会シーズンの真っ只中にあり、街には大勢の酔っ払いが出没している。
仕事で外出し、会社に戻らなければいけなかったので夕方の 6時 30分くらいに電車に乗ったら、すでにすっかりできあがっているおやじがいた。「いったい何時から飲んだらそんなに酔えるんだ!」とむなぐらをつかんで説教したくなるくらいに顔を真っ赤にしてヘロヘロになっていた。
会社帰りの駅のホームでは酔っ払いがフラフラになって歩いているわ、つまらないことから口論になり、取っ組み合いの喧嘩をはじめるやらの大騒ぎ状態である。若いおねえちゃんにデヘヘと近寄って露骨にいやな顔をされているおやじもいるし、あちらこちらで大声を張り上げて会社の悪口や部下、上司の悪口を言っている酔っ払いもいる。まさに醜態のさらけ出し放題である。
自分自身も酒は嫌いではないので偉そうには言えないが、もう少し自制心を保ったほうが良いのではないかと思ってしまう。仕事の帰りが早いほうではないので、帰宅する電車に酔っ払いが満載状態になってしまうのはしかたないので諦めているが、本を読んでいるそばで大声でガハガハされるのはたまらない。
しかし、同じ酔っ払いの中にも見ていて笑いのこみあげてくる種族も存在する。去年の今ごろのことだったと思うが、JR 大阪駅から電車に乗り込んできた酔っ払いおやじは、ねずみ色のスーツを着た黒ぶちメガネ、同色の帽子をかぶり、ちょびヒゲを生やしたいでたちで、右手にはボロボロのカバン、左手には「寿司おり」というマンガに出てくるか、コントで演じられるような典型的な”酔っ払いおやじ”だった。
その歩き方もコントそのもので、寿司おりをひじの高さに持ち、足がもつれてフラフラしていた。乗降口ちかくの席に、どっかと腰を落ち着けて「う〜ん」とうなっている。電車が動き出すと、大きな声で「人生ってヤツはな〜」と演説をはじめだし、周りは当然のことながら、イヤ〜な顔をして見てみぬふりをしていた。
ところが、完全に”できあがっている”ため、その先が続かない。「人生ってヤツはな〜」を何回も、何十回も繰り返している。何度も言われると「人生がどうしのだ?」と気になってきたのだが、「人生ってヤツはな〜」の先を聞くことができない。
耳にタコができるくらい同じセリフを繰り返したあと、そのおやじは、ひときわ大きな声で「いいか!?人生ってヤツはな〜〜〜!!」と叫んだ。「・・で?人生がどうしたの?」と心の中かで問いかけ、次の言葉に神経を集中させていると、「んごご〜!」というイビキが聞こえてきた。
そちらを見ると典型的な酔っ払いおやじは口を大きく開けて熟睡している。おもわず「ぷっ」と吹き出してしまった。周りの乗客も同じだったらしく、みんな笑っていた。残念ながら、次の駅で下車してしまったので”おやじ”のその後は不明だが、きっとストレスがたまっていたに違いない。
酒に酔うのは本人の勝手だが、人に迷惑をかけない酔い方をしてほしいものだし、どうせ酔うなら他人に笑いをふりまく酔っ払いになってほしいものだと切に希望する今日このごろである。
2000 / 12 / 16 (土) ¦ 固定リンク