プルキニエ現象

人間の視覚のクセをプルキニエ現象と呼ぶことを初めて知った。 明るいところでは赤をはっきり認識できるのに暗いところでは認識しづらく、逆に明るいところで暗く見える青が暗いところでは遠くからでも認識しやすい。 これらは網膜の視細胞の働きによるものらしいのだが、そういう理由で交通標識に青が多く使われているのかと納得してしまった。

色は人間の心理にも大きな影響を与えるようで、太陽が赤く見える夕焼けに心がときめいたり、ざわめいたりするのも同現象が原因なのだという。 光の量や色が刻々と変化する夕暮れには心が不安定になりやすいもので、事故や犯罪もおきやすく、さらには衝動買いをしやすくなったりもする。 店がタイムセールをするのも在庫処理だけが理由ではなく心理を利用しているというから大したものだ。

赤は人間の生理作用に強く働きかける色で、興奮作用を起こす神経が刺激されて血圧や体温を上げ、気分を高揚させる働きがあるということだ。 実際に、赤いサイフと他のサイフを持ち比べると赤のほうが支出が多くなったという実験結果も出ているという。 そうなると夕焼けが綺麗な時間に赤い財布を持って出かけると、とんでもない事態を引き起こす可能性がある訳だ。

必要もないものを大量に購入してしまう危険性が高いと思われるので、決して 100円均一の店などに行ってはいけない。 ましてや赤を基調とした色で内装されている店などには足を踏み入れてはいけないのである。 それを逆手に取るならば、店を赤い内装にして夕方にタイムサービスを実施すれば売上げが伸びるかもしれない。

しかし、赤には憎しみ、怒り、恨みなどのネガティブなイメージもあり、他者にとって攻撃的になる色という一面を持っているので何でも赤くすれば良いと言うものでもない。 かなり以前に住んでいたアパートの近くに壁から椅子まで赤いファミレスがあったが、味も悪くなく値段も手ごろだったのに一年も経たず閉店に追い込まれたのは赤が持つ負の力が作用してしまったからか。

逆に青色には人の副交感神経に作用して落ち着かせる鎮静効果と心理的に人を冷静にさせる傾向があり、スコットランドでは景観改善のためにオレンジ色の街路灯を青色に変えたところ、犯罪が減少する副次効果が現れたという報告がある。 青色を見ると血圧が下がったり脈拍数が減少するというような事が起こるらしいので、本当に人を落ち着かせる効果があるのかもしれない。

だとすれば店内を青基調の内装にすれば売り上げが減るのかという疑問が浮かぶが、そんな店を見たことがないので何とも言えない。 いや、青基調の店がない、または極端に少ないこと自体、青が商売に向かないことの証明であるかもしれない。 青は食欲を落とす色とも言われ、青い照明を使ったダイエット法まであるので飲食店などは特に注意が必要だ。

色が人間の心理に大きな影響を与えるのは分かった。 だとしたら、どうなんだ日本サッカー。 青基調のユニフォームを着る日本代表が、赤基調の韓国代表に毎回のように苦戦を強いられるのはサムライブルーが原因なのではないか。 スポーツをするのに、ましてや死闘を繰り広げているのに鎮静効果で落ち着いちゃってどうする。

冷静さは必要だが、なかなか士気が上がらなかったり攻撃的な面が抑制されたりする悪い作用が働いてしまわないかと、少し心配になってきたりもする。