ショック

福山雅治の結婚に大きなショックを受けた女性が多いと聞く。

俗に福山ロス、またはマシャロスと言われる症状だが、彼の結婚で打ちひしがれて放心状態となったり、精神的ダメージから無気力となり学校や会社を休んでしまう人が続出したらしい。

過去の雑感に何度も書いているように、子どもの頃から特定の芸能人に思い入れを抱いたりしない性分だったので、そこまでのショックを受ける心理構造がイマイチ理解できない。

確かに芸能人が一般人に与える影響は小さくはないので、ファンでなくとも少なからずショックを受けたり心が波立つことはあった。

古くは岡田有希子の自殺。

現役アイドルの自殺など考えられないことであり、実際にそれが起こったのが事実であっても衝撃のほうが大きく実感が湧かなかったものである。

北野武(ビートたけし)の事故からの復帰会見。

事故を起こし、生死の境をさまよったことすら衝撃だったが、まだ顔面が麻痺したまま、整復手術もまだの状態で開いた記者会見は、我が目を疑うほど悲惨な状況に映った。

あの会見を開いて良かったのか否かは本人が判断することだろうが、長い年月を経た今でも見てはいけないものを見てしまったという意識が強い。

宮沢りえのヘアヌード写真集。

これも世間に衝撃を与えた一件で、天真爛漫な一面は見せていたものの役者としての立ち位置としては、まだ子役から女優への転換期を脱し切っていない時期だっただけに青少年からオッサンまで右往左往したものである。

青少年と言えば、自分が青年期だった当時はまだ高性能な携帯端末もパソコンもなければ家庭用ビデオすら普及していなかったため、ピンク産業と言えばポルノ映画劇場やストリップ劇場くらいなものしかなかった。

悪い先輩に連れられて生まれて初めてポルノ映画を見た時、同じく生まれて初めてストリップを見た時、なぜだかとっても暗い気持ちになってしまったのと同時に罪悪感と嫌悪感と空虚感が複雑に入り乱れた結果、どういう訳か日本はこのままで良いのかという極端な思いに駆られた記憶がある。

そんなことはさておき、芸能界で言えば酒井法子、飛鳥涼(CHAGE and ASKA)の違法薬物使用も衝撃的だった。

いかにもぶっ飛んでおり、クスリや葉っぱ関連で逮捕されたと聞いても驚かないタイプの芸能人もいるが、そんなイメージはなかっただけに第一報を聴いた時は何かの間違いではないかと思ったほどだ。

事件や事故では 9.11 アメリカ同時多発テロ事件も衝撃は大きかった。

最初は単なる飛行機事故として伝わって来たが、テレビ中継の途中で再び飛行機がビルに突っ込んで大爆発が起こった時には映画を観ているような感覚だったし、世界貿易センターの超高層ビルが崩壊していくシーンなども特撮CG映画を観ているような感覚だったことを覚えている。

しかし、それがテロ事件だと分かると底知れぬ恐怖と怒りが湧き起こってきた。

あの事件は世界中に衝撃を与え、多くの人がショックを受けたことだろう。

3.11 東日本大震災の衝撃も大きかった。

津波が押し寄せ、車や建物を飲み込んでいく様は超スペクタクル映画を観ているようで実感が湧かなかったが、その波が引いた後の惨状、それに伴う原子力発電所の事故を目の当たりにすると急に現実を突きつけられたような気がしたものだ。

世界テロ組織 ISによる日本人人質殺害もショックだったし、彼らの手による遺跡破壊は胸が苦しくなるほどで見ているのが辛い。

色々とショックなことがあるものだが、人生で最も大きな衝撃を受けた出来事は子どもの頃の経験だ。

今から思えば、それは実に他愛もないことであり、人から失笑されるに違いないことではある。

それでも視野が狭く、純真さを保っていた子どもには大きなできごとであり・・・。

・・・。

それは、ウルトラマンの最終回。

初代ウルトラマンがゼットンとの戦いに敗れ倒されてしまった時、しばし呆然としたのち、心の底から怒りと悲しみが湧いてきて抑えることができなかった。

正義の味方が敵に倒されるなどということがあって良いのだろうか。

みんなのヒーローが負けるなどということが許されるのだろうか。

そんなことがあって良い訳がないだろう。

あの日、あの時、ショックを受けた子どもは自分だけではないはずだ。

日本全国の茶の間から響いた悲鳴と泣き声は、福山結婚を知って泣いた女性の数を上回っていたに違いない。