真性雑感 第十二版

真性雑感 ~目次~

■ マスコミ

安部首相が推進する経済対策であるアベノミクス、日銀の黒田総裁が実施した異次元緩和である黒田バズーカ、その両者によってもたらされた株価上昇のアベクロ相場など、これほど経済用語が世間を賑わせた年もめずらしい。

景気とは文字通り 『気』 が重要なのであり、なんとなく上向き思考になるのが好景気、下向き、内向きになるのが不景気で、今は間違いなく好景気の循環に入ったとされていた夏の初めの頃、マスコミは給料が上がったとビヤガーデンに繰り出し、すこし高めのものを食べている会社員の取材をしていた。

百貨店売上高も前年同月比で何パーセントアップしたとか、外食産業も上向いて高価格帯のものが動き始めているとも伝えていた。

そして、街ゆく人のインタビューでも給料が上がったので良い物であれば価格は気にしないとか、少し高くても美味しいものであれば手にとってしまうなど、田舎は恩恵に預かれていないが、都会では本当に景気が上向き始めたと思ったものだ。

4月に実施された消費税率引き上げによる消費の落ち込みも限定的で、5月には回復傾向になったため 1989年の消費税 3%導入、1997年の 5%への引き上げと比較して反動減は小幅なのではないかと報道されていた。

その際もスーパーや小売店へのインタビューでは売上が回復してきたと喜んでいる店員や店主の姿を放送し、アベノミクス効果が消費増税のダメージを払拭したと結んでいたはずだ。

衆院解散・総選挙によってアベノミクスの成否が問われる今、報道各社は伝える内容をがらりと変えた。

最近になってニュース番組で流される内容は、結果的に給料が上がらず物価だけが上昇するため生活は苦しくなったという消費者のインタビューばかりだ。

あれだけ好景気だと世間をあおっておきながら、手のひらを返したように報道内容を 180度変えて平然と伝えているマスコミには腹立たしさすら覚える。

好景気になってきたと伝えていた夏の初め、その時だって給料が上がらない会社員はいただろうが、そんな話しやインタビューを聞いた試しがない。

景気を実感できない今も、夏の初めのように給料が上がってクリスマスや年末年始を楽しみにしている会社員はいるに違いないが、そういう内容は一切伝わって来ず、それぞれ逆の立場の意見を拾わないのがマスコミらしい。

取材した結果を伝えるのではなく、伝えたい内容に沿って取材するのがマスコミの常套手段。

つまり、いろいろと取材した結果、今は好景気なのだとか、消費増税の反動は小さかったという結論に至ったのではなく、最初から結論ありきで取材し、その結論を裏付け、その結論に信憑性を持たせるための声を拾い集めてくる。

だからニュース番組など信用できないのである。

■ 記者会見の手話

誤解を恐れずに言うが、記者会見の手話は必要なのか。

総理大臣や幹事長、時の大臣が記者会見する会場には壇の左端に手話をする人が必ずいて、そのやり取りを通訳しているが、あれは本当に必要なのだろうか。

単なるお飾りならば経費の無駄、税金の無駄だと思う。

もちろん、手話を必要とする人がいるならば絶対的に通訳すべきだと思うが、ニュース番組、あの会場での必要性はまったく感じられない。

総理や大臣が壇上に進み、一礼するまでの一瞬だけテレビに映ることがあるが、いざ会見が始まったあとは一切テレビ画面に映ることはなく、耳の不自由な人がテレビを見ていたとしても何の役にも立っていないのが実際だ。

会見場に耳の不自由な人がいて一問一答の内容を知る必要があるとも考えにくく、耳の不自由な記者が手話通訳を介して質問しているところも見たことがない。

手話通訳の人は、いったい誰に向かって手話をし、誰のために通訳しているのだろう。

やっている本人は虚しくないのだろうか。

あの手話をやめたところで誰が困るのだろう。

きっと、その筋の団体から鬼のようなクレームが来るのが嫌なだけに違いない。

■ 年末年始の海外旅行

今回の年末年始はカレンダーの並びがよく、有給休暇の使い方によって 9連休になるとかで、海外で年越する人の数は過去 2番目の多さらしい。

びっくりするくらい円が値下がりし、海外で 8,000円で買えていたものが 12,000円もするようになってしまったというのに、それでも旅行に行くということは先の話題に戻って日本はやはり好景気になったのだろうかと思ってしまう。

食事にしても 1,000円で済んでいたランチが 1,500円、5,000円のディナーは 7,500円と、えらく割高になっているというのにである。

おまけにイスラム国を名乗るテロリスト集団が世界的な広まりを見せ、いつどこで大規模なテロ行為が発生するのかも分からない中、標的にされやすい飛行機に乗って行こうというのだから、まさにチャレンジャーだ。

エボラ出血熱も最近は話題にならなくなってきただけで決して感染が収まった訳ではなく、今現在も患者数は増え続けており、それによって亡くなる人も後を絶たない。

これもマスコミの罪だが、いわゆるニュースバリュー、つまり報道価値が高いものが優先されて読者、視聴者の興味が高いものばかり報道するため客観的事実が見えづらくなってしまう。

発行部数や視聴率が大事なのは理解できるが、本当に価値のある内容を伝えてもらわなければ困る。

エボラ出血熱は収まるどころか世界に拡散している事実、世界情勢が過去にないほど不安定になっていること、それでも海外に行くなら自己責任という意識を徹底すべきであることを伝えるべきだ。

そして、今回も年明けの 4日になって帰国し、次の日から休みボケのまま仕事をするタフなのかアホなのか分からない会社員が山ほどいるのだろう。