海でキャンプでバーベキュー

数日前、いつも仕事中に聴いているラジオから興味深い話しが流れてきた。

DJを務めているのは、東京在住であるにも関わらず北海道で週に一度のレギュラー番組を持っている女性芸能人なのだが、その彼女が札幌近郊の海岸で見かけたのはテントを張ってバーベキューを楽しむ人々の姿で、その光景にとても驚いたというのである。

それは彼女の常識という訳ではなく、その世代、あるいは北海道以外の人に共通するのかもしれないが、海水浴、キャンプ、バーベキューは個々に独立したものであり、泊りがけで海水浴に行き、海岸にテントを張っておまけにバーベキューまで楽しむとは何たる贅沢で、何とも羨ましく、何と楽しそうなことかという話しの内容だった。

そう言えば関東や関西で海開きというニュースや、海水浴客で混みあったなどというニュースを見ても、海岸にテントが張られているのを見たことがなかったように思う。

北海道の場合、若い男女、親子連れ、親子三代、職場の仲間同士など、ありとあらゆるグループが海岸にテントを張って一泊の海水浴を楽しむのは当たり前の光景であって、珍しいどころかむしろ常識的なことだったりする。

楽しみ方は人それぞれだが、一般的には午後から市内のスーパーなどで食材や炭、酒などを調達し、海についたらまずはテントを張って中で水着に着替えてひと泳ぎし、夕食時には炭に火をおこしてバーベキュー、暗くなったら酒を飲みつつ大人買いした花火をバカスカ上げて盛り上がり、そのまま就寝して翌日は午前中から泳いだり、本当は密漁になるのでいけないのだが素潜りでウニを獲ったりして遊び、昼は湯を沸かしてレトルトカレーやカップ麺で適当に腹を満たし、午後からまた少し遊んで渋滞を避けるために早めに帰路につく。

シーズンともなると浜辺はテントだらけになり、早めに出発しなければ場所がなくなることもあるくらい北海道では海でのキャンプは一般的だ。

誰が決めたわけでもないが、そこには一定の秩序があり、酒に酔って夜の海に入る人も滅多におらず、酔っぱらい同士の喧嘩も少ないし、他のグループに乱入する行為もあまりない。

寝ている人の迷惑にならないよう、あまり遅い時間には花火を打ち上げる人もいないし、大音量で音楽を鳴らす人もいない。

もちろん多くの人が集まるので多少のイザコザはなくもないが、びっくりするくらいマナーが良く、それぞれが他人に干渉せずに自分たちなりに楽しんでいるという印象だ。

以前の雑感にも書いたかもしれないが、自分も若い頃は体力と天気が許す限り、毎週のように海で遊んでいた。

当時は安くて酔えるウイスキーが全盛で、炭で焼いた肉や野菜を肴に夜遅くまで飲んだものだ。

何度も水割りを作るのが面倒になったことと、何度もキャンプをしていた経験からあみだした方法がある。

食器用洗剤でよく洗い、中をきれいにしたクーラーボックスを 2つほど用意し、最初の買い出しでコンビニやスーパーで売られている氷を入れる。

それは袋ごと入れて保存するのではなく、開封して中の氷をバラバラと入れておく。

それから時間が経って酒を飲み始める頃には調度良い具合に氷が解け、水が 7割、氷が 3割くらいになっているので、そこに直接ウイスキーをドボドボとそそいでクーラボックスごと水割りにしてしまうのである。

そこからコップで直接すくえば何もしなくても水割りのできあがりで、誰の手をわずらわすことなく次から次へと飲み続けることができるという実に画期的なシステムではあるが、欠点はついつい飲み過ぎることだ。

ここで北海道の夏の海あるある。

用意した肉は完食するが、野菜は必ず余る。

酔ってパンツ一枚で走り回るヤツを 2-3人は見かける。

バカスカ打ち上げ花火のあと、最後の線香花火は物悲しい。

テントに入らず、酔いつぶれて砂浜で寝ているヤツがゴロゴロいる。

二日酔いで入る海の水は異様に冷たく感じる。

二日酔いで昼近くまで寝ていたテント内は尋常じゃない暑さで嘔吐感が倍増する。

なぜか昼飯を食べると元気が復活する。

帰り道、運転手以外は全員寝る。

運悪く運転手になったヤツは地獄。

帰宅後、ありえない場所から砂がでてくる。

・・・といったところか。

北海道の夏は短い。

今年も砂浜では様々な人がそれぞれに楽しんだことだろう。