プロ野球開幕

以前から何度か書いているように、北海道に帰ってきてからというもの毎日が日ハム漬けとも言えるほど膨大な情報を与えられたため、パ・リーグではすっかり北海道日本ハムファイターズのファンになってしまっている。

が、しかし、今年は開幕ダッシュどころかラインについてスタートの合図とともに転んでしまい、立ち上がったと思ったら足をくじいていたような状況で、最下位を独走中というありさまだ。

昨シーズンは栗山監督の就任一年目で、さらにダルビッシュを手放した状態でのリーグ優勝はできすぎだったとしても、あまりにもギャップが激しすぎるのではないだろうか。

それでも北海道人、つまり道産子は優しく、温かい目で球団を見守り、どんなに連敗しようと野次ることも少なく、ビールの空き缶を投げ入れたりすることもないのが阪神ファンとの大きな違いだ。

しかし、愛のムチがないというのも決して喜ばしいことではなく、選手を甘やかす結果となってしまうのではないかという一抹の不安もないではないが。

2008年の中田翔の入団を皮切りに、2010年には斎藤佑樹を獲得、2011年には巨人の原辰徳の甥っ子であるがゆえに誰しもがジャイアンツの単独指名だと決め込んでいた菅野智之をドラフト 1位で指名して原辰徳の目を点にさせたばかりか、抽選で交渉権まで獲得して原辰徳を石化させてみたり、2012年にはアメリカ行きが決定的だと思われていたため誰も指名しなかった大谷翔平を 1位指名して口説き落とすなど話題に事欠かない日ハムの人気は確かにすごい。

球団が北海道に移転して 10年、選手やスタッフ、球団のひたむきな努力もあって阪神なみにファンをがっちりつかみ、札幌ドームも黒字経営になるほどの観客動員数を誇るが、いかんせん道産子は飽きっぽいという特性を持つ。

2004年に北海道へ移転してからわずか 3年目のという実に短い期間でリーグ優勝、さらには日本シリーズまでも制して日本一になり、翌年の2007年もリーグ制覇、その後も2009年、2012年にリーグ優勝しているし、2010年の 4位以外はすべて Aクラス入りを果たすという好成績を維持していることから注目度も高く、さらに情報量が増えてファン層が広がるという好循環を維持する結果となっている。

球場での観戦もさることながら、すっかり北海道に根付いた日ハムは小さな子供からお年寄り、それまで野球に無関心だった女性、とくに主婦を味方に付けたものだからチャンネル争いが勃発せず、テレビ中継でも驚くような視聴率を稼ぐ。

今の時代、視聴率は 15%を超えれば御の字、20%超えしようものなら万歳三唱するほどテレビ業界は低迷しているが、日ハムの野球中継は楽に 15%を超え、シーズン後半でクライマックス・シリーズの出場権がかかる試合ともなれば 35%を超えて 40%近い数字を叩き出す。

ゴールデンタイムにキー局が力を入れる番組を、土曜とか日曜の昼間の放送に組み替えてでもプロ野球中継する地方局など全国にどれだけ存在することだろう。

それだけ日ハムのファンが多いことの証明でもあるが、先に述べたように道産子は熱しやすく冷めやすい面があり、飽きっぽいところもあるので注意が必要だ。

今までの日ハムは常勝軍団であり、いつも話題を提供してくれることで人気を保ってきたが、低迷が 2-3年も続くと一気にファン離れが起こりそうな気がしないでもない。

そこが阪神ファンとの違いで、どんなに低迷しても、どんなに弱くても応援し続けるのは難しいのではないだろうか。

移転後すぐに優勝し、それから上位であり続けたため弱い日ハムを道産子は知らない。

昔のプロ野球の巨人ファン、大相撲の大鵬ファン、昭和初期の力道山ファンのように強さにあこがれ、強さゆえにファン層が拡大するという大衆心理が好循環する状況に日ハムは置かれていた。

その循環が止まった時、または逆回転を始めた時、経験の浅い日ハムのファンはどうするのか想像しがたいものがある。

気になっているもう一つの球団はもちろん阪神タイガース。

4/20 15:00現在はセ・リーグで 2位と好位置につけてはいるが、いかんせん巨人が強すぎる。

18試合で 13勝 3敗 2引分の勝率 8割超えなど信じられない猛ダッシュだ。

阪神は 2位につけているとは言え勝率はやっと 5割を超えたところであり、最下位のヤクルトまで 3ゲーム差の中でひしめき合っている。

レースというのは団子状態が楽しいのであり、一つの球団だけ飛び抜けていては楽しくない。

ナベツネは巨人が強くなって昔のように勝ち続ければプロ野球人気が復活すると思い込んでいるようだが、きっとそれは真逆であり、もしそんな状況下になれば楽しいのは巨人ファンのみで、負けても文句を言いながら応援し続けるドM体質の阪神ファンが何とか支える程度の規模に縮小されてしまうことだろう。

そうならないためにも阪神には頑張っていただきたいし、巨人がつまずいて態勢を崩した挙句にすっ転んで 10連敗くらいしてもらいたいと心から願ってやまない。