浮揚感

日本の、そして一部の地域や業界では、いわゆるアベノミクスと呼ばれる自民党安倍政権の景気浮揚策に乗じて投資を拡大して春間近と期待しているようだが、北海道の、それも中心都市ではない田舎に暮らしていると何の実感もなく、浮揚感が地方に波及する前に景気減速におちいるということが過去に何度も繰り返されている。

それでも景気回復を期待するというのは悪いことではない。

『気』 というくらいで、何となく良い方向に進みそうだとか、良いことがありそうだという期待や気分になるだけでも好景気への入り口なのかもしれないし、実際に財布の紐が緩むというものだ。

今どきの財布にヒモなどついているはずもないが、相変わらず財布の紐が硬いとか緩むとかいう表現を使うのは他に適切な表現がないからなのかと思ったら、同義語に財布の口が固い、緩いというのもあった。

どんな財布にもお金を出し入れする口はあるので、現代においては財布の口とするのが良いのではないかと一人で思って納得したりしている。

それはさておき、アベノミクスなどとカタカナで表そうと、実のところは以前までの自民党型バラマキ政策と大きな違いはなく、あいかわらず公共事業に何兆円とか真水で何兆円などと自慢気に中身を披露しているが、真水で何兆円だろうと官僚が支配する財団、公益法人、外郭団体に数兆円が流れ、下流である民間まで流れ着く頃には半分以下に目減りしているに違いない。

景気浮揚策の一つが規制緩和だとか言いつつ、ネット通販の裁判で負けた市販薬の扱いに関して法律で規制しようと動いてみたり、言っていることとやっていることがバラバラなのでイマイチ安倍ちゃんは信用できず、結局は業界団体と、それに寄生する族議員、官僚の呪縛から逃れられなさそうだ。

従来とは異なる手法だの何だの言ったところで、カンフル剤の種類を替えたに過ぎず、世の中の仕組みを根本から組み立て直すというほどの治療ではないので、今回の補正予算で多少は景気が上向いたとしても長続きするとは思えない。

また、過去の轍は踏まないのが賢いやりかたであるにも関わらず、少し景気が持ち直して参院選で勝利すれば完全自民党型政治に逆戻りするばかりか、日銀は金融緩和を控え、消費税の増税の追い打ちで一気に景気が減速するという典型的なパターンになるような予感がする。

バブル景気とまでは言わないが、本格的に景気が回復し、それが持続可能と判断されるまで増税を待つべきだと思うが、財政難を理由に待ったなしで消費税率を引き上げてしまうことだろう。

浮揚感とは、文字通り浮いた感じなので、そもそも不安定な状態でもある。

高速エレベーターの下りで少し体が軽くなったような、絶叫マシンのフリーフォールで一気に落下して体が浮いたような、胴上げされて頂点に達した時のような、気持ちが良いようで実はとてつもなく不安定な状態が長く続くはずはない。

我が世の春を謳歌してきた中国ですら景気に陰りが見え始めたし、信じられないほどの金が動いていたドバイも総崩れした今、シェールガス特需に湧くアメリカの景気回復に賭けるしかない世界情勢ではあるが、日本はその一翼を担うことができるだろうか。

この浮揚感は安倍政権による参議院選挙までの繋ぎ政策であって、そこで大勝すれば官僚の言いなりとなって一気に緊縮財政、増税へと舵を切りそうな気がする。

そんなことをすれば、また政権交代が起こるという恐怖感は今の自民党にはないだろう。

何せ民主党があのザマで、第三極もまとまりきれずにいるのだから。