その後

日本のマスコミは騒ぐだけ騒いで危機感をあおるが、その後に関しては何も知らせてくれない。

最近では岡山県倉敷市で起きた製油所の海底トンネル事故だが、連日連夜、あれだけ大騒ぎしていたにもかかわらず、徐々にトーンダウンしたかと思うとさっぱり音沙汰が無くなり、6日前の 3月 4日に最後の不明者となっていた人の遺体が収容されたことなど扱いが小さすぎて知らない人のほうが多いのではないだろうか。

島根で2009年に発生した女子大生のバラバラ殺人事件も大騒ぎになったが、今では覚えている人も少ないだろう。

マスコミの責任ばかりでなく、日本人は熱しやすく冷めやすい上に飽きっぽく忘れやすいという国民性を代々受け継ぎ、DNAに深く刻み込まれているので致し方ないという側面はあるにせよ、だからこそマスコミが事件や事故を風化させないように努めるべきではないだろうか。

悲惨な事件や事故だけではなく、生活レベルの話題に関しても報道が尻切れトンボ状態で、その後がどうなっているのか分からないことが多い。

テレビが昨年7月24日にデジタル放送への完全移行となったが、その直前には完全デジタル化によってとんでもない数の地デジ難民が発生すると大騒ぎし、地デジ化を延期すべきだと声高に叫ぶ団体やマスコミがいたが、いったい現状はどうなっているのだろうか。

本当に地デジ難民が大量発生しているのであれば、彼らは今、どれほど不便な思いをしているのか、電波が届くようになる目処はあるのか、対策は講じられているのか、何も情報が伝わってこない。

経済的な理由で地デジ化を進められない人のことを考慮し、支援するための制度が作られWebページを公開しているが、チューナーを無償給付したところで屋根の上のアンテナが地デジ用になっていなければ意味がないだろう。

むしろアンテナを購入して取付工事してもらうほうが数千円のチューナーより高額になるのは当然のことであると総務省の役人は気づかないのだろうか。

また、経済的に困窮している人がパソコンやスマホを持っているとは思えないのでWebで告知しても意味を成さないものと思われる。

新聞の定期購読をしていない場合も多いと思うので広告やチラシも効果は薄いのではないか。

そうなると国が責任をもって生活保護などを受けている人に告知するなど何らかの対策をしなければ、地デジ難民の正確な数すら把握できないような気がする。

2008年4月に東京都杉並区が打ち出したレジ袋税(環境目的税)を発端として一気にレジ袋有料化が進み、今では全国のスーパーが有料化しているし、マイバッグを利用するとポイント優遇などの特典が得られる仕組みを導入している店や企業もある。

それによってどの程度のゴミ削減になったのか、どの程度の石油が節約されたのか、どの程度のCO2削減になったのか、スーパーはどの程度の経費削減になったのか、マイバッグの販売でどの程度の経済効果があったのかなどを誰もレポートしてくれない。

今はレジ袋が有料だと言われて誰も文句は言わないし、マイバッグを持参して買い物をするのが当たり前の時代になった。

一般市民は時代の流れに乗り、少しは環境のことも考えて行動しているのに、結果がどうなったのか誰も責任をもって検証しようとしないのはなぜなのか。

本来であれば環境省あたりが調査して結果報告すべきだと思うが、役人など誰もあてにはしていないので騒ぐだけ騒いだマスコミが責任をもって尻拭いまですべきだろう。

明日で東日本大震災から丸一年が経過する。

まだまだ普通の生活を取り戻せない多くの人がおり、原発事故はまだ収束にすら向かっていないというのに区切りであるこの時期にしか情報が伝わらなくなりつつあるのは良い状況ではない。

被災当事者が取り残され、他の人達だけが普通の生活を取り戻して防災意識や被災者支援の意識が薄まってしまっては意味がないだろう。

くだらない報道や人権侵害スレスレの見ていて腹立たしい取材をする暇があるならば、東北の人たちの現状を、できることなら全ての人が普通の生活を取り戻せるようになるまで伝え続けていただきたいものである。