たまには時事

会期延長されていた国会も終わり、いよいよ参院選ムードが高まってきており、支持率が下降の一途をたどる安倍政権で今月末の選挙を戦えるのかどうかという不安もあれど、それにしても安倍内閣にはツキがないというか、論功行賞人事をした自業自得というか、発足当初から問題が絶えなかったという感慨が胸に去来する。

佐田行政改革担当大臣は事務所経費の不透明な処理の発覚で昨年末に辞任、年が明けてすぐに柳沢厚生労働大臣の 「女性は子ども産む機械」 発言、5月 28日には松岡農水大臣が自殺、そして先月には久間防衛大臣が原爆投下に関する、まさに爆弾発言で引責辞任と、世間を震撼させる大きな問題も多いが、その他の細かなスキャンダルも合わせると大変な数になる。 《 ウィキペディア参照 》

よくもまあ、これだけ問題が起きるものだと感心してしまうくらいのペースでの量産体制を確立しているようだが、影で誰かが糸を引いているかのように、したたかな工作も見え隠れして傍観者としては実に興味深く、味わい深い内閣だったりもするのが、首相の外見と相まって完全には憎めない雰囲気を醸し出したりしているのではないかと思う。

松岡農水大臣の自殺の引き金とも言われる緑資源機構官製談合事件では、続々と逮捕者まで出る勢いだったのに松岡氏の自殺によって尻切れトンボな状態になりつつあり、政界まで巻き込む大事件に発展することが予想されていたにも関わらず、今となっては報道するマスコミも存在しない。

世間知らずのボンボンが仲良し倶楽部を作ってボ~っとしている裏で、百戦錬磨の爺さんどもが右往左往しながら問題解決に当たっている姿が脳裏をよぎり、なんとなくバカ殿のような壮大なコントを見せてもらっている気分に浸ってしまい、頼りないことこの上ないのではあるが、全否定してまで憎めない。

しかし、そんなボンボンに日本という国の舵取りを任せて良いのかといえば一抹の不安が胸をよぎり、可能なことであれば日本丸という船から脱出してアメリカとかロシアとか中国という巨大な船に乗り換えたいと少なからず思うこともあり、いや、それよりオーストラリアとかユーロ圏などの方が良いかも知れないなどと思いを廻らす日々であっても、実際には行動できない悲しい事実がある。

そして選挙であるが、参院選は衆議員にお灸を据える意味合いが強く、このままでは自民党が苦戦するのは確実であり、もう少し風が吹けば民主党あたりにドッと票が流れるのではないかと思われるが、肝心の民主党に風を起こす実力がないため現在のところは微風でしかなく、さらにまんまと自民党の術中にはまってしまったのではないかと思われてならない。

国会の会期延長により、投票日が 7月 22日から 29日に変更になり、すでに印刷物を刷り終えていた機関などに多大な労力の投入と税金による穴埋めが行われることが問題視されているが、そんな批判を受けてまで会期を延長したのには、それなりの理由があったのだろう。

第一に重要法案を強行採決でも何でも通過させて国民に実績を示すことができ、多少は自民党の印象が良くなるのではないかと期待される点にあるが、あまりにも強行採決が多かったのでこれは逆効果になってしまったのではないかという不安もチラホラ聞かれる。

第二に、7月も 29日となれば学生が夏休みに入り、選挙権を持っていても遊びに行ったり帰省したりして投票しない大学生や若者が山のように現れるのではないかと予想され、そうなれば浮動票に頼らざるを得ない民主党が多くの票を失うこととなり、自民党にとっては好都合なのではないかと思われるので、こちらの方が重要な意味を持つような気がする。

国民の誰しもが現政権に不安を抱きつつも、参院選でお灸を据えることすらできない微妙な空気が流れているような気がしてならないのは自分だけだろうか。