これでやっとデジタル生活の仲間入りである。
来月からエコポイントが半減されるので、我が家と同じように慌てて家電を購入する人が多いらしく、メーカーがフル生産しても供給が追いつかずに納品まで一カ月待ちという製品も多いらしい。
配達に来てくれたお兄ちゃんの話しによると、今年の猛暑に音を上げ、もし来年も暑かったら耐えられないという理由で北海道だというのにエアコンを購入する人が多く、もう雪がちらつくこの季節になっても取り付け工事のために飛び回っているという。
温暖化がどう影響するか分からないが、今年のような猛暑は 40年に一度らしいので、次に耐えられない暑さが襲ってくるまでに購入したエアコンは使い物にならなくなっていると思うのだが。
デジタル薄型テレビは前年同月比 4.6倍、エアコンが 3倍、時期はずれとなった冷蔵庫ですら 40%増という売れ行きだ。
しかし、エコポ半減となる来月以降、また、エコポが終わる来年 4月以降に襲ってくる反動は並大抵のことではないものと思われる。
来年 7月にアナログ放送が終了することもあり、エコポ効果も加わってテレビを筆頭に需要の先食いが起こっているに過ぎず、それはエコカー補助金の効果で自動車販売台数が驚異的に伸びたのと同様に一過性の現象に過ぎない。
業界としては売上減に対処すべく方策を検討中らしいが歯止めをかけるのは無理だろう。
家電など、よほどの新しもの好き以外は10年は使い続けるものと思われるので、これから先 10年間はメーカーにとって冬の時代が訪れるに違いない。
それがテレビ、エアコン、冷蔵庫にまで及ぶのだから事態は深刻だ。
省エネ化、薄型軽量化が極限まで進み、3Dにまで技術が及んでしまったので、これから先はテレビに劇的進化が起こるはずもなく経年劣化による故障以外は買い替え需要は望めないだろう。
同じく省エネ化が進み、熱交換率も高まり、フィルター自動掃除機能が付き、空気清浄、除湿・加湿機能まで備わったエアコンにこれから革命的進化が望まれない以上は買い替え以外に需要は望めない。
そして、それは冷蔵庫にも同様のことが言える。
景気浮揚のきっかけさえつかめずにいる日本、消費者の目が肥えて中途半端な技術革新には目を向けない日本、そして贅沢を望まなくなった日本で家電を売るのは並大抵のことではない。
アメリカやヨーロッパでは韓国勢にシェアを奪われた日本メーカー、中国やインド、ベトナムなどのアジア圏では存在感を示せずにいる日本メーカ、行き着く先は衰退しかないのではないか。
エコカー減税は続いていても、補助金が打ち切りになった自動車業界も辛い。
以前は 3年とか 5年周期で車を買い換えていた日本人も、特に若者にとって車を持つことがステータスではなくなったこともあり、その周期はどんどん延びて今や 10年など珍しいことではなくなった。
家電と同様に今後 10年は冬の時代が訪れるだろう。
家電とは異なり、今は技術的優位性を保って世界で販売台数が増え続けている日本車メーカーだが、それがいつまで続くのかは疑問だ。
あと10年もすれば電気自動車が一大産業として立ち上がることだろう。
その時、今のパソコンと同様にメーカーがメーカーである必要はない。
エンジンが汎用品のモーターに代わり、ガソリンタンクが汎用品の電池に置き換わるので心臓部は重要な意味を持たなくなる。
つまり、部品さえ調達すれば誰でも車を組み立てられることになる。
これからの 10年、日本という小さな市場には多すぎる家電メーカー、自動車メーカーは一気に淘汰が進み、生き残れるのは 1社か 2社になるかも知れない。