テレビ離れが言われて久しいが、その傾向に歯止めがかからずテレビ各局は対策に頭を悩ませていることだろうが、今さら何をしようとも焼け石に水状態であり、超悪循環、負のスパイラルからは抜け出せそうにない。
そもそも、これほどの末期症状に陥ったのは、症状が顕著化した初期の段階で効果的な対応を打ち出せなかったテレビ局側に全責任があり、まったくをもって疑いようのない自業自得であるから、このままテレビ業界が衰退したとしても理由を他に転嫁することなどできないはずだ。
しかし、その予兆が現れたとき、業界はテレビゲームの普及を理由にあげた。
家庭用テレビゲームに興じる人が増えたため、同じ映像装置を使うテレビ放送の受信者が相対的に減ってしまったのだと。
それからテレビ離れが加速したとき、業界は解を携帯電話に求めた。
携帯電話を使用している時間の増加とともにテレビの視聴時間が減ったのだから、そこには明らかな相関関係が認められると。
そしてテレビ離れに歯止めがかからない今も外的要因に解を探る。
パソコン、携帯電話、家庭用ゲームが普及、BS、CSを含めた他チャンネル化、趣味の多様化によって視聴者の行動様式は分散化傾向にあり、テレビが娯楽の中心ではなくなったと。
確かに理由の一部としては間違っていないだろうが、全体像としては正しくない。
衰退の理由を外的要因に求めるのではなく、内に見い出さなければ業界に未来はないものと思われる。
現在のテレビ局は単に電波を配信しているのに過ぎず、以前のように責任を持って番組を制作することはなくなってしまった。
企画は吉本興業、ジャニーズ事務所、その他にも大手のプロダクションとか外部組織ばかりで、局内で企画したものなど皆無に近い。
おまけに番組を撮影するためのカメラマン、音響、その他のスタッフに到るまで外部の人間で構成されており、局側はスタジオを貸しているだけだ。
外部の手によって企画された番組が外部の手によって制作され、ただ無秩序に電波に乗る。
とうの昔にテレビ局は番組を制作する能力を失い、単なる電波配信屋さんになってしまっており、魅力的な番組作りなどできるはずもない。
あまりにも吉本興業やジャニーズ事務所への依存率が高まりすぎた結果、どのチャンネルを見ても同じような番組で、しかも演者は吉本かジャニーズで占められている。
芸人がワーワー騒いでいるか、漫画が原作の劇をジャニーズ事務所の誰かが演じているか、質が悪く、薄っぺらで通り一遍の取材しかしていない報道番組しか映し出されないテレビを誰が好き好んで見るのか。
テレビがつまらなくなったのか、テレビの感性についていけなくなったのか考えたこともあったが、それは明らかに前者であろう。
我が家でもテレビ離れが著しく、最近はどんどん見たい番組が減っており、全盛期の半分以下くらいになっているものと思われる。
しかし、テレビの前にいる時間が減っているかといえば、多少は少なくなったかも知れないが半分にまではなっていない。
『独り言』 に何度か書いているように、熱中して海外ドラマを見ているのである。
作る側も演じる側も真剣にたずさわって完成した良質なものは見ているものを惹きつける。
それに目をつけたのは良いが、何を勘違いしたのか、単なる安易な発想なのか、日本のドラマでは海外ドラマのストーリーやシチュエーションをそのまま真似したようなものが横行する始末で、もう開いた口がふさがらない。
堕落したまま何の反省も見られず、日本のテレビ業界が変わろうとしない限り、これからもテレビ離れは進んでいくことだろう。