マサルノコト scene 3

3月 8日の夜。 『明けましておめでとうございます』 という E-mail が届いた。 迷惑メールかと思って送信元を確認すると、それはマサルからのものだ。 (3月だというのに何がおめでとうじゃ!) と思いながらもメールを開いたが、件名とは何の関係もない本文。 内心ムカムカしながらも、ネットに関する質問だったので一応は回答しておいた。

  独り言にも書いたが、11日の夜にマサルからの電話があり、久々に長電話をした。 特に重要な話しがあった訳ではないが、年に一度くらいの割で電話をし、その度に長電話になってしまう。 近況報告といっても 「どうだ?」 「まあな」 の一言で終わり、それからは延々とくだらない話をして笑い転げる。 そして、実のない話に終始してお互いに疲れきったところで電話が切れる。

  電話に関しては前回の雑感にも書いた通り、いろいろなことをして遊んだものだ。 話すことがなくなったら切れば良さそうなものだが、若い頃はヒマを持て余していたので互いに切ろうとしない。 しまいには何も話さず同じテレビを観てお互いにブツブツ言っているだけだったこともある。

  もっとヒマになってくると、新聞のテレビ番組欄に載っている出演者の名前を読み上げ、それが何の番組なのかを当てる遊びもしたことがある。 問題を出し合い、短い時間で当てた方が勝ちなのだが、それも長い時間は続かずに飽きてしまい、電話をしているくせに 「何か面白いことはねーのか」 などと文句を言っていたものである。

  マサルが購入した電話機には留守番電話機能も搭載されており、標準で流れる味気のないメッセージではつまらないと言うことで、留守電メッセージに凝ったことがある。 とは言ってもマサルが一方的に自分を楽しませるために録音してくれたものではあるのだが、信じられないくらい多くの種類のメッセージがあった。 しかし、今ではその大半を忘れてしまっている。

  それでも強く印象に残っているのは・・・ 「ただいまプロレス観戦に出かけています。」 というメッセージとともにプロレス会場らしき声援が後ろで流れている。 「5分経ったらおかけ直しください」 というメッセージの後に会場アナウンスの 「試合開始 5分経過〜5分経過〜」 という声が聞こえるものである。 自分はネタだと分かっているので良いが、マサルの母君は本当に 5分後に電話してきたそうだ。

  さらに強い印象があったのは、今の子ブッシュではなく親ブッシュ大統領時代、1991年の『湾岸戦争』 当時の留守電で、「今、私はイラクに来ているため電話に出ることができません」 とういうメッセージの後ろでは銃撃戦の音や戦車の走る音がしている。 「御用のある方は、ビーという音の後に・・・」 と言ったところで大きな爆発音が轟き、マサルの 「うわぁ〜!!」 という絶叫で終わるものだった。

  ネタを考え、効果音まで入れてメッセージを録音するのは大変だったろうが、自分はと言えば 「そろそろ飽きたから他のにしてくれ」 という一言を留守電に入れたりしている我ままな奴だったりするのである。 それでも一年間くらいは様々なネタで楽しませてくれたマサルなのであった。

  話を 11日の電話に戻せば、散々くだらない話をした後で 「何があけましておめでとうじゃ!」 と文句を言い、「来年からお前になんか出してやらないからな」 と言い添えると、「配達される年賀状が年々減って 10枚を下回りそうだからやめないで」 とすがってくる。

  とりあえずは 「うるさい!」 と言って電話を切ってやったが、今年の年末もマサル宛の年賀状を書くことになるだろう。